6. 特定の施設での事象に対する深層防護への影響の評価
6.2 事象評価のための詳細なガイダンス
6.2.3 基本レベルの評価
6.2.2.4 利用可能な時間
幾つかの状況においては、是正措置を実施するために利用可能な時間が、是正措置を実施するのに 必要な時間よりもはるかに大きく、追加的な安全防護層が利用可能となる場合がある。必要な措置を 実施するための手順が存在している場合、追加的安全防護層を考慮することができる。警報または表 示に対応した運転員の措置によって、こうした安全防護層のいくつかが有効になる場合、手順書自体 の信頼性を考慮しなければならない。この手順を実施するために利用できる時間は、運転手順書に要 求される信頼性に重大な影響を及ぼすものと考えられる。(6.4.1.節の例を参照)
幾つかのケースにおいて、利用可能な時間は、全ての範囲の潜在的な安全防護層を利用可能とする ことができるような時間であり、その各々を詳細に特定したり、その各々を利用できるようにする方 法の詳細を手順の中に含めたりすることは、今までは安全性の正当化において必要と考えられていな かった。こうしたケース(実施可能な現実的な対策が存在していることを条件とする)では、利用可 能な長い時間は、それ自体で、高い信頼性を有する安全防護層を提供することになる。
(3) その他のすべての状況については、基本評価値を決定するために表11を使用すべきである。
(a) 1つの安全防護層しか残っていないが、その安全防護層が高い健全性を有する安全防護層 のすべての要件を満たしているか(6.2.2.3節)、あるいは高い信頼性を有する安全防護層を 提供するのに十分な利用可能な時間がある場合(6.2.2.4節)、評価尺度未満/レベル0 18と いう基本評価値がより妥当である。
(b) 安全防護層の使用不能期間が安全防護層の構成機器の試験間隔に較べて非常に短期間であ る場合(例えば、月1回の試験期間の機器に対して30分)、この事象の基本評価値を下げる ことを考慮すべきである。
表 11 安全防護層による事象評価
最大の潜在的影響a 残っている安全防護層の数 (1)
レベル 5, 6, 7
レベル (2) 3, 4
レベル (3) 2 or 1
A 3 以上 0 0 0
B 3 1 0 0
C 2 2 1 0
D 1 or 0 3 2 1
a 最大の潜在的影響は、既に深層防護の上限であるため、付加的な要因によって評価値を引き上げることはできない。
このアプローチでは、必然的に、何らかの判断を必要とするが、6.3. 節に、具体的な事象のタイ プに対する評価ガイダンスが示されており、6.4. 節には、安全防護層アプローチを用いた実事例が 示されている。
6.2.3.2 潜在的故障(構造的欠陥を含む)
幾つかの事象は、それ自体が安全防護層の数を減らすわけではないが、減らす可能性を高める場合 がある。
その例としては、構造的欠陥の発見、運転員の措置によって終息した漏洩、あるいはプロセス管理系 で発見された故障が、例として挙げられる。こうした事象を評価するためのアプローチは、以下のと おりである。まず、潜在的故障の重要性は、それが実際に発生したものと仮定し、6.2.3.1節の評価 方法を適用することにより、その時点で残っていたと思われる安全防護層の数に基づいて評価すべき である。第2に潜在的事象が実際に発生した事象から発展する可能性があったかどうかにより、その 評価値を引き下げるべきである。引き下げるべき評価値は、判断に基づかなければならない。
潜在的故障の最も一般的な事例の1つは、構造的欠陥の発見である。サーベランスプログラムは、
構造的欠陥の規模が制限を超える前にその欠陥を見つけることを意図したものである。欠陥が制限の 範囲内となっている場合には、評価尺度未満/レベル0 が適切であろう。
欠陥が、サーベランスプログラムの下で予想されたものよりも大きい場合、その事象の評価におい て、2つの要素を考慮する必要がある。
第1に、潜在的故障の評価は、その欠陥が、機器の故障につながるものと仮定し、6.2.3.1.節のガイ ダンスを適用することによって決定すべきである。このような方法で導き出された潜在的故障の評価 値は、その後、その欠陥が潜在的事象につながった可能性に応じ、また、6.2.4節で説明する付加的 要因を考慮することによって調整すべきである。
6.2.3.3 評価尺度未満/レベル0 事象
一般に、上記の手順を用いることにより高い評価値とならない場合にのみ、事象を評価尺度未満/
レベル0 に分類すべきである。しかし、6.2.4節で述べる付加的要因が該当しなければ、以下のタイ プの事象が、評価尺度未満/レベル0に分類される事象の代表例である:
―施設の安全性に影響を及ぼさない安全系統の誤動作19でその後、通常の運転に復帰した場合;
− 放射線バリアの著しい劣化がない場合(認可された制限内の漏えい率);
− 計画された定期検査や試験の際に多重系における単一の機器故障や機器の動作不能が発見され た場合。