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第 1 章 序論

1.3 バイオメトリクス認証システム

1.3.3 マルチバイオメトリクス

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認証処理の各段階によるマルチバイオメトリクス手法の分類[49][50]

複数の認証方法を合わせる手法はバイオメトリクスの分野では Fusion と呼ばれ,認証の 様々な段階において,その手法が提案されている.主なFusion手法を説明する.

(1) 照合前

(1-1) センサーレベルFusion

センサで計測した各々のデータから特徴を抽出する前に,それらを合わせることで,新 たなデータを作成する手法のことである.例えば,複数回撮影した部分ごとの指紋画像を 基に1つの指紋画像を作成する操作などが,この手法に該当する.

(1-2)特徴レベルFusion

複数の特徴を合わせて 1 つの特徴を作成する手法のことである.例として同一人物の同 一モダリティから新たな登録信号を得た際に,テンプレートとなる特徴ベクトルの更新や 改善をすること,同一人物の異なるモダリティから得た特徴ベクトルを一つの特徴ベクト ルとすることなどが,特徴レベルの Fusion に該当する.異種モダリティから得た特徴を一 つの特徴ベクトルに統合する場合,各特徴量のスケールが異なる場合が多い.このため,

各特徴に対して何らかの正規化処理が必要となる.

(2) 照合後

(2-1) スコアレベルFusion(統計的手法)

モダリティから得た特徴空間ではなく,スコア(類似度,相違度)を基に認証を行う手 法である.パラメトリックなスコアレベルFusion として,ベイズの定理を基に認証を行う 手法が提案されている.各認証システムスコアの分布を推測し,尤度𝑝(𝑠𝑖|𝜔𝑘)が最大値とな るクラスであると判定する手法である.以下の2つの識別規則が知られている.

・Product Rule[51]

識別結果= arg max

𝜔𝑘 ∏ 𝑝(𝑠𝑖|𝜔𝑘)

𝑁

𝑖=1

(1.6)

・Sum Rule[52]

識別結果= arg max

𝜔𝑘 ∑ 𝑝(𝑠𝑖|𝜔𝑘)

𝑁

𝑖=1

(1.7)

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ここで,𝜔𝑘を所属するクラス,𝑠𝑖を各認証システムより得られたスコアとする.しかし,

尤度を求めるためには,事前確率と確率密度関数の推定を正しく行う必要があり,その人 物のデータを数多く必要とすることが認証においては課題となる.

(2-2) スコアレベルFusion(識別的手法)

各認証システムから得られる類似度・相違度を特徴ベクトルとし,同一人物のものであ るか,異なる人物のものであるかという 2 クラスの識別問題とする方法である.機械学習 を用いて,事前に登録された学習データから識別関数のパラメータを決定する.結果は,

識別境界からの距離となる.k最近傍法や決定木[53],サポートベクターマシン[54]など様々 なものが提案されている.またパラメトリックな識別的手法としては,線形ロジスティッ ク回帰[53][55]による手法が提案されている.

(2-3) 決定レベルFusion

2個の認証システムを基に認証する場合は,それぞれのシステムの認証結果の論理積を取 る.これにより,どちらの認証システムの認証結果も受け入れと判定されなければ,最終 的な認証結果が受理とならないため,誤って他人を受け入れる割合を減少させることがで きる.同時に,誤って本人を拒否する割合も高くなる.論理和を基に最終的は判断を行う 場合は,逆の現象が発生する.

3個以上の認証システムを合わせる場合は,同様に論理和や論理積を取る方法と,多数決 を取る方法が提案されている.

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