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5. 安全性の概括評価

5.3 特別な HCV 感染患者集団における安全性

5.3.1 HCV/HIV 重複感染患者における安全性

HCV/HIV重複感染患者におけるLDV/SOFデータは現在、得られていない。一方、以下に記載

するとおり、LDV/SOFをHIV-1 ARVと併用投与したときの薬物動態を評価する第1相臨床試験が 実施され、HCV/HIV-1重複感染患者を対象にLDV/SOFを評価する第3相臨床試験が実施中であ る。

健康被験者を対象とした第 1 相臨床試験(GS-US-337-0128)では、LDV/SOF を Epzicom®

(ABC/3TC)と併用投与したときのSOF及びLDVの薬物動態並びにEpzicomをLDV/SOFと併 用投与したときのABC及び3TCの薬物動態を評価した。LDV/SOFとABC/3TCの併用投与時で は、LDV/SOF又はABC/3TCの単独投与時と比較して、SOF、GS-566500、GS-331007、LDV、ABC 又は3TCの薬物動態に変化は認められなかった。すべての主な薬物動態パラメータ[AUCtau、Cmax

及びCtau(測定可能な場合)]の幾何平均比の90%CIは、あらかじめ規定された、薬物動態に変化 がなしとする限界値である70%~143%の範囲内であったことから、本試験で評価したいずれの薬 剤の薬物動態に対しても影響がないことが確認された(第2.7.2項、表2.7.2-18)。薬物動態データ から、LDV/SOF、ABC又は3TCを併用する際に用量調整は不要である。LDV/SOF(90 mg/400 mg)

を単剤投与又はABC/3TC(600 mg/300 mg)と併用投与したときの忍容性は概ね良好であった。

LDV/SOF+ABC/3TC投与群の被験者1例がGrade 4の重篤な有害事象として肝機能検査値異常

を発現し、治験薬の投与を中止した。この重篤な有害事象は治験薬との関連ありと判定された。

その後、本被験者は、治験薬の最終投与14日後に胆嚢炎(Grade 3の重篤な有害事象)を発現し た。この重篤な有害事象も治験薬との関連ありと判定されたが、投与前の疾患状態に起因する可 能性もあった。

ギリアド社は、ジェノタイプ1又は4の慢性HCV/HIV-1重複感染患者を対象に、LDV/SOFを 12 週間投与したときの有効性及び安全性を評価する第 3相臨床試験[GS-US-337-0115(ION-4)]

を開始した。この実施中の試験のデータは現在得られていないため、本申請資料には当該試験を 含めていない。SOF単味製剤におけるHCV/HIV重複感染患者を対象とした試験は実施しており、

ソバルディ®錠400 mg申請時(平成26年6月27日)に提出済みである。

LDV/SOF 配合錠と抗 HIV レトロウイルス薬の薬物動態学的薬物相互作用を評価する試験

(GS-US-337-1306)については実施済みである。本試験デザインと結果の概要を第2.7.2.2.2.3.5項 に示す。

5.3.2 肝機能障害患者における安全性

5.3.2.1 薬物動態

海外のLDV/SOFの臨床開発プログラムでは、SOF及びLDVの単味製剤を用い、肝機能障害が

SOF及びLDVの薬物動態に与える影響を評価した。SOF及びLDVの単味製剤としての薬物動態 と、配合錠の成分としての薬物動態に対する肝機能障害の影響は、同様であると予想される。

個別の配合成分としてのSOFについては、肝機能障害患者では、その重症度にかかわらず、用 量調整は不要と考えられた。ソバルディ®錠400 mg申請時(平成26年6月27日)に提出済みで ある。

個別の配合成分としてのLDVについては、他のDAAとの併用でLDV 30 mgを1日1回12日 間投与したときの中等度の肝機能障害の影響と、LDV 90 mgを単回投与したときの重度の肝機能 障害の影響をそれぞれGS-US-248-0117試験及びGS-US-344-0101試験で評価した。上記試験の結 果に基づき、肝機能障害患者では、その重症度にかかわらず、LDVの用量調整は不要と考えられ た。上記試験結果のさらなる詳細については、GS-US-248-0117 試験は第 2.7.2.2.2.2.9 項に、

