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犯罪被害者とその家族の人権について考えよう

ドキュメント内 8 同和問題について考えよう (ページ 54-64)

(5)ワーク5

   ペアグループ2つを合体させ、4人程度のグループを作る。ワーク4で書いたこと をもとに、グループで話し合いをさせ、重要だと思われることを3つにまとめさせる。

その際にはいろいろな考え方があることを尊重し、他の人の意見や感想を一方的に否 定しないよう配慮させるとともに、犯罪被害者の家族にとって必要かどうかという観 点から精査する方向で話し合いを進めるように助言する。最後にまとめとして、各グ ループから全体に対して発表させる。

(6)まとめ

   犯罪被害者やその家族というと、生徒は遠い存在だと思ってしまうかもしれないが、

実際には予期せずにその立場に置かれるものであることを説明することで、犯罪被害 者等の置かれている立場を生徒に理解させたい。また、二次被害に関しては、生徒た ちが場合によっては加害者になる可能性もあることをふまえ、どういうことをされた ら嫌な気持ちになるか、どんな支援をしたらよいかを考えさせたい。特に場面Aで示 したような近所の人が自宅前で話している中に、うわさ話のようなものが出てくる可 能性がある。その際には、うわさ話をされて嫌な思いをするケースは日常の中にもあ るので、身近なことから気をつけることが大切であり、自分が加害者になっているこ とはないかということについても考えさせたい。

3 解説

 犯罪の被害者は、命を奪われる、けがをする、物を盗まれるなどの生命、身体、財産上 の被害だけではなく、さまざまな二次被害を受けることが多い。その被害は家族や知人に も及ぶことから、犯罪被害者等と「等」をつけていることも生徒に理解させたい。

 犯罪被害者等は、犯罪そのもので大きな被害を受けているにも関わらず、場合によって は近隣の人々、マスメディアやそれを通じて犯罪被害を知った者から好奇の目で見られた り、根拠のない誹謗や中傷を受け、二次的に大きな精神的打撃を受けることがある。

 二次被害には、次のようなものがあげられる。

 •事件に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調  •医療費の負担や失職、転職による経済的困窮

 •捜査や裁判の過程における精神的、時間的負担

 •周囲の人々の無責任なうわさ話やマスコミの取材、報道によるストレス、不快感  これらの中でも精神的な被害は深刻で、犯罪による著しいストレス障害を抱え、精神的、

経済的支援を求めている犯罪被害者等が多数認められる。

 平成12(2000)年には、犯罪被害者や遺族は優先的に裁判を傍聴することや、裁判中 でも捜査記録などの公判記録をコピーすることができるようになった。また平成16

(2004)年には犯罪被害者等基本法が制定され、犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜら

 犯罪被害者等によって作られている団体の中には、犯罪被害者等へのカウンセリングの 実施など、さらなる支援を国などに求めている団体もある。

●犯罪被害者等の主な相談窓口

 *かながわ犯罪被害者サポートステーション(かながわ県民センター14階)

(045)311-4727  *犯罪被害者等早期援助団体 NPO法人 神奈川被害者支援センター

  (ハートライン神奈川) (045)328-3725

※ 「犯罪被害者等基本法」(平成16年(2004)年12月8日制定)

   この法律は、犯罪被害者等(犯罪やこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為の被害者及びそ の家族又は遺族)のための施策を総合的かつ計画的に推進することによって、犯罪被害者等の権利 利益の保護を図ることを目的としており、その基本理念として、犯罪被害者等は、個人の尊厳が重 んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することなどが定められています。(神 奈川県・神奈川県教育委員会「HUMAN RIGHTS」より)

<参考資料>

 神奈川県・神奈川県教育委員会「HUMAN RIGHTS-人権を考える-」

  平成23年3月発行

 内閣府・犯罪被害者等施策「犯罪被害者等基本法」

  ホームページhttp://www8.cao.go.jp/hanzai/kihon/hou.html

12 「普通」って何?~多様な性を考えよう~

 あなたは「男」ですか「女」ですか、それとも、そのどちらでもないと思うことがあり ますか。

 人を好きになるということは単に「男」が「女」を、あるいは「女」が「男」を好きに なることだけではないかもしれないと考えたことがありますか。

 あなたは戸籍上は「男」あるいは「女」ということになっているはずです。公式な文書 であるか否かを問わず、いろいろな書類には必ずといっていいほど「男・女」のどちらか にチェックする項目があります。でも、このことに戸惑いを感じる人がいるかもしれない と考えたことがありますか。

ワーク1

 「LGBT」という言葉を知っていますか?

 「L」「G」「B」「T」はそれぞれある言葉の頭文字です。その言葉とは何でしょうか?

