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まとめ

ドキュメント内 基 本 資 料 (ページ 82-86)

第 5 章 結論

5.1 まとめ

今まで日中同形語に関する研究は、殆ど国が違えば漢字は異なる意味が生じ るという論説である。つまり、日本語及び中国語の両言語より生じた同形語を 中心として研究されている。さらに、その意味の異同を追究することを重点と しており、国及び文化の差異が原因と考えられているのが現状である。

このような既に生成した漢字語意の結果に対した分類、分析、比較そして異 同の割合をまとめるという研究は、「結果論」という結論になっているにすぎな い。

何故このような研究の傾向になっているのであろうか。全ては語意の異同を 追求するのみで、なぜ同様の漢字は、象形文字に属するにもかかわらず、違う 認知をされる結果になることについて探求する研究はなかった。同形の漢字が 異なる意味を生成する原因は何であろう。いわば、一体如何なる漢字の特徴が このような事象をもたらしたのであろう。結局、漢字の特徴を解明することは 現在まで無視されている現象になっている。

日中同形語に対して、語意が異なる原因を追究しない。そして、それを単純 に国が違うため、語意が異なってくると視されている。しかし、実はこの事象 になったのは、漢字自身が様々な特徴を持っているからである。

本稿では、上述のような日中同形語における異国文化影響説について、果た してそうであるか否か、それとも漢字の特徴が漢字語意に影響するのかを考察 してみた。

まず、表意文字に属する漢字は意味を表す性質を持ち、個々の文字は意味単 位になり、独自に物事の意味を演じることができるという特徴を持っている。

このような漢字が、文法形式で漢字間の関係を示すのではなく、視覚でこの字 は何の物事と関係があり、そしてその意味を理解・想像或は推測できる。つま り、形式を持っていないため、結合しても、しなくても、語意は周辺の環境に 影響され、変化する。即ち、固定的な意味が無い。従って、漢字と漢字との間 には必然的な関係を持っていないのである。

次に、漢字は一定の意味を持つことも出来ないし、必然的な関係も持ってい ないため、分析することができない。たとえば、性別の区分がない「老」と「頭」

が結合して「老頭」となると年寄りの男性という性別が生じる。また、「お母さ ん」である「娘」は、「子」と結合して「娘子」となったら、お母さんの子供で はなく、「奥さん」になった。これは漢字が必然的な関係がない故に、他の漢字 と結合すると、字の概念も融合され、新たな概念が生まれたのである。この漢 字組み合わせの認知は、すべで地域の共通概念から生まれたのである。即ち、

社会通念である。

このような原因により、漢字は地域に影響されて、環境、文脈及び会話状況 などの外的要素によって認知が変わる。つまり、違う地域により、違う認知結 果が形成される。これは、異国文化が違うのと全く関係がない。元々地域性と いう特徴を持ているのである。例えば、「高考」は、中国では「大学の入学試験」

を意味している。しかし、台湾では「政府高級公務員試験」を意味するのとは 異なる。中国と台湾は、この字に対して全く異なった意味を持っている。「高考」

という「高いレベルの試験」とは、学歴のレベルが高いことと、公務員のレベ ルが高いこと、つまり異なった高いレベルのことを指しているのである。これ は、地域其々独自の認知結果になる。この特徴を持っているゆえに、二地域の

共同認識の差異により、社会通念が違うため、同形の漢字に対して違うものと して認知されるのも当たり前ではないだろうか。また、「小人」も同じようであ る。日本では年齢の小さい「子供」を、台湾では度胸が小さい「人格が卑しい 人」を意味する、つまり二つの異なった認知結果になる。然しながら、この特 徴が無視され、今まで同形語についての研究は、認知された結果とした「結果 論」となったにすぎない。漢字の認知や理解には成り得ず、役に立たない。語 意の相違を追究することは、ただ語意に対して主観的な判断がされるだけで、

漢字の本当の特徴を見逃してしまうと思われる。ゆえに、なぜ同じ漢字の組合 せにより、異なる意味が生まれるのかは、日中の問題のみではなく、むしろ、

漢字自身の特徴が隠されていて、このような結果になったと思われる。

一言でいうと、漢字は国の違いが原因ではなく、上述した特徴を持ちながら 地域に影響され、様々な語意が生じたのである。そして、その生成した語意は 地域の共同認識した結果である。要するに、国の違いではなく、地域によって、

漢字は異なる認知が生まれるという特徴があることが明らかになった。

よって、本稿の内容を通して日本語及び中国語を使っている皆様に、漢字が 如何なる特徴を持っているかを理解してもらえるよう、心から願っている。

そして、本研究に渡って、今後日本語及び中国語における漢字の差異を説明 する際には、漢字の特徴を先に紹介すれば、学習者は自分が既に持っている認 知で他言語の漢字語意を解釈するといった誤解を避ける事ができる。そして、

漢字が違う意味になることは、日本人が勝手にそれを変えるのではなく、元々 漢字の特徴であるため、違う地域で異なる認知結果が現れるのである。

つまり、現在の教育及び研究は日中と違う国の関係で漢字の語意に影響され

ると見なしている。しかし、事実はそうではない。漢字は元々地域によって違 う結果になる特徴をもっているからである。よって、違う地域で同形の漢字を 見た場合は、自分の感覚より他の地域で形成した共同認識を推測ではなく、そ れを新たな単語として認知するべきのである。そして、まずその地域の共同認 識を理解してから、またその漢字の語意を認知することこそ正確な認知手段で あると思われる。たとえ同じ漢字圏における華人の国に居ても、自分が持って いる既存の認知結果より、中国及び香港・シンガポールの漢字を認知すること は出来ないのである。

ドキュメント内 基 本 資 料 (ページ 82-86)

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