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12. 残留溶媒試験 (050510BM)

4.2.1.3 生物学的安全性

総括

本申請品に対して実施した生物学的安全性試験の結果を表4.2.1.3-1に要約する。「血液」に

「長期的接触(30日を超えるもの)」する、ステントなどの体内埋め込み機器の構成部品は、

「医療用具の製造承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について(平成15年2 月13日付医薬審発第0213001号)」、およびISO10993-1によって分類、規制されており、「細 胞毒性」、「感作性」、「刺激性/皮内反応性」、「急性全身毒性」、「亜急性毒性」、「遺 伝毒性」、「発熱性」、「埋植試験」、「血液適合性(溶血性、血栓形成性、凝固、補体系活 性化試験を含む)」の評価が必要であり、さらに、「慢性毒性」および「発がん性」を補足的 な評価としている。デリバリーシステムは「循環血液」に「一時的接触(24時間以内)」する

「体内と体外を連結する機器」に分類され、「細胞毒性」、「感作性」、「刺激性/皮内反応 性」、「急性全身毒性」、「発熱性」、「血液適合性」の評価が必要である。

生物学的安全性試験に用いた検体は、7 Frのデリバリーシステムとステント、5 Frのデリバリー システムのみ(6 Frデリバリーシステムにおける原材料と同一)、および7 Frのステントのみ の3種類である。ステントのみを検体とした試験において急性全身毒性試験および発熱性試験 を実施しなかったが、これらの試験はステントを含んだデリバリーシステムを用いて実施して いる。また、ステントのみに対して実施した亜急性および亜慢性毒性試験において、毒性およ び発熱が観察されず、動物試験においても被験動物を剖検した組織から全身毒性が観察されな かった。よって、ステントのみを検体として用いた急性全身毒性試験および発熱性試験を省略 しても、生物学的安全性を担保できると判断した。

パクリタキセルのin vivoにおける生殖毒性については、ウサギとラットにおいてすでに評価さ れている。ウサギでは催奇形性は認められなかったが、ラットではパクリタキセル1 mg/kg/日で 生殖障害が認められた1。この1日投与量は、本品ステント1個からの総用量1,140 µg(70 kgの

成人で約0.016 mg/kg)の最大値の約60倍である。 したがって、本品ステントを留置した患者

に催奇形性作用は生じないものと考えられる。また、パクリタキセルの胚/胎児毒性および周 産期毒性のin vivo評価をウサギを対象に実施したところ、器官形成期にパクリタキセル

3 mg/kg/日を投与すると、母体毒性および胚/胎児毒性を引き起こすことがわかった。この用量 はステント1個からの総用量1,140 g(70 kgの成人で約0.016 mg/kg)の最大値の180倍を超え る。したがって、本品ステントを留置した患者に胚/胎児毒性および周産期毒性は生じないも のと考えられる。

化学療法薬であるタキソールのin vivo発がん性については、マウスで評価されている。医薬品 タキソールの有効成分はパクリタキセルであり、エチルアルコールおよび有機溶媒クレモ フォーEL(ポリオキシエチル化ヒマシ油、BASF Aktiengesellschaft社)に溶解した静注製剤とし て供給される。発がん作用は1 mg/kgでは認められなかったが、50 mg/kgでは認められている

2。この50 mg/kgという用量は、本品ステント1個からの最大の総用量1,140 µg(70 kgの体重の

成人で約0.016 mg/kg)の約3,000倍である。したがって、本品ステントを留置した患者に発が

ん作用は生じないものと考えられる。

以上の理由により、生殖毒性及び発がん性については、本申請品においては確認する必要がな いと判断した。生物学的安全性試験はISO 10993またはUSPに基づいて実施され、本申請品は 記載された判定基準に従い、すべての試験に合格した。

さらに本項目の最後に、対面助言において指摘された本品による組織への局所的毒性、全身毒 性、および動脈瘤形成の可能性についての考察を行った。

表4.2.1.3-1 生物学的安全性試験の要約

試験名称 方法 判定基準 資料番号 結果 試験施設

1. 細胞毒性 ISO 溶出法(1X 最小

必 須 培 地 抽 出 液 ) に よる試験

ISO 10993-5(1999)

48時間後に検体を調べた 時に、ISO 10 93-5 に規 定されるように、50%を 超える細胞に丸みおよび 細胞質内顆粒の消失がな

く、かつ 50%を超える溶

解がないこと。

ホ-1-39 ホ-1-40 ホ-1-41

合格 :*@@@

2. 感作性 モ ル モ ッ ト に お け る 感 作 性 試 験 ( マ キ シ マイゼーション法)

ISO 10993-10(2002)

ISO 10993-10 に規定され るように、検体抽出液が モルモットにおいて遅延 型皮膚接触感作性を引き 起こす証拠が認められて はならない。

ホ-1-42 ホ-1-43 ホ-1-44

合格 :*@@@

3. 皮内反応 ウ サ ギ に お け る 試 験

(抽出液)

ISO 10993-10(2002)

