3.熱力学形式論
46 が点る・更に・IX・1≦・<豊と煮>1より・
癩農蕩))〆<μ(β(切)≦篇瓢尉 <,煮鴛鴇留))〆
となる.従って,すべての¢∈Eと十分に小さいγに対して,
T3
瓦くμ(B圃)<6・・3 (3・20)
となるある定数62>0が存在する.この不等式に命題1.6.3を用いることで,
3.3 不変測度と移送作用素
クッキー・カッター集合Eに台をもつ測度μが,クッキー・カッター関数ずの下で不変で あるとは,すべての連続関数g:E→Rに対して,
/9(!(・))卿)一/9(の4μ@) (3・21)
を満足するときにいう.このことは,すべてのボレル集合Aに対して,μ(∫一1(A))=μ(A)
と同値である.
φ:E→Rを(3.12)で定義したリプシッツ関数とする.また,0(E)はE上の実数値連続 関数のなすベクトル空間とする.このとき,移送作用素(transfer operator)Lφ:σ(E)→
0(E)を,
(Lφ9)ω一9(凡@))・φ(荊(卯))+9(乃(・))・φ(乃( )) (322)
=Σ9ω・φω (3.23)
写:∫(Ψ)=¢
で定義する.ここで,F1,瑞は2章で定義した∫の2つの逆対応である.この作用素五φは線 形かつ正である.ここで言う,作用素ゐφが正であるとは,すべての∬∈Eに対してg(の>0 ならば,すべての∬∈Eに対して(五φg)(勾>0になっていることである.五φをん回反復す ることを雌で表すことにすれば,(3.22)の置換を繰り返すことで,
(L$9)@)一 Σ9(瓦1・瓦、・…・馳))・xp(φ(瓦1・君、・・一・へ(勾)
(ゴ1,歪2,_,勉)∈1鳶
+φ(1弓20∫弓、o… 01㌃ん(ω))+… +φ(瓦k(認)))
= Σ 9(瓦、。昂・2・…・へ(∬))・xp(3・φ(瓦、・罵、・…・へ(の))
(づ1,ゴ2,_,秘)∈1「ん
(3.24)
となる.
∫と五φを関係付ける次の式は役立つことが多い.いま,g1,g2∈σ(E)とする.このとき,
(Lφ((9、・∫)・9、))(・)一Σ9、(!(恥)))9、(恥))・φ(恥))
たち
=Σ91(・)9、(恥))・φ(瓦(置))
ユり
= 91(¢)(」乙φ92)(¢) (3.25)
が成り立つ.
移送作用素の主な性質を定理3.32で述べる.なお,証明の中で用いられているll引。。
は最大値ノルムと呼ばれ,任意の9∈0(E)に対して,UgU。。=max{19(勾1泌∈E}で定義
3.熱力学形式論
48
されたものである.連続関数の最大値ノルムによるノルム空間0(E)はバナッハ空間となる
(大石進一[15}第1章第1節定理1.1).
定理3.3.2の証明に際し,次の定理33.1を準備しておく.
定理3.3.1 (シャウダー(Schauder)の不動点定理)
Xをバナッハ空間とする.Xの部分集合κをコンパクト凸集合とする.関数留:κ→κ
が連続ならば曽は不動点をもつ.すなわち,曽(勾二¢を満たす¢∈Kが存在する.【証明】 [〉岡本 久,中村 周[17]第9章第2節定理9.5参照 日 定理3.3.2
1)ωが固有値λに対するLφの固有関数となるような,λ>0とすべての¢∈Eに対して
ω(の>0を満足するω∈0(E)が存在する.すなわち,一乙φtσ=λω (3.26)
が成り立つ.
2)すべてのg∈0(E)に対して,
/(Lφ9)4μ一λ/卿 (3・27)
となるEに台をもつボレル確率測度μが存在する.
3)すべてのg∈0(E)に対して,
/ψ一/卿 (3・28)
で定義されたE上の測度レは,∫の下で不変である.なお,ωは1)のもので,μは2)のも
のである.
【証明】(1)の証明)φはりプシッツ関数だから,ゴ=1,2に対して,
exp(1φ(瓦(¢))一φ(瓦(シ))D≦exp(α1ω一ツ1) (¢,y∈E) (3.29)
を満足する十分に大きな数α>0が存在する.Cm。。<1は,(2。4)で扱ったものとする.
αCm。、+α≦αを満足するα>0を固定する.また, lElをEの直径とし,β=e一α同>0と する.更に,
B={g∈0(E):任意の躍,ン∈Eに対して,β≦g(の≦1かつg(勾≦gωeα1卯潮}
を定義する.このとき,βは凸集合で同程度連続な0(E)の部分集合となる(付録A.2参照).
従って,集合Bはアスコリーアルツェラ(Ascoli−Arzela)の定理(定理A.2.1参照)によって,
0(E)のlI・1∞一コンパクト部分集合となる.
