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6.   特定の施設での事象に対する深層防護への影響の評価

6.2   事象評価のための詳細なガイダンス

6.2.2   安全防護層の数の特定

6.2.2.1 安全防護層の特定

この章の対象となっている様々な施設では、使用されている安全対策は多種多様である。これらの うちの幾つかは恒久的な物理的バリアであり、他のものは、インターロックに依存していたり、冷却 又は注入系のような能動的な工学設備であったり、警報に対応した運転員による運用管理や措置に基 づくものである場合がある。こうした広範な安全対策を含む事象の評価方法は、その安全対策を個別 かつ独立の安全防護層に分類することである。たとえば、2つの個別の表示が、単一のインターロッ クを経由している場合、その表示とインターロックが一緒になって単一の安全防護層を提供すると考 える。一方、冷却が、2つの個別の100%ポンプによって行われる場合は、それらが多重となってい ないサポート系統を共有していなければ、2つの個別の安全防護層と考えるべきである。

  安全防護層の数を考慮するとき、多数の個別のハードウェア層の有効性が、共通のサポート系や、

警報や表示に対応して運転員がとる共通の措置により、低下しないことを確認する必要がある。こう したケースでは、幾つかのハードウェア層が存在するような場合であっても、有効な安全防護層は1 つしか存在していないことがあり得る。

  運用管理を安全防護層と考える場合、個別の手順を独立のものと考えることができる範囲を確認し、

その手順が、安全防護層と見なす上で十分な信頼性を有したものであることを確認することが重要で ある。また利用が可能な時間は、運転手順書に要求される信頼性に重大な影響を及ぼすもの考えられ る。

  安全防護層にサーベイランス手順を含めることはできるが、サーベイランスだけで安全防護層を提 供することはできないということに注意すべきである。是正措置を実施する手段も必要とされる。

  より明確なガイダンスを提供することは困難であり、必然的に判断を用いなければならない。一般 に、安全防護層は、デマンド当たり10-2に近い故障率を有するものと考えられている。独立した安全 防護層の数を特定する助けとするため、以下のリストには、事象の状況並びに施設に対する設計上及 び運転上の安全性の正当性に応じて、利用できる安全防護層の例を幾つか示す:

―警報付電子式個人線量計−職員がその使用に関する訓練を受けていること、線量計に信頼性ある こと、及び職員が適切かつ十分迅速に対応できることを条件とする;

―固定式の放射線及び/又は空気放射能検知器及び警報器−それらに信頼性のあることを示すこ とができること、及び職員が適切かつ十分迅速に対応できることを条件とする;

―放射線の異常レベル又は汚染の拡大を検知し他の者に警告する放射線防護技術者の存在;

―例えば、容器など適切な水位測定計器及び/又は警報器を備えたサンプに物質を導く漏洩検知設 備;

―施設の安全状態を保証するための運転職員によるサーベイランステスト、サーベイランステスト の頻度が、性能上の欠陥を特定するのに適切であること、及び必要な是正措置が確実に実施され ることを条件とする;

―空気中の放射性物質を安全かつ管理した方法で施設内を移動させることができるような換気系;

―遮蔽ドア及びインターロック式入域管理システム;

―自然換気、”煙突効果”又は受動的な冷却/換気;

―影響を緩和するために策定された措置、指示書又は作業手順書;

―多様な系統の装置、供給又は制御系に共通の側面がないことを条件とする;

―多重性の確保、多重性のないサポート系がないことを条件とする;

―一部の放射性廃棄物貯蔵施設における水素の反応を緩和する手段としての不活性ガス系。

6.2.2.2 閉込め

  幾つかの状況においては、閉込めは、それ自体で1つ又は複数の安全防護層を提供するが、それは、

注意して使用しなければならない。6.2.1節で説明したように、評価プロセスでは、最大の潜在的影 響を、3つのカテゴリ、即ちレベル5〜7、レベル3〜4、及びレベル1~2の中の1つに分類するよう求 めている。他の安全対策が失敗した後、閉込め設備の機能が成功する[訳注:機能する]ことにより、

最大の潜在的影響がより低いカテゴリの最大の潜在的影響に下がる場合、それを安全防護層と考える べきである。

一方、閉込めの効果が、最大の潜在的影響のカテゴリを変化させるほどでない場合、それを追加的な 安全防護層として数えるべきではない。例えば、小型の研究炉は、燃料の溶融と最大放出量に基づい てレベル4という最大の潜在的影響を有している。燃料の溶融が既にレベル4であるため、閉じ込め 機能の成功により最大の潜在的影響のカテゴリが下がることはない。この理由により、閉込めは、追 加的な安全防護層として考慮されない。一方、事例52と事例55は、閉込めを安全防護層として考慮 することが適切な状況を示している。

6.2.2.3 高健全性の安全防護層

  幾つかの状況においては、健全性の高い安全防護層(例えば、原子炉圧力容器、又は対流冷却など 実証済みで自然現象として起こるような受動的な現象に基づいた安全設備)が利用可能なこともある。

こうしたケースでは、その層が極めて高い健全性や信頼性を有するものであることが実証されている ため、本ガイダンスを適用するに当たって、他の安全防護層と同じやり方でそうした安全防護層を取 り扱うことは明らかに不適切である。

  健全性の高い安全防護層は、以下のような特性をすべて有しているべきである:

―安全防護層が、関連するすべての設計基準故障に対処できるように設計され、施設の安全性を正 当化する際に特に高い信頼性や健全性を必要とするものとして明示的に、あるいは暗黙のうちに 認識されている;

―健全性の劣化が特定されるよう、適切な監視や検査を通じて安全防護層の健全性が確保されてい る;

―安全防護層に何らかの劣化が見つかった場合、その異常を修理又は緩和するために事前に定めた 手順を用いるか、あるいは利用できる長い時間を掛けて、その事象に対処し、是正措置を実施す るための明確な手段が存在している。

  健全性の高い安全防護層の1つの例は、容器や保管庫であろう。運用管理は、通常、健全性の高い 安全防護層の要件を満たさないが、上記のように、必要な措置を実施し、過誤が発生した場合でも運 転員がその過誤を是正するために利用できる時間が非常に長く、また、もし広範囲の利用可能な措置 が存在する場合には、運転手順等を、高健全性の安全防護層と見なすこともできる。

6.2.2.4 利用可能な時間

  幾つかの状況においては、是正措置を実施するために利用可能な時間が、是正措置を実施するのに 必要な時間よりもはるかに大きく、追加的な安全防護層が利用可能となる場合がある。必要な措置を 実施するための手順が存在している場合、追加的安全防護層を考慮することができる。警報または表 示に対応した運転員の措置によって、こうした安全防護層のいくつかが有効になる場合、手順書自体 の信頼性を考慮しなければならない。この手順を実施するために利用できる時間は、運転手順書に要 求される信頼性に重大な影響を及ぼすものと考えられる。(6.4.1.節の例を参照)

  幾つかのケースにおいて、利用可能な時間は、全ての範囲の潜在的な安全防護層を利用可能とする ことができるような時間であり、その各々を詳細に特定したり、その各々を利用できるようにする方 法の詳細を手順の中に含めたりすることは、今までは安全性の正当化において必要と考えられていな かった。こうしたケース(実施可能な現実的な対策が存在していることを条件とする)では、利用可 能な長い時間は、それ自体で、高い信頼性を有する安全防護層を提供することになる。