ISO 10993-10 に規定され るように、検体抽出液か ら有意な刺激性または毒 が認められてはならな い。

ホ-1-45 ホ-1-46 ホ-1-47

合格 :*@@@

4. 全身毒性 マ ウ ス に お け る 試 験

(抽出液)

ISO 10993-11(1993)

ISO 10993-11 に規定され るように、検体抽出液を 注入したマウスは、対照 マウスより著しく大きい 反 応 が あ っ て は な ら な い。

ホ-1-48 ホ-1-49

合格 :*@@@

5. 亜急性およ び亜慢性毒性

ラ ッ ト 亜 慢 性 静 脈 内 毒性試験

ISO 10993-11(1993)

ISO 10993-11 に規定され るように、1 日 1 回の臨 床観察における体重、剖 検所見、臓器の重量、臓 器の重量と体重の比率が 許容範囲内でなければな らず、また、検体抽出液 投与群と対照群の間に大 きい差があってはならな い。

ホ-1-50 合格 :*@@@

6. 遺伝毒性 細菌復帰変異試験

(DMSOおよび生理 食塩水抽出液)

ISO 10993-3(2003)

ISO 10993-3 の規定に従 い、検体抽出液は、復帰 変異コロニー数の平均値 が陰性対照値の 2倍、あ るいは 3倍以上増加して はならない。

ホ-1-51 ホ-1-52 ホ-1-53

合格 :*@@@

7. 遺伝毒性 哺 乳 類 細 胞 に お け る

in vitro 染色体異常試

験(抽出液)

ISO 10993-3 の 規 定 に 従 い、検体抽出液に曝露さ せた後の異常細胞の出現

ホ-1-54 合格 :*@@@

試験名称 方法 判定基準 資料番号 結果 試験施設

8. 遺伝毒性 in vivo マウス末梢血

小核試験

試験検体群の MN-RETs の比率 (%) は、対照群の

MN-RETs の比率よ り有

意に高くてはならない。

ホ-1-55 合格 :*@@@

9. 埋植 2 週間および 12 週間

のISO埋植試験 ISO 10993-6(1994)

ISO 10993-6 に規定され るように、検体は、肉眼 で著しい反応が観察され ず 、 顕 微 鏡 検 査 に お い て、陰性対照と同様に非 刺激性と分類されなけれ ばならない。

ホ-1-56 ホ-1-57

合格 :*@@@

10. In Vitro溶 血性

試験( 改訂 版 ASTM

-抽出法)

ISO 10993-4(2002)

ISO 10993-4 に規定され るように、2 個の検体の 平均溶血指数が 2%以下 でなければならない。

ホ-1-58 ホ-1-59 ホ-1-60

合格 :*@@@

11. 血 栓 形 成 性

ブタ180匹の末梢動脈 に ス テ ン ト を 留 置 し、in vivo動物試験を 実 施 し た 。 埋 め 込 み 後6ヶ月までの種々の 時点で、血栓形 性の 有 無 に つ い て 血 管 を 評価した。

血管造影による評価およ び組織学的評価で、血栓 形成が認められてはなら ない。

ホ-2-1 ホ-2-2 ホ-2-3 ホ-2-4 ホ-2-5 ホ-2-6 ホ-2-7 ホ-2-8 ホ-2-9 ホ-2-10 ホ-2-11

合格 @@*

:**::*:*:

@:**:::

@:**:

*:**:*:*:***

*:::

12. 凝固 血 漿 カ ル シ ウ ム 再 加 凝 固 時 間 試 験 ISO 10993-4(2002)

ISO 10993-4 に 規 定 さ れ るように、検体のカルシ ウム再加凝固時間の平均 値は、陰性対照および試 薬 対 照 と 異 な る も の で あってはならない。

ホ-1-61 合格 :*@@@

13. 補 体 系 活 性化

検 体 を 正 常 ヒ ト 血 清

(NHS) で 培 養 し た 後 に 、 酵 素 免 疫 測 定 キットで C3a 濃度を 測定した。検体のC3a 濃度を、t 検定を用い て 、 試 薬 対 照 お よ び 陰 性 対 照 と 統 計 的 に 比較した。

検体抽出液の C3a 濃度 は、試薬対照および陰性 対照と有意に異なるもの であってはならない。

ホ-1-62 合格 :*@@@

14. 発熱性 USP による材料由来

の発熱性試験 ISO 10993-11(1993)

米国薬局方(USP)に規定 されるように、どの個体 もベースライン温度から

0.4 ºC を超える体温上昇

を示してはならない。

ホ-1-63 ホ-1-64

合格 :*@@@

結論:

機器の分類(ステントは長期間血液に接触する体内植込み機器、デリバリーシステムは一時的 に血液に接触する(24時間以内)体内と体外を連結する機器)を考慮の上、適切な生物学的安 全性試験を選択した。本申請品は設定した判定基準に従ってすべての試験に合格した。した がって、生物学的安全性の要求事項を満たしていると判断する。

対面助言により指摘された本品ステントによる組織への局所的毒性、全身毒性、および動脈瘤 形成の可能性については、動物試験結果(添付資料概要4.2.2)や他の資料の解析により、その 可能性はないことが示された。

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