次に,正規化されたゐφがBをそれ自身の中へ写すことを示し,シャウダーの不動点定理 を用いて不動点が存在することを確認する.いま,g∈βとすれば,
0<9(・)≦9(y)・α1剛@,y∈E) (3.30)
を満足する.このとき,(2。4)よりz,ン∈Eならば概(¢)一E(y)1≦Cm。x拶一シ!となること
と,(3.22),(3.29)より,
(ゐφ9)(勾篇Σ9(瓦(ω))・φ(胴)
ゴニム
≦Σ9(瓦ω)・α1四一嗣1・φ(恥))
ゴニユサ
≦Σ9(鞠))・α¢一x回・φ(恥))
まニユリ
≦Σ9(鞠))eαC…圓・φ(Eω)eψ一〃1 をコユシ
=(五φ9)ω・(αc−x+α)1砂一〃1
≦・α國(ゐφ9)(の (3.31)
を得る.
肚の正規化された写像を嗣@)一 gll留で定義すると・(331)より
(賜9)@)≦・ψ一・1(乃9)(y)
となる.また,II乃gll。。=1だから,すべてのy∈Eに対して β一・一司Ei≦(為9)ω≦1
となる.よって,窃はコンパクト凸集合Bをそれ自身の中へ写している.従って,シャウ ダーの不動点定理により窃ω=ωとなるω∈βが存在する.ここで,λ=llLφ剛。。とおけ ば結果が得られる.
(2)の証明) ωは1)で扱ったものとする.測度の集合洞を 潮≡{μ・・μ(μ)⊂E,/卿=1}
と定義する.0(E)*を,E上の符号つき測度と同一視される0(E)上の連続線形関数の空間 とし,層をその部分集合とみなす・σ(E)*上定義された五φの双対写像萄を9∈0(E)に対
して,
/94(乃ちμ)一/(五・9)4μ (3・32)
で定義する.このとき,μ∈ルfに対して,
/ω4(1x五あμ)一ノ去(五・ω)4μ一/卿一1
3.熱力学形式論
50 が成り立つ・従って・趣畑をそれ自身の中一騎また・瀕は凸集合となり・・真弓位
相でσ(E)*のコンパクト部分集合となる(付録A.2参照).よって,シャウダーの不動点定 理より・趣一μとなる測度μ∈洞が存在する・従って・(3・32)を利用することで・
/(L・卿一/購μ)一/gd(λμ)一λ/卿 が成り立つ.
(3)の証明) 9∈0(E)とする・このとき,(3.25)から(328)までを利用することで
/9(ψ(・)一/9(ψ(・)4μ(の 一命/9@)(五φω)(卿(勾
山鼠/(ゐφ((9・∫)・ω))(の4μ(の
一ノ((9・ノ)(ψω)卿)
一ノ(9。∫)(ψ(の 一/9(ル))如)
が成り立つ.従って,(3.28)より定義されたE上の測度μは,∫の下で不変である. 口
次の定理は,移送作用素が圧力P(φ)と密接に関係していることを示している.すなわ ち,定理3.3.2の固有値λが,exp P(φ)と等しいことを示している・また,定理3.3.2で定義
したμとレが,φに関するギップス測度となることも次の定理から分かる。
定理3.3.3 λ,μ並びにレを定理3.3,2で扱ったものとすれば,logλ=P(φ)が成り立ち,
μ,レは,共にφに関するギップス測度となる.従って,μ,レはE上のボレル確率測度であ
り,ある数αo>oが存在して,すべてのんとi∈互に対して,z∈Xiならば
毒≦頗一轟聯)),噸一町3綱≦% (3鋤
となる.更に,測度μは!の下で不変であり,測度μはすべてのボレル集合孟⊂Eとん=
1,2,...に対して,
μ(畑)一・鳶P(φ)ゑ・xp(一難)4μ(の (3・34)
を満足する.
