第 5 章 新たな⽔⼒都市・桐⽣の検討
5.3 検討結果
5.3.2 発電⽅式の検討
5.3.1 で調査した内容を踏まえ、⾚岩⽤⽔での発電⽅式の検討を⾏った。検討は、発電⽔⾞の 選定、選定機器の⾚岩⽤⽔への設置⽅法の検討、エネルギーバッファ⼿段について⾏った。
発電⽔⾞の選定
⼀般に⽔⼒発電の⽔⾞は、図 5-3-2 に⽰す⽔⾞選定表に基づいて、候補地の条件に合ったもの を選定する。しかし⾚岩⽤⽔は、流域のほぼ全てがなだらかな傾斜であり、落差と呼べる地点がほとん ど存在しないため、この図にあるような選定⽅法によって発電⽔⾞を選定することはできない。
そのため、対象地点の地形条件に適した⽔⾞を選定するという通常取られる⽅法ではなく、⾚岩⽤
⽔の地形に適⽤可能な⽔⾞種を探し、設備および設置の費⽤、期待発電量を⽐較して選定する⽅
法とした。候補となる⽔⾞種は 3 機種ほどにとどまったが、その中から最終的に茨城製作所製 Cappa+++(図 5-3-3)を選定した。
図 5-3-2 ⽔⾞選定図
103 設置⽅法の検討
同機種は発電量 160W、設置費⽤を含めた設備導⼊価格は約 370 万円であり、図に⽰すよう に投げ込み式で設置が可能なため、⼯事を必要としない。ただし、発電においては、流速 1.5〜
図 5-3-3 Cappa+++
図 5-3-4 設置⽅法
104 2.0[m/s]、⽔深 50 ㎝以上が確保される必要がある。
各候補地のほとんどは、流速については条件を満たすが、⽔深 50 ㎝についてはいずれもはるかに浅 い。そのため、設置にあたっては、⽔寄せをする必要がある。⽔寄せについては、⼟⽊⼯事を伴わない
⽅法を検討し、コンクリートブロックと鉄板を使⽤する形で図 5-3-4 のような⽅式とした。
蓄エネルギー⼿段の検討
エネルギーバッファ⼿段について検討したモデルを図 5-3-5 に⽰す。⽤⽔路に揚⽔ポンプを設置し、
夜間等の電⼒需要低下時間帯に貯⽔槽に⽔をくみ上げ、昼間の電⼒需要ピーク時に図中の発電 機に⽔槽の⽔を流下させ、前出の Cappa+++と併せて発電を⾏い、需要家に給電する仕組みであ る。貯⽔槽に接続する発電機としては、シンフォニアテクノロジー社製 HG10 を選定した。配管に接続 しクロスフロー⽔⾞に導く構造を持つ機種で、発電量は最⼤ 1kW である。
図 5-3-5 貯⽔槽揚⽔による蓄エネルギー⼿段
図 5-3-6 シンフォニアテクノロジー社製 HG10
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もう⼀つのエネルギーバッファ⼿段である蓄電池については、4 章で紹介した低速 EV バス「MAYU」
にも使⽤されるリチウムイオン電池、EPC100-14 を選定した。
両⼿段を⽐較した結果、蓄電池を⽤いる⽅が価格⾯でも運⽤の利便性の⾯でも有利であることが 明らかになった。価格⾯では、⽔槽からの流下分を発電する HG10 のみで、蓄電池以上のコストがか かるうえ、⽔槽の設置には、⼯事が必要になる。運⽤⾯においても、充分な⽔量を蓄えるには、⽔槽 の容積は 50[m3]程度を必要とし、⼯事以前にそれらを設置するための空間の確保が必要なほか、
巨⼤構造物を設置することに対する周辺住⺠の合意を得る必要もあり、蓄電池に⽐べ、経済的にも 社会的にも課題が多いことが明らかになった。