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深層防護

原子力発電所の安全運転は、3つの基本的安全機能を維持することによって確保されるとしばしば 言われている。

(1) 反応度の制御 (2) 燃料の冷却 (3) 閉じ込め

これは、3つの基本的安全機能を維持することによって、安全運転が確保されると述べることによ り、放射性物質の使用を伴う活動の安全な運転/操作に適用されるものと一般化することができる。

(1) 反応度又はプロセス状態の制御 (2) 放射性物質の冷却

(3) 放射性物質の管理(例えば、放射性物質の閉じ込め及び遮蔽)

幾つかの行為(活動)に対しては、これらの安全機能のすべてが必ずしも関連していない(例えば産 業用X線撮影では3番目の機能のみが関連している)。

各安全機能は、優れた設計、十分に管理された運転、及び一連の体系と運用管理によって確保され る。深層防護アプローチは、一般的に、これらの各側面に適用され、設備の故障、人的過誤及び計画 外に発展する事象の発生の可能性を酌量している。

従って、深層防護は、保守的な設計、品質保証、サーベイランス、緩和措置、及び継続的なレベル の各々を強化する一般的な安全文化、の組合せである。

深層防護は、主要な原子力及び放射線施設の設計及び運転に対する基本である。IAEA安全シリー

ズNo. 75-INSAG-3 [Ⅰ-1]「原子力発電プラントに対する基本安全原則」には、以下のように記載

されている。

「潜在的な人的や機械的な故障を補償するため、放射性物質の環境への放出を防止する連続した バリアを含む幾つかの防護レベルに重点をおいて深層防護の概念が導入される。その概念には、

深層防護は、様々な方法で考えることができる。例えば、放射性物質の放出を防止するために設け られている障壁の数と考えることもできる(例えば、燃料、被覆管、圧力容器、格納容器)。同様に、

事故が発生する前に故障しなければならないような系統の数を考えることもできる(例えば、外部電 源喪失に加えすべての必須ディーゼルの故障)。INES 評価手順において採用されているのは、後者 のアプローチである。

施設の安全性に対する根拠の中で、運転設備は、安全設備から区別することもある。運転設備が故 障した場合には、追加的な安全対策が正常に働きその安全機能を維持する。安全対策は、手順書、運 用管理、あるいは静的又は動的系統のいずれであってもよく、これらは通常、多重性を以って備えら れており、運転制限条件によってそれが使用可能かどうかが管理されている。

安全設備に対する作動の要求の頻度は、優れた設計、運転、保守、及びサーベイランスによって最 低限に抑えられる。例えば、原子炉の 1 次系や、再処理プラント内の主要配管及び容器の故障頻度 は、設計余裕、品質管理、運転制限、及びサーベイランスなどによって最低限に抑えられる。同様に、

原子炉の過渡事象の発生頻度は、運転手順と制御系によって最低限に抑えられる。通常の運転及び制 御系は、安全設備に対する作動の要求の頻度を最低限に抑えることに寄与する。

INSAG-10 [Ⅰ-2](INESの開発以降に作成された)には、設計及び運転における深層防護の具体

化に関して更に多くの詳細が提示されており、表Ⅰ-1には、INSAG-10 に記載されている概念を、

深層防護のINESの評価の中にどのように組み込むかが示されている。

参考資料 

[I–1] INTERNATIONAL NUCLEAR SAFETY ADVISORY GROUP, Basic Safety Principles for Nuclear Power Plants, Safety Series No. 75-INSAG-3, IAEA, Vienna (1999).

[I–2] INTERNATIONAL NUCLEAR SAFETY ADVISORY GROUP, Defence in Depth in Nuclear Safety, INSAG-10, IAEA, Vienna (1996).

表I-1. 設計及び運転における深層防護

INES内の処理

目的 実施手段 発電用原子炉の場合

(5章)

他の施設の場合

(6章)

異常な運転と故障の防 止

保守的な設計と建設及 び運転における高い品 質

起因事象の可能性を考 慮することによって対 処される。

十分に設計されている 各系統は、1 つ又は複 数の安全防護層と考え られている。

異常な運転の管理と故 障の検出

制御、制限及び防護系 並びに他のサーベイラ ンス機能

制御及びサーベイラン ス機能は、起因事象の 可能性を考慮すること によって対処される。

保護系統は、安全系統 として含まれており、

安全機能の作動性を考 慮することによって対 処される。

1 つ又は複数の安全防 護 層 と 考 え ら れ て い る。

設計基準内事故の管理 工学的安全機能と事故 時手順

安全機能の作動性を考 慮することによって対 処される。

1 つ又は複数の安全防 護 層 と 考 え ら れ て い る。

事故の進展の防止とシ ビアアクシデントの影 響の緩和を含む、苛酷 なプラント状態の管理

補完的措置とアクシデ ント・マネジメント

安全機能の作動性を考 慮することによって対 処される。

1 つ又は複数の安全防 護 層 と 考 え ら れ て い る。

放射性物質の大量放出 による放射線学的影響 の緩和

所外の緊急時対応 深層防護の一部と考え られていない。これら の措置は、INES ユー ザー・マニュアルの前 半の章で考慮されてい る よ う な 実 際 の 結 果 (被ばく線量等)に影響 を与える。

深層防護の一部と考え られていない。これら の措置は、INES ユー ザー・マニュアルの初 期の章で考慮されてい る実際の結果(被ばく 線量等)に影響を与え る。