第 1 章 序論
1.4 本研究の問題設定
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23 (4) 照合
あらかじめ登録されていた本人の歩行信号の情報(テンプレート信号,または特徴量)
と,入力された歩行信号から得た情報との距離計算を行う.
(5)閾値処理
照合によって得られた特徴間の距離に対して,閾値を適用して認証要求を受理するか,
拒否するかを決定する.
はじめに歩行動作が開始されたことを検出し,連続的に計測される歩行信号から,認証 に使用する部分信号を抽出する必要がある.歩行動作は左右両足を振る動作の繰り返しで あり,図1-5に示すとおり,類似性の高い信号が繰り返し観測される.しかしながら,周期 や振幅が全く同一とならないことから,テンプレートと入力信号において対応する動作区 間の信号を正しく抽出来なければ,認証精度の低下を招く恐れがある.周期や振幅が同一 することから,その変化に追従する信号の抽出方法が必要となる.
また,センサは常に同じ位置に装着されるとは限らない.本研究では利便性を考え,特 別な装着具を使用せず,特定のポケットに所持した端末を基にした認証法を検討する.端 末を使用した後にポケットに端末を入れ直したり,ポケットの弱い端末への拘束力から歩 行動作中に端末位置がポケット内で移動したりする可能性もある.したがって端末の位置 の「ずれ」による計測位置の変化や,端末を入れ直した際に向きが変わることによる信号 への影響を検討し,対応する必要がある.
さらに,同一人物であっても全く同じ歩行動作を行うことは困難である.したがって,
照合においても 1 周期の時間の変化に対応する必要や,歩行速度の変化による振幅の変化 に対応する必要もある.なお,端末を収納する場所(左右どちらのズボンポケットである か)については,ユーザが意識すれば固定することは可能であるため,本研究の対象とし ない.特徴抽出については,認証性能が大きく変化する.非常に重要な問題と位置づけら れる.
最後にテンプレート信号と入力信号(または各々から抽出した特徴量)を照合し,距離
(または類似度)を求め,閾値処理により認証の受理または拒否を決定する.
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これらを総括すると,歩行認証において認証の高精度化のために解決が必要な技術的問題 としては以下が存在する.
端末のポケット収納の際の向きの違いに起因する計測信号の変化への対応
計測位置の変化に起因する計測信号の変化への対応
歩行速度の変化に起因する計測信号の歩行周期と振幅の変化への対応
歩行動作の変化に起因する計測信号の歩行周期と振幅の変化への対応
このうち,端末のポケット収納の際の向きについては,端末とポケットのサイズの関係か ら,上下と表裏が逆になるだけであると考えられる.これにより生じるのは理想的には,
符号が変化するだけである.対策としては,静止時の重力加速度や平均加速度を測定する ことで,現在の端末の上下の向きについては判断できる可能性が存在すること.さらにセ ンサやその軸に応じて計測信号の符号を入れ替えることで対応できると予想されることか ら,本研究では今後の課題として取り扱う.
本研究では向きの違いを除いた,歩行動作や速度の変化に起因する周期の変化,振幅の 変化,計測位置の変化への対応を行い,歩行認証の高精度化を実現する.
図1-5 ポケットに収納した加速度センサで観測された歩行動作時の加速度信号
(X:鉛直下向き,Y:側方,Z:後方)
-30 -20 -10 0 10 20 30 40
0 1 2 3
加速度[m/s2]
経過時間[s]
X Y Z
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図1-6 歩行認証において対応が必要な技術的課題
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Time
計測信号
周期 周期
周期の変化 振幅の変化
計測位置の変化
歩行速度の変化
影響
歩行動作
歩行動作の変化
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