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理論的含意 理論的含意 理論的含意 理論的含意

第4章 ケーススタディ ケーススタディ ケーススタディ ケーススタディ

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5.2. 理論的含意 理論的含意 理論的含意 理論的含意

5.2.1. エージェントのモデルについて

想定したエージェントと内部モデルの相互参照は、第1段階でのグループ化のと

ころでだけでなく、3つの段階で起こっていたと考えられる。自律的・自発的活動を 行なう主体ということはできるが、今回のケース・スタディでは、エージェントの持 っている内部モデルが相互参照され変容しているといえるが、どの程度影響し合い、

どう変わり、それが次の展開にどの程度影響を与えたかについては、はっきりわかっ ていない。

エージェントは、それらが単に集団でいるだけでは、いくらエージェントが自律

的で自発的に活動するといっても内部モデルの相互参照に時間がかかってしまう。そ れを促進する役割をコーディネーターが担っていると考えられる。コーディネーター は、多様性を持ちながらも情報を収集し共有し、情報をすり合わせている。また、蓄 積された情報を共通認識として持ち、最低限の共通理解を保つために徹底した教育・

学習が施され、その上で多様性を促進させている。ネットワークの中で自律的に活動 するコーディネーターだが、多様なコーディネーターによる協働作業と支援のための

「情報の場」が存在し、その場面に合わせた階層性が生じてそれぞれのリーダーシッ プが発揮される。

ケース・スタディにおいては、キーマンにあたる人びとはコーディネーターの役

割を担っていると考えられる。組織形成モデルの第1段階で形成される緩やかなネッ トワーク(グループ)の中で、共通認識を持つための学習の場が提供されていた。第 2段階以降の具体的なプランが実行される段階になって、新しいネットワークが構築 され、プランに沿って基盤となる概念も再構築されていた。

どのケースにおいても指摘されたのは、ネットワークの属人性であった。キーマ

ンが抜けることで、そのキーマンが関係していたネットワークが失われることであ る。ネットワークが失われてしまうと、同種のネットワークを構築するために様々な コストが発生する。通常、ネットワークは関係性によって変容していくものと捉えら れているが、NPOやNPO支援組織においては、それまで築いてきた関係機関とのパ ートナーシップ等、組織としての資源を損失する部分も大きい。喪失した分は、新た なネットワークがマージされることによって補われ、再構築されていた。これを「組 織の血が固まらず、対応の多様性を硬直化させない」と日本NPOセンターでは評価 していた。この効果も重要である。組織としての資源の損失を最小限に留め、組織を 硬直化させないバランスが必要であると考えられる。

NPO は、「価値の実現」という組織理念に共感する市民が集い、自発的な行動特

性を活かす活動の場を提供する。多数の団体が多様な価値観に基づいて行動すること で、行政や企業だけでは実現しにくい多元的な社会を実現する存在である。価値の実 現に関連して、「総意譲成」というキーワードを挙げられたが、これは、徹底した内 部モデルの相互参照ということができる。また、金子・松岡・下河辺がいう「相互編 集性」を示しているともいえる。エージェントが、それぞれのエージェントの立場に 視点を置き換え、相手の要望の為に譲歩しながら総意の形成を図ることである。これ は、自己(市民活動団体)の要望を最大限に獲得する方法論である。総意譲成は、基 本的に譲り合う形で全体の要求を隙間なくうめ、最大限の価値を実現するものである と考えられる。合意形成という類似の言葉があるが、これはお互いに一致した意見を 構築する過程(すなわち∩をとること)を示す。しかし、総意譲成では全体の意見を お互いに譲り合いながら、すなわち相手の立場や状況を理解し、どうしたら全体の意 見を最大限にまとめられるかを意図していると考えられる。

各エージェントは、お互いの内部モデルを相互参照し、知識創造スパイラルでい

う「共同化」を行なっていると考えられる。内部モデルの相互参照とは、単に相互の 内部モデルの一部を共有し合う(コピーする)ということを意味しているわけではな い。相互のモデルを把握し、取捨選択のプロセスを経て「編集」されているのである。

従って、エージェントの意思が介在し属人的要素を含むことになる。

5.2.2. NPO支援組織の組織形成モデルについて

組織形成モデルでは、組織形成プロセスのフローを明かにできた。組織形成モデ

ルの第1段階では、別々の組織の所属するエージェントが、その組織の内部モデルに よって活動しながら緩やかなつながりを深め、内部モデルを相互参照する場が形成さ れるといていた。確かに、その場は存在した。しかし、それは、一つに限定されるこ とがなく、同様の問題意識で他のグループで活動していたエージェントが、問題意識 を共有し組織化する場合もあった。また、自発的な組織化が起こると考えていたが、

3つのケース全てで組織形成のトリガーとなるイベントが発生していた。コミュニケ ーションの多様性については、今回のケースでははっきりしなかった。

組織形成モデルの第2段階では、エージェントの自己組織的な組織化によってネ

ットワーク型の設立準備組織が形成されるとしていた。この設立準備組織において内 部モデルの相互参照が促進され強化されたことは明確になった。しかし、設立準備組 織は自己組織的に組織化するのではなく、組織設立の意思決定者によって組織化が促 されることで設立されることが判明した。組織形成を意図する主体者の意思決定によ って、組織化が左右されることが多いと考えられる。すなわち、組織化の意思決定者 が設立準備組織で展開されている内部モデルについて相互参照し同一の内部モデル を持っているか、類似の問題意識を持っているために設立準備組織で展開されている 内部モデルを理解できる状況でなければ、設立準備組織が意図するNPO支援組織と は別物の組織が設立される危険があるということである。今回の3つのケースは、統 一された問題意識とビジョンに沿ったNPO支援組織が設立されている。

࿑5.1 相互編集成と共同化

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組織形成モデルの第3段階では、設立準備組織が運営管理組織に移行し、組織運 営にあたるとしていた。しかし、設立準備組織がそのまま運営管理組織に移行したケ ースはなかった。組織運営に対して助言的な役割を果たす機関は存在するが、それら は新しく組織されメンバーも新しく任命されていた。行政の設立であっても、運用が 硬直化していることはなかった。多様化する事業内容に対処するために、組織を構造 化して積極的に対応する姿勢が見られた。キーになるエージェントが抜けると組織が 不安定になるということは、キーマンが抜けるとネットワークが消滅するということ と同一であると考えられる。

5.3.

5.3. 5.3.