• 検索結果がありません。

4. 有効性の概括評価

4.7 有効性に関する考察及び結論

中1例(0.5%)では、ウイルス学的再燃がLDVとSOF(S282T)の両者に対する耐性に関連して いた。この再燃患者1例は、LDVとSOFの両者に対する耐性変異を有していたが、LDV/SOF+RBV による再治療でSVR12が得られた。他の19例はSOF又はLDV/SOFをベースとする治療が無効 であったが、LDV/SOF+RBV の 12 又は 24 週間再治療後に SVR4 又は SVR12 を達成した(第 2.7.2.4.2.3.3.11項)。

大規模シークエンシングにより、NS5Bにおける置換変異V321A及びL159Fが低いレベルでジ ェノタイプ1aのHCV感染患者1例で再燃時に検出された。これらの置換はいずれもSOF治療に より発現することがこれまでに確認されているが、SOFに対する薬剤耐性は示されていない。ま た、NS5Bの保存領域の置換であるE237Gがジェノタイプ1aの被験者2例及びジェノタイプ1b の被験者1例で再燃時に認められた。これらのNS5B置換の臨床的意義は不明である。

臨床上の観点から、ウイルス配列と治療成績の間に高い予測値は認められず、かつNS5A 耐性 変異を有する被験者のほとんどでSVR12を達成していることから、ベースラインにおけるシーク エンシング解析の臨床的有用性はないと考えられる。

4.7 有効性に関する考察及び結論

LDV/SOFの海外第3相臨床プログラムでは、GS-US-337-0102(ION-1)試験及びGS-US-337-0109

(ION-2)試験で、それぞれ未治療及び前治療のあるジェノタイプ1のHCV感染被験者を対象に、

LDV/SOF±RBVの12又は24週間投与の評価を行った。両試験では、代償性肝硬変を有するHCV

感染被験者が最大で 20%組み入れられた。また、GS-US-337-0108(ION-3)試験では、未治療の ジェノタイプ1のHCV 感染を有する非肝硬変患者を対象に、LDV/SOF±RBV の8週間投与及び

LDV/SOFの12週間投与の評価を行った。全試験を通じて、LDV/SOFの投与はジェノタイプ1の

HCV感染被験者で高い有効性を示し、SVR12の点推定値は93%を超えた。

第3相試験4試験を通じて、LDV/SOFレジメンにRBVを追加してもSVR率は顕著に上昇しな かった。LDV/SOFを12又は24週間投与された未治療及び前治療のある被験者を対象に、SVR12 と SVR24 の 一 致 分 析 を 実 施 し た と こ ろ 、GS-US-337-0113 試 験 、GS-US-337-0102 試 験 、 GS-US-337-0108試験及びGS-US-337-0109試験の第3相試験で一致率は100%であった。また、い ずれの試験においても、SVR12率又は再燃に対して、LDV/SOFの食後投与又は空腹時投与による 臨床的に意味のある影響はなかった。

海外第3相試験の統合解析の結果、ウイルス学的治療不成功が認められた37例中8例(22%)

では、SOF又はLDVのいずれに対しても遺伝子型耐性及び薬剤耐性を示さなかった。37例中29 例(78%)で、ウイルス学的治療不成功は1種類のLDVに対する薬剤耐性と関連していた。大規 模シークエンシングにより、NS5Bにおける低レベルの置換変異V321A及びL159Fがジェノタイ プ1aのHCV感染患者1例で再燃時に検出された。これらの置換はいずれもSOF治療により発現 することがこれまでに確認されているが、SOFに対する薬剤耐性は示していない。また、ジェノ タイプ1aのHCV感染患者2例及びジェノタイプ1bの患者1例において、ウイルス学的治療不成 功の時点で、E237G(NS5B領域内の活性部位から遠い保存領域の置換)が認められた。これらの NS5B 置換の臨床的意義は不明である。その他の被験者では、SOF に対する遺伝型耐性及び薬剤 耐性はみられなかった。

全体として、SOFとLDVの2剤併用投与を行う場合、ベースライン時の既存のNS5A耐性変異 の、ウイルス学的治療不成功の予測因子として有用性は低いものと思われる。ベースライン時に NS5A耐性変異が認められた全被験者のうち、LDV/SOFを8週間又は12週間投与された被験者の

SVR12 達成率は、それぞれ89.5%(34/38例)又は92.1%(82/89例)であった。しかしながら、

ベースライン時にNS5A耐性変異を有していた被験者ではSVR12達成率がわずかに低く、このこ とは、前治療のある患者集団内でみられた、LDVに対してより高い耐性を示すNS5A耐性変異に 関連していると思われる。臨床上の観点から、ウイルス配列と治療結果の間で高い予測値が認め られず、かつNS5A耐性変異を有する被験者のほとんどがSVR12を達成していることから、ベー スラインにおけるシークエンシング解析の臨床的有用性はないと考えられる。

4.7.2 全般的有効性の結論

• 未治療及び前治療のあるジェノタイプ1(1a及び1b)の日本人慢性HCV感染被験者に対 し、RBV非併用のLDV/SOF配合錠1日1回、12週間経口投与により、100%の被験者で

SVR12が達成された。

• RBVを併用することで有効性に関する優位性は認められず、LDV/SOF治療レジメンに RBVを加える必要がないことが示された。

• 国内第3相試験(GS-US-337-0113)では 、ベースライン時にNS5A耐性を有した被験者 全例がLDV/SOFの12週間投与後にSVR12を達成した。

• 国内第3相試験(GS-US-337-0113)では、Peg-IFNα+RBV+PI治療が無効であった被験者全 例がLDV/SOFの12週間投与後にSVR12を達成した。

• GS-US-337-0113試験から得られた有効性結果は海外第3相試験から得られた結果と同様

であった。LDV/SOFレジメンの全ての第3相試験で、主要有効性評価項目が達成された。

• IFN及びRBVを併用しないLDV/SOF配合錠による1日1回12週間投与は、早急な治療 を必要とする未治療及び前治療のある日本人慢性HCV感染被験者において、好ましい安 全性及び良好な忍容性プロファイルに加え、これまでにない有効性成績を示した。これら のデータは、代償性肝硬変を有する患者を含むジェノタイプ1の日本人慢性HCV感染患 者での治療選択肢として、LDV/SOF配合錠の使用を支持している。

• SVR12率を人口統計学的特性及びベースラインの疾患特性別に評価したところ、未治療の

患者と前治療のある患者の両者で高いSVR率が認められたことと一致して、いずれの治 療群でも全体のSVR12率と概ね同様の結果が得られた。従来、再燃の関連因子とされる いくつかの宿主側及びウイルス側因子(年齢65歳以上、BMI高値、ジェノタイプ1a、高 ウイルス量、IL28B遺伝子型「non-CC」等)は、SVR12率に顕著な影響を与えなかった。