【証明】 集合Aの定義関数:を1Aと書くことにする. i=伍,¢2,_,勾∈1たとする.罵、 o 罵20…O乃k@〉∈X歪1,歪,,_,盛んは,ブ1=嘱ブ2=¢2,_,ブた=嘱のときに限られるのだから,
(3。24)を用いれば,ム⊂Xづ、,62,_4ん∩Eに対して,
五参(θ一5たφ(τ)1・(・))=exp(一3・φ(瓦、・瓦、・…吸@)))1・(E1。瓦、・…・へ(の)
×exp(5たφ(瓦、0瓦20一・01弓・ゐ(の))
= 1λ(瓦、o罵、○…oへ(勾)
=1∫鳶㈲ω
となる.従って,積分と(3.27)をん回使用することで
= (3.35)
を得る.このことは,i∈互に対してX1∩Eに含まれた任意のボレル集合孟で成立してい
る,従って,各小区間iで定義された(3.35)を加え合わせることによって,任意のボレル集 合A⊂Eに対しても(3.35)は成立する.A=Xi∩Eとして(3.35)を(3.4)に用いれば,す べてのッ∈Xiに対して,き≦。識1))≦・・ (鋤
となる.この不等式の逆数を考え,更にi∈1鳶にわたって和をとることで,
蓋μ警i)≦黒煙雫(ンi))≦混媚)
となり,
μ(湘))冨/1鯛(・)4μ(の
μ(・一5・φ@)1・(の)4μ(・)
λソ・姻1・ω姻
λ仏・一3・φ(置)卿)
bgλ+去bgΣμ肇i)≦lbg黒瀬(3んφω)≦bgλ+lbg愚姻
となる。ここで,ん→○○として(3.6)と比較すればP(φ)=logλが得られる.従って,λL
exp(んP(φ))より, (3.35)轟ま
μ(舳)一λん五・xp(一亀φ(・)脚)
一・嗣五・xp(一3んφ(勾)4μ(の
となり,(3。34)が得られる.また,(3.36)に酢=exp硫P(φ))を用いることで,
主く μ(Xi) <eb
eb一・xp(一んP(φ)+5んφω)一
(3.37)
3.熱力学形式論 52 が得られる・更に・(3・28)に0<1暑£ψ)≦饗馨ω(・)<・・を肺 ることで・
幅ψ))μ(Xi)≦μ(Xi)≦(謬ψ))μ(Xi)
を得る.従って,μとμは同値な測度である.この不等式をexp(一㌃一P(φ)+亀φ(∬))で割って,
(3.37)を利用することで,
inち∈多ψ)≦exp( μ(Xi)一んP(φ)+3鳶φ(∬))≦轡(・)
を得る.よって,適当なαo>0が存在して,(3.33)を満足する.従って,μ,レは共にφに関
するギップス測度となる. ロ
先送りされていた定理3.1.22)の証明は,定理3。3.3のμでた=1のときが,定理3.1.22)
のα)に該当し,また,定理3.3.3のレは定理3.1.22)の6)に該当するようにとられており証 明を終えている.
ギップス測度の重要な性質にエルゴード性がある.測度μが∫に関してエルゴード的であ るとは,∫に関してノー1(孟)=孟の意味で不変となるすべての可測集合丑⊂Xが,μ(紛=0 またはμ(X\、4)=0のどちらかになるときにいう.
もし,Aが不変集合であるならば, A=∩ノーた(A)⊂∩ノーん(X)=Eとなる.従って,
たコ たニむ
.4⊂Eとなる.更に,、4=U瓦三〇瓦、O…Oへ(A)だから,孟∩X}=瓦、0瓦、。…0凡(A)
i∈1ん
と
ノ鳶(ノ4∩Xi)=ノ4 (3,38)
が成り立つ.
系3.3.4 63.7/を満足する任意のギップス測度μは,ノに関してエルゴード的である.
【証明】 μを,(3.34)を満足する定理3.3,3の測度とする..4が不変集合であれば.4⊂Eと なる・そして,(3.38)と(3.34)によって,すべてのi∈1んに対して,
μ(、4)一μ(舳X・))一・鳶P(臨、exp(一5・φ(勾)4μ(の
となる.この結果を,(3.4)の左側の不等式の変形に用いることで,
き・たP(φ)蘇。xp(最φ@))4μ(・)≦e鳶P(の塩exp(孟φ(シ))輌
より,
禦≦♂P(φ酬偏μ@)
が得られ,
禦≦…(φ)一5・φωμ(孟∩Xi)
ε
となる.同様にして,蓋を不変集合Eに置き換えて,(3.4)の右側の不等式を変形すれば,
・鳶P(φ)一3・φωμ(E∩渇)≦・6μ(E)一・う
となる.従って,すべてのXiに対して,
μ(A)μ(Xi)=μ(孟)μ(E∩Xi)
≦・beんP(φ)一3・φωμ(孟∩Xi)μ(E∩靖)
≦e2bμ(A∩Xi)
となる.{Xi∩E:i∈∫ん,た=0,1,_}はEのボレル部分集合を生成するのだから,すべて
のボレル集合B⊂Eに対して,
μ(A)μ(B)≦61うμ(A∩B)
となる.いま,B=E\Aとすることで,
μ凶μ(E\助≦・2うμ(舶(E\A))=〜うμ(の)=0
となる.従って,μ(A)=0またはμ(E\A)=0となる.更に,与えられたφに関するμと異な る任意の他のギップス測度レは,定義(3.7)より(L9)の意味でμと同値になる.従って,もし
、4が不変集合であるならば,任意のギップス測度レもまた,μ(A)=0またはμ(E\。4)=0と なる.よって,(3.7)を満足する任意のギップス測度は∫に関して,エルゴード的となる. □
この節の結果のひとつとして,ギップス測度は∫の下で不変かつエルゴード的となるよう に選べることが分かった.この結果は,次章エルゴード理論で特に重要となる.
3.4 エントロピーと変分原理
そもそもエントロピーという概念は,熱力学第二法則を説明するためにクラウジウス(R.Clausj により導入されたものである.エントロピーという造語は, en が into を, tropy は ギリシャ語の アρo両 に由来し,英語では turn もしくは change の意味を持つ.力学 系の午ントロピーは,1950年代にコルモゴロフ(A.N.Kolmogorov)とシナイ(Y.G.Sinai)1 によって導入された.このエントロピーは,力学系の反復列の記録から得られる情報の量を 測る尺度といえる.