GS-US-344-0101試験は第2.7.2.2.2.2.12項に示す。

これらの第 1 相臨床試験の結果に基づき、重症度にかかわらず、肝機能障害患者に LDV/SOF 配合錠の投与は可能であると考えられる。

LDV、SOF、及びSOFの代謝物GS-331007のポピュレーションPK解析において、代償性肝硬

変は重要な共変量ではなく、SOF、GS-331007及びLDVの薬物動態に対して肝硬変の影響がない ことが示された。肝機能障害がSOF及びLDVの曝露量に及ぼす影響については、第2.7.2.3.4.9.7 項に詳細を示す。

5.3.2.2 安全性

国内第 3相臨床試験(GS-US-337-0113)では、ベースライン時の代償性肝硬変の有無による有 害事象発現率について解析した。LDV/SOF群では、肝硬変の有無に関係なく有害事象発現率は同 様であった。しかし、LDV/SOF+RBV 群では、肝硬変を有する被験者が肝硬変を有していない被 験者に比べて有害事象発現率が高かった。特に差が見られたのは(肝硬変あり vs なし)、

LDV/SOF+RBV群の全有害事象(81.3% vs 75.2%)、治験薬と関連のある有害事象(62.5% vs 47.3%)

及び治験薬の用量調整及び休薬に至った有害事象(21.9% vs 10.1%)であった。

国内第3相臨床試験(GS-US-337-0113)と同じく、海外のLDV/SOFの第3相プログラムでは、

CPT分類がB又はCの肝硬変(非代償性肝硬変)患者は除外されたが、代償性肝硬変患者は組入 れ可能とした。LDV/SOF群では、あらゆる有害事象、Grade 3又は4の有害事象、並びに治験薬 の用量調整又は休薬に至った有害事象を発現した被験者の割合は、非肝硬変患者(それぞれ73.8%、

4.0%及び0.5%)と肝硬変患者(それぞれ76.6%、6.3%及び0.9%)で同程度であった(第5.3.5.3.2 項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。LDV/SOF+RBV群でも、有害事象を発現した被験者の割合は、非 肝硬変患者(85.1%)と肝硬変患者(87.6%)で同程度であった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、

Table 4.3)。しかし、Grade 3又は4の有害事象、並びに治験薬の用量調整又は休薬に至った有害事

象を発現した被験者の割合は、肝硬変患者(それぞれ8.8%及び20.4%)では、非肝硬変患者(そ

れぞれ 4.6%及び 12.5%)の約 2 倍であった。治験薬の用量調整又は休薬に至った有害事象が

LDV/SOF+RBV投与群で増加したことと一致して、貧血の発現率は非肝硬変患者(8.4%)よりも

肝硬変患者(17.7%)のほうが高かった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 5.5)。Grade分類さ れた臨床検査値異常について、LDV/SOF 群又は LDV/SOF+RBV 群で肝硬変の有無別に検討した

ところ、いずれの異常の発現率についても肝硬変の有無による差は認められなかった(第5.3.5.3.2 項、LDV/SOF ISS、Table 19.5)。

LDV/SOFの肝疾患進行例を対象とした試験(GS-US-337-0123; SOLAR-1)を実施しており、こ

の被験者集団で得られた安全性データを第2.7.4項に示した。

5.3.3 妊婦及び授乳婦における安全性

5.3.3.1 SOF

ソバルディ®錠400 mg申請時(平成26年6月27日)に提出済みである。

5.3.3.2 LDV

個別の配合成分としてのLDVについては、動物実験において直接的及び間接的な生殖毒性は見 られておらず、また、検討した最高用量投与でもラット及びウサギにおいて胎児発生に対する影 響は見られていない。非臨床試験で得られた生殖毒性の概要を第2.4.4.6.1項に示す。

5.3.3.3 LDV/SOF

LDV及びSOFの単味製剤としての非臨床試験は実施されており、LDV/SOF配合錠としての併 用投与では実施されていない。LDV/SOF配合錠としてSOF及びLDVを併用投与しても、妊婦及 び授乳婦において、いずれの配合成分の作用も変化しないと予想されること、SOF及びLDVの単 味製剤としての試験データにより、LDV/SOF配合錠の使用は支持される。