考えてみましょう。

「L」… (         ) → 女性同性愛者。女性で女性を愛する人

「G」… (         ) → 男性同性愛者。男性で男性を愛する人

「B」… (         ) →  両性愛者。好きになる人が同性の場合も異性の場合 もある人。

「T」… (         ) →  生まれたときに法律的社会的に割り当てられたその 人の性別とは異なる性別を生きる人。

ワーク2

 次の【『性』の地図】を完成させてみましょう。

 ①~⑫の空欄には「男」「女」のどちらが入るでしょうか。記入してみましょう。

【『性』の地図】

一般女性

一般男性

性転換者 女→男

性転換者 男→女

ゲイ

レズビアン

XX

(女性)

XY

(男性)

XX

(女性)

XY

(男性)

XY

(男性)

XX

(女性)

       

***用語説明***

「性自認」: 人間が有している自己の性別に関する確信。「自分は男(女)である」と いう確信。

「性指向」: 性的魅力や欲望を男に感じるのか、女に感じるのか。異性に対して感じる のか、同性に感じるのか。そのどちらにも感じるのか、あるいはどちらに も感じないのか、自分の性的好みがいずれに向いているのかを示すこと。

「性役割」: その性別に、社会的に期待されている役割のこと。「男だからめそめそし ない」「女だから、おしとやかにする」などの行動規範に従って行動する とき、その人物は性役割を演じているとされる。

ワーク3

(1) あなたが【『性』の地図】のうちC「性転換者 女→男」であり、まだ周囲から女だ と思われていると仮定します。次のような言葉を聞いたとき、あなたはどう感じる でしょうか。下の欄に記入してみましょう。

①  「どうしてそんな男の子みたいな服を 着ているの?」

② 「女の子は女の子と遊びなさい。」

③ 「着替えは女子更衣室でしなさい。」

④ 「同性愛ってキモいよね。」

(2) では、どうすればそういう気持ちにならないと思いますか。自分の考えを下の欄に 記入し、グループで話し合ってみましょう。

解説 12 「普通」って何?~多様な性を考えよう~

 これは、「『性』は『グラデーション』である」、つまり、「性」とは、色調が徐々に段階 的に変化するように、二者択一ではない、ということを伝えるためのワークシートである。

1 ねらい

 男は男らしく、女は女らしくあって、そういった男女がステディな関係(特定の相手と のみ交際する関係)を築き、幸せな結婚をすることが理想的な生き方であるというのはご く「普通」の常識であると考えられている。

 しかし、理論的にも現実的にも、私たちのセクシュアリティ(性的指向性、性について の関心)とジェンダー(男らしさ、女らしさといった、社会的・文化的につくられた性別)

の結びつきはきわめて多様である。そういった「性的マイノリティ」の存在について理解 を深め、多様な生き方を認めて共生していくための視点の獲得をめざす。

2 進め方

(1)ワーク1について

   まず、基本的な知識の確認として、指名し、それぞれの言葉を答えさせる。L・G はマスコミなどでも取り上げられることが多いので比較的簡単に答えられると思われ るが、B・Tについては知らない生徒が多いことが予想されるので、説明を加える。

(2)ワーク2について

   ワーク1で確認した「LGBT」について、より詳細に理解するためのワークである。

空欄には「女」あるいは「男」の文字を記入させる。

   実際はこれほど単純ではなく、よりグラデーションに近い多様なものになるはずで、

これはかなり簡略化された表である。

   「性自認」「性指向」「性役割」については、分かりにくい語なので、〔用語説明〕を 参照させる。

〔解答〕

一般女性

一般男性

性転換者女→男

性転換者 男→女

ゲイ

レズビアン

XX

(女性)

XY

(男性)

XX

(女性)

XY

(男性)

XY

(男性)

XX

(女性)

「高校生のジェンダーとセクシュアリティ」(須藤廣編著 明石書店)より

(3)ワーク3について

   実際に自分が「性的マイノリティ」だったらどうなのか、ということを当事者の立 場で想像させるワークである。それに基づき、どうすればお互いを尊重しながら生き ていくことができるのかを考えさせる。3~4人のグループに分かれて話し合わせ、

その結果を発表させてもよい。

3 解説

(1)ワーク1について

   「LGBT」は当事者が自分のことをポジティブに語る言葉として、1990年代以降 北米やヨーロッパで使い始められ、最近では日本でも使われるようになってきている。

L、G、B、Tはそれぞれレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー の頭文字であるが、それぞれを指すだけではなく、「LGBT」として広く性的少数者 を指す表現として用いられることも多い言葉である。生徒に伝える前に、まず教員が 知識を持っておきたい。

  L: レズビアン。女性同性愛者。女性で女性を愛する人。「レズ」という略称は侮蔑的 に感じる人も少なくなく、当事者の間では、「ビアン」と略称することも多い。レ ズビアンのイメージを男性的な格好をした女性と考えている人も少なくないが、

女性的な服装をしているレズビアンも多く、異性愛者の女性と同じように、その あり方は多様である。

  G: ゲイ。男性同性愛者。男性で男性を愛する人。(欧米では“ g a y(ゲイ)”は、性 別を問わずすべての同性愛者を含む言葉として用いられることが多いが、日本で はレズビアンと区別して男性同性愛者のみをさすことがほとんどである。)テレビ などメディアで露出している人の傾向から女装したりオネエ言葉を使うのがゲイ だと思われがちだが、そうではない人も多い。「ホモ」や「おかま」という表現は 侮蔑的なニュアンスが含まれていると感じる当事者も多い。

  B: バイセクシュアル。両性愛者。好きになる人が同性の場合も異性の場合もある人 のこと。「バイ」は「2」を意味する接頭語。「男性か女性か」の二者択一ではなく、

「性別に関係なく」人を愛するという意味でパンセクシュアル(「パン=すべての」

という意味)という言葉を好む人もいる。なお自分のことをバイセクシュアルだ と思っていない人の中にも、「異性愛者であると思っているが、同性にも興味を持っ たことがある」「同性愛者と思っているが、異性にも興味を持ったことがある」と いう人はいる。

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