第 5 章 結論
C.2 準周期信号の抽出
先行研究の歩行開始時間を検出するために閾値を用いる手法[81]と,逐次,準周期を検出 する手法[76]に,行動推定に用いられる分散[98]と DTW を導入することで,準周期信号へ 信号を分離し,取得する手法を適用した.セグメンテーションの手順を以下に示す.
1) 鉛直方向の加速度を監視し,閾値1.2Gを越える事によって,自動で以下の分離を開始 する.
2) 閾値を越えた時間𝑡𝑠から,極大値抽出範囲の振幅最大値を準周期に分離をするための 最初の歩行信号 0の開始時間𝑇0とする.
3) 次の準周期信号の開始時間𝑇1を,0.7~1.3 秒後にある極大値全てを候補とし,各極大
値の時間{𝑡11, 𝑡12, ⋯ }を中心とした0.6秒間の部分信号を抽出する.(図C-1)
4) 2)の各部分信号と,𝑇1を中心とした0.6秒間の部分信号との間で正規化相互相関を計算
する.この値が最大の極大値を次の周期開始時間𝑇1として選出する.この処理により,
0の開始時間と終了時間を得ることが可能となる.
5)次の周期の開始時間𝑇1から 0.7~1.3 秒後に存在する各極大値の時間{𝑡21, 𝑡22, ⋯ }までの
部分信号を全て取得する.4)で求めた準周期信号 0と部分信号との間で DTW による 距離計算を行う.最小となった部分信号の極大値の時間を,次の周期の開始時間𝑇2と した.距離については,DTWとマンハッタン距離の組み合わせで計算し,2つの信号 の長さ合計で距離を除算して,正規化した距離を比較した.(図C-2)
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6) 5)の極大値抽出と,直前の準周期信号との間でDTWによる距離計算を繰り返すことで,
全ての準周期信号の抽出を行った.
7) 6)を2)で求めた最大値から,時間を戻る信号についても繰り返し行う.
8) 歩きはじめの最初の2歩は,分散が閾値を超える傾向が観察された.そこで歩行動作 が開始された最初の2歩分の準周期信号を,分散が閾値を超えた信号とする.
9) 最初の準周期信号の信号波形が,他の準周期号と比較して歪みが大きいことが観察さ れた.そこで,最初の2歩は認証のデータから除外することにし,それに続く,次の 準周期信号から認証に利用するとしてデータセットを収集した.
この鉛直方向の加速度信号と分散との関係を示したある被験者の例を図 C-3 に示す.この 信号の場合,約 2 秒から開始される準周期信号及び,それ以降に続く準周期信号を認証に 使用するデータとして採用する.得られた周期開始時間で他の軸,他のセンサの計測信号 も分離し,開始時間及び終了時間が対応する計6種の信号を取得した.
各パラメータについては実験的に試行を繰り返すことで設定した.表C-1に示す.
図C-1 𝑇0から一定時間内にある極大値とその時間
0 10 20 30
2 3 4
加速度 [m/ s
2]
経過時間 [s]
𝑇
01.3s0.7s
𝑇
1𝑡11
𝑡12 𝑡1
𝑡14
𝑡
150.6s
0
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図C-2 𝑇1から一定時間内にある極大値とその時間
図C-3 提案手法の適用による準周期信号の抽出例
0 10 20 30
2 3 4 5
加速度 [m/ s
2]
経過時間 [s]
𝑇
0𝑇
10
𝑡
21 𝑡22𝑡
20.7s1.3s
𝑡
240 10 20 30
0 1 2 3 4 5
加速度 [m/ s
2]
時間 [s]
𝑇
0𝑇
1𝑇
20
𝑇
−11 2
−1
−2
𝜎2= 3.72 10−4 𝜎2=0.094 𝜎2=0.178 𝜎2=0.203
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表C-1 準周期信号抽出に使用したパラメータ
パラメータ 設定値
X軸方向加速度閾値 加速度閾値からの探索時間
極大値抽出範囲 正規化相互相関計算範囲
分散閾値
1.2G 2.0秒 0.7~1.3秒後
0.6秒間 0.09
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付録 D 単一センサ・単一軸信号による 認証度向上法の予備実験
本研究は各軸の信号の特徴量としてテンプレートと入力信号の信号間距離を採用し,テ ンプレートと入力信号が同一人物のものであるかを判定する2クラス機器別器を構成する.
特徴量は,本研究においては 2 信号間の距離となる.したがって信号間距離は,同一人物 同士の場合と,異なる人物の場合において明確に値の差が存在する距離計算法が望ましい.
適切な距離計算法を採用することで,比較を行う 2 信号が同一人物である場合は小さな値 となり,異なる人物の信号間距離は大きな値となることから,2つのクラスの重なりがなく なり,優れた認証性能を示すことに繋がる.
本研究ではEERを基に,各センサ各軸の信号において最適な距離計算法の検討を実施し た.本実験で最終的に採用する単一軸の認証の流れを図 D-1 に示す.各ステップでは様々 な計算方法やパラメータが最適な手法として採用する候補として考えられるが,それら全 ての組み合わせを網羅することは組み合わせが膨大な数となり,検証は困難である.その ため,与える影響が大きいと考えられるステップから順番に,最も高い手法を順番に採用 することとした.
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図D-1 単一軸信号による認証処理のフロー
前処理(ノイズ除去)
準周期信号抽出
振幅の正規化
距離計算
閾値判定
認証結果(受理/拒否)
事前登録信号 入力信号
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