非臨床試験及び限られた臨床経験では、妊娠に関して、LDV/SOFの直接的又は間接的な有害性 は示されていない。

SOFの主な血中代謝物であるGS-331007は、授乳ラットの乳汁中で認められた主な成分であっ た(SOF ではない)。LDV はラットの乳汁中で直接には測定されなかったが、哺乳中の出生児で 低濃度のLDVが認められ、母乳を介して曝露したものと考えられた(第2.4.3.3.1.3項)。LDV又 はSOFとその代謝物がヒト乳汁中に移行するか否かは不明であるため、授乳婦は投与開始前に授 乳を中止するか、異なる治療を行うべきである。

妊婦を対象とした、適切な対照を設定した十分な臨床試験は実施されていない。現在までにLDV 若しくはSOFを単剤として、又はLDV/SOF配合錠を用いて実施されたすべての臨床試験では、

妊婦及び授乳婦は除外された。各試験に組み入れられた妊娠可能な女性は、2 種類の効果の高い 避妊方法を使用することとした。また、妊娠が確認された場合は、被験者を試験中止とすること とした。

5.3.4 男女別に見た安全性

国内第 3相臨床試験(GS-US-337-0113)において、有害事象及び臨床検査値異常に男女差は見 られなかった(第2.7.4.5.1.1.1項)。

海外のLDV/SOF第3相安全性解析集団の60.2%が男性であった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、

Table 2)。LDV/SOF群では、有害事象が認められた被験者の割合は、男性(71.0%)よりも女性(79.2%)

のほうが高かった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。一方、Grade 3又は4のあらゆる有 害事象並びに治験薬の用量調整又は休薬に至った有害事象を発現した被験者の割合は、女性被験 者(それぞれ5.1%及び0.2%)と男性被験者(それぞれ3.7%及び0.7%)で同程度であった(第5.3.5.3.2 項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。

LDV/SOF+RBV群では、全有害事象、Grade 3又は4の有害事象並びに治験薬の用量調整又は休

薬に至った有害事象を発現した被験者の割合は、女性被験者(それぞれ86.7%、5.4%及び15.4%)

と男性被験者(それぞれ84.5%、5.0%及び12.1%)で同程度であった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、

Table 4.3)。

Grade分類された臨床検査値異常について、LDV/SOF群又はLDV/SOF+RBV群において、性別

は臨床的に重要な影響を及ぼさないと考えられた(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 19.3)。

5.3.5 人種ごとの安全性

国内第3相試験(GS-US-337-0113)に組み入れられた被験者は全例(100%)が日本人であった。

ジェノタイプ1のHCV感染日本人被験者にSOF/LDVとRBVの併用又は非併用投与した際の 安全性プロファイルは本項、第5.2章、第2.7.4項及び第5.3.5.1.1項GS-US-337-0113治験総括報 告書に示した。

海外の LDV/SOF の第 3 相臨床試験の安全性集団の 15.8%が黒人であった(第 5.3.5.3.2 項、

LDV/SOF ISS、Table 2)。LDV/SOF群及びLDV/SOF+RBV群において、有害事象を発現した被験 者の割合は黒人被験者(それぞれ65.2%及び77.4%)と比較して非黒人被験者(それぞれ75.9%及 び86.9%)で高かった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。一方、Grade 3又は4の有害事 象を発現した被験者の割合は、LDV/SOF 群及び LDV/SOF+RBV 群の両群ともに、非黒人被験者

(それぞれ4.6%及び5.4%)と黒人被験者(それぞれ2.7%及び4.0%)で同程度であった(第5.3.5.3.2 項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。また、LDV/SOF及びLDV/SOF+RBVの両群において、治験薬の 用量調整又は休薬に至った有害事象を発現した被験者の割合は、非黒人被験者(それぞれ0.6%及 び13.7%)と黒人被験者(それぞれ0.5%及び12.9%)で同程度であった(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 4.3)。

Grade分類された臨床検査値異常について、LDV/SOF群又はLDV/SOF+RBV群において、人種

は臨床的に重要な影響を及ぼさないと考えられた(第5.3.5.3.2項、LDV/SOF ISS、Table 19.4)。

LDV/SOF投与時の日本人被験者と海外の第3相試験安全性解析集団との安全性プロファイルを

直接比較した解析は実施していないが、現存するデータを全般的に評価したところ、日本人と白 人の安全性プロファイルにも大きな違いはなかった。