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第 4 章 Rb-HTB の異方的誘電特性の研究

4.3. 測定結果

5 個の Rb-HTB 粒子について E-q マップ測定を行った。図 40(a)に粒子の TEM 像、図 40(b)に[12̅10]入射での電子回折図形を示す。電子回折図形には、材料の HTB 構造による 基本的なスポットだけでなく、黒矢印で示した101̅0方向に延びたストリーク強度も示して いる。これらのストリークは、ℎ0ℎ̅𝑙スポット(𝑙 :奇数)を含む行でのみ観測されている。同 様のプロセスで合成された Cs-HTB では、ストリークは観察されていない。これらのスト リークは、101̅0方向に何らかの周期の乱れが存在することを示唆している。

E-q マップは、q 選択スリットを101̅0方向と0001方向に対して平行に設定した条件で得 た。E-q マップ撮影時のスリット位置を図 40(b)に青色の矩形で示した。

図 40 (a) 測定した粒子の一つの TEM 像。黄色の点線丸は制限視野電子回折図形を取得した領域を示す。

(b) 粒子から得られた電子回折図形。E-q マップ撮影時の q 選択スリットの位置を青い四角で示す。黒矢印 はストリークを含む行を示す。黄色矢印で示した Extra spots は選択領域内の異なる粒子に起因する回折と 考えられる。

[1210]

100 nm

101̅0

0002 0000

(a) (b)

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得られた E-q マップを図 41 に示す。q 選択スリットの配置を q//101̅0とした結果(図 41a)では、q//0001とした結果(図 41b)と比較してプラズモンピークがより低エネルギー 側に観察された。これは Rb-HTB にも Cs-HTB と同様、異方的な誘電特性が存在すること を示す結果である。

図 41 粒子 1 で得られた E-q マップ。(a)は q//𝟏𝟎𝟏̅𝟎、(b)は q//𝟎𝟎𝟎𝟏に対応する。グレーの矩形はライン プロファイルの解析範囲を示す。

図 41(a)(b)に E-q マップ中に示した矩形範囲から得られた q 分解 EELS スペクトルのラ インプロファイルを図 42 に示す。図 42(a)と(b)は、運動量移送ベクトルの方向が q//101̅0 および q//0001であるスペクトルにそれぞれ対応する。q=0 の場合、1.7 eV 付近に点線で 示されたかすかなショルダー構造を持つピーク(Peak A)が 1.2 eV 付近に観測された。101̅0 方向の q の増加に伴い、Peak A の位置は徐々に高エネルギー側にシフトした(図 42a)。一 方、q//0001 では、Peak A は急速に消失し、1.7 eV 付近に新たな Peak B が観測された(図 42b)。Peak B もまた q の増加とともに高エネルギー側にシフトした。

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図 42 粒子 1 で得られた q 分解 EELS ラインプロファイル。(a)は q//𝟏𝟎𝟏̅𝟎、(b)は q//𝟎𝟎𝟎𝟏のスペクト ル。

Cs-HTB の q 分解 EELS 測定結果との類推から、Peak A と Peak B はそれぞれ⊥c方向と //c方向のプラズモン振動モードであると理解できる。このことから、Rb-HTB のプラズモ ン振動は Cs-HTB と同様に異方的であることが確認された。q=0 付近では、Peak A は明確 に観測されるが、Peak B は明確に観測されず、1.6 eV 付近に点線で示すような微弱な構造 として観測された。この特徴は、Rb-HTB ナノ粒子の光吸収スペクトルにおいて、1.3-1.4eV にサブピークが存在しない10,22ことと整合している。

q 分解 EELS ラインプロファイルをローレンツ関数でフィッティングして Peak A と B の ピークエネルギーと半値幅(FWHM)を評価した。q < 0.1 Å-1のスペクトルは Peak A と Peak B が重なったものとみなし、2 つのローレンツ関数を用いてフィッティングを行った。

q > 0.1 Å-1のスペクトルでは、1 つのローレンツ関数でフィッティングした。

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

Intensity

Energy (eV)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

Intensity

Energy (eV)

Peak A

Peak A

Peak B

(a) (b)

q (Å-1)

0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.150.18 0.21 0.24

q (Å-1)

0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0.18 0.21 0.24

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5 つの粒子のピークエネルギーと FWHM を同様に評価した。ピークエネルギーと FWHM を図 43(a)(b)にそれぞれ示す。比較のため Cs-HTB の結果23を併せて示した。Rb-HTB で 観測された Peak A および B のピークエネルギーは、それぞれ対応する Cs-HTB のピーク エネルギーと比較して、いずれも低い値を示した。この結果は、Rb-HTB のキャリア電子密 度が Cs-HTB よりも小さいことを示している。また、各ピークの FWHM 値は Cs-HTB の それよりも大きくなっている。これは、Rb-HTB のプラズモン振動のダンピングが Cs-HTB よりも大きいことを意味する。以上の結果は、Rb-HTB のキャリア電子の挙動が Cs-HTB のそれとは異なることを示している。

図 43 (a) EELS ピークエネルギーおよび(b) 半価幅(FWHM)の q 分散。Cs-HTB のデータ23を併せて 示した。