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事業収⽀の試算結果

ドキュメント内 水都・桐生の形成史に関する研究 (ページ 112-115)

第 5 章 新たな⽔⼒都市・桐⽣の検討

5.3 検討結果

5.3.3 事業収⽀の試算結果

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もう⼀つのエネルギーバッファ⼿段である蓄電池については、4 章で紹介した低速 EV バス「MAYU」

にも使⽤されるリチウムイオン電池、EPC100-14 を選定した。

両⼿段を⽐較した結果、蓄電池を⽤いる⽅が価格⾯でも運⽤の利便性の⾯でも有利であることが 明らかになった。価格⾯では、⽔槽からの流下分を発電する HG10 のみで、蓄電池以上のコストがか かるうえ、⽔槽の設置には、⼯事が必要になる。運⽤⾯においても、充分な⽔量を蓄えるには、⽔槽 の容積は 50[m3]程度を必要とし、⼯事以前にそれらを設置するための空間の確保が必要なほか、

巨⼤構造物を設置することに対する周辺住⺠の合意を得る必要もあり、蓄電池に⽐べ、経済的にも 社会的にも課題が多いことが明らかになった。

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需要家は将来的には、⾚岩⽤⽔流域の市⺠や⺠間事業者となることが理想であるが、着⼿段階 では、庁舎や公⺠館等、商⼯会議所などの公共的な施設、街路灯、現在市内の公共交通の⼀部 となっている「MAYU」の蓄電池、等への電⼒供給を想定した。

収⽀計算の詳細については、ここでの掲載を控える。結論は、⾚岩⽤⽔のような⼩流量・低落差の

⽤⽔路では、設備設置費⽤の回収に 141 年もの期間を要する試算結果となり、事業性は⾒出せな かった。しかし、3 分の 2 の補助⾦(地産地消型再⽣可能エネルギー導⼊拡⼤事業等を想定)を活

⽤し、茨城製作所製 Cappa+++と同等のコスト(370 万円)で 1kW を発電できる発電設備の実 現ができた場合は、11 年ほどの期間で投資回収が可能であることが明らかになった。

試算に⽤いた現状の⾚岩⽤⽔の流量(0.028[m3/s ])では、1kW の発電をするには流量が不⾜しているが、

0.175m3/s 以上の流量を確保できればこれが可能とな ると試算した。⾚岩⽤⽔の取⽔量は表 5-3-1 のように 設定されており、⽥植え期の 6 ⽉ 11 ⽇〜30 ⽇に限っ ては、0.189m3/s と上記流量を超える取⽔量の時期

がある。そのため、安全⾯等においては、0.175m3/s という取⽔量には問題はない。

⾚岩⽤⽔に簡易的な設置が可能で、かつ 3,700 千円の設置コストで 1kW の発電を可能にする 設備は、⾚岩⽤⽔で現状使⽤できる機種というものは具体的な想定はなく、条件を満たす機器の選 定、あるいは開発が必要である。この開発⽬標の実現性はどの程度のものであろうか。

図 5-3-8 は、各⽔⼒発電事例における発電機の出⼒に対する⼯事費を含めた 1kW あたりの設 置費⽤を、プロットしたものである。経験的に設置コストが 1kW あたり 100 万円以下となることが、事 業採算性の条件であるが、発電出⼒が⼩規模になるほど割⾼となる。特に 10kW 以下では、急激な コスト増となる。これは、極⼩規模になるにつれ、設備の躯体は最低限の機能を維持する必要がある のに対し、発電量が⼩さくなるためであると考えられる。しかし⼀⽅で、現状では実機の量産がなされな いことも、設備価格の⾼⽌まりの⼤きな要因といえる。

⽔⼒発電設備の価格は、総じて量産効果による価格低減の恩恵を受けていないのが現状といえる。

表 5-3-1 ⾚岩⽤⽔の取⽔量 期間 取⽔量[m3/s]

6/11〜6/30 0.189 7/1〜9/25 0.146 9/26〜5/31 0.028

図 5-3-8 発電規模に対する設備価格の傾向

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⼤規模⽔⼒発電については、新規に設置するような地域が多くはないためであり、⼩規模については 市場がないためである。しかし、本調査事業で検討したような極⼩規模の⼩⽔⼒発電は、実現すれ ば全国各地に無数に存在する市街地⽤⽔路が全て発電の候補地となるものである。

⽔⼒発電が事業性を持つ要素として、⼤規模⽔⼒発電では設備の量産効果が得られにくいとして も、設備に対する⽔⼒資源そのものがスケールメリットを発揮している。それに対し、⼩規模⽔⼒発電 においては⽔⼒資源によるスケールメリットは得られないので、発電事業を可能にするには設備⽣産で 量産効果を得るしかない。そのためには、多くの⽔辺で幅広く適⽤できる事業パッケージを確⽴し、同

⼀のプロセス(現地調査、機器調達、機器設置等)で全国的な展開を可能にする必要がある。現状 ではそれが困難なため事業採算性が⽴たないのが、現在の⼩規模⼩⽔⼒発電の実態といえる。

⼤量⽣産の実現はそれに⾒合う市場の創出が必要で、それは⽇本のいたるところで、地域の⼈々 が⼩⽔⼒発電によって地域の⽔辺を活⽤する機運が⾼まるということを意味する。そのような市場の形 成は、社会の価値観を変えるものであるため、短期間で簡単に実現するようなことではない。しかし、

地域の再⽣や低炭素社会の実現といった社会の課題は、いずれも近代化の時代に培われてきた価 値観からの脱却を求めるものという点では、⼩⽔⼒発電の市場創出以上の社会変⾰を求めるものと いえる。

この課題を⽔⾞や発電設備の⽣産に携わる⺠間企業の問題として⽚付けるのではなく、低炭素社 会の実現に向けた社会の課題と捉えるならば、現状においては学術研究がその展望を開く役割を果 たすべき段階であり、⽔都の視点に⽴つ都市史研究も今後新たな役割としてその⼀翼を担える領域 といえると考える。

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