• 検索結果がありません。

海浜管理に関する社会システムの分析

ドキュメント内 平成26年1月 (ページ 55-67)

管理における縦割り行政の

割りの構造 89の下で、海岸法、

項に いての比較分析を行い、法の横断連携による海浜の一体的管理の可能性を探 るものである。本章における比較分析の対象を図3-1-1の概念図に示す。

3-1 本章の目的

第 1 章で見たとおり、既往研究ではこれまで海浜

問題が指摘されていたが、海浜管理に関する法や制度、およびその運用につい ての具体的な調査や分析、検討には至っていない。

そこで本章では、国、省庁から地方という縦

森林法、地方自治法を中心に、法や制度の面から見た海浜管理に関する社会シ ステムの実態把握を行うことを目的とする。

また、海岸法と森林法では、国と地方がそれぞれ法定計画を策定することが 義務付けられており、事業の方向性や取り組むべき具体的な項目なども記述す ることとされている。そこで、海岸法と森林法の法定計画で定めるべき事 つ

国家レベル

省庁レベル (大臣)

海岸保全 基本方針

全国 森林計画

都道府県レベル(知事)

海岸保全 基本計画

地域森林 計画

市町村レベル (市町村長)

  凡例 本章の主な検討対象

◎地方自治法

◎国家行政組織法 第2条2項

 【 海 岸

法】 【

森 林 法】

国交省

・水国土

・港湾 農水省

・水産庁

・農振局

林野庁

(農水大臣)

3-1-1 縦の法制度から見た社会システム分析の対象

89 松田隆利「縦割り行政の弊害の排除を」『経済政策情報』Vol.194、2001年、33-36頁。

-2 関連法制度の比較

-2-1 法目的 3

表 3-2-1 では、海岸法と森林法の条文から、所管のほか、①法目的、②指定、

表 3-2-1 海岸法と森林法の比較

海岸法

参考

森林法

第1条

 この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的 事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、も つて国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。

国土交通省(水管理・国土保全局、港湾局)

農林水産省(水産庁、農村振興局)

第25条

 農林水産大臣は、次の各号(指定しようとする森林が民有林で ある場合にあつては、第一号から第三号まで)に掲げる目的を達 成するため必要があるときは、森林(・・・中略・・・)を保安林として 指定することができる。ただし、海岸法第3条 の規定により指定 される海岸保全区域(・・・中略・・・)、指定することができない。

一  水源のかん養 二  土砂の流出の防備 三  土砂の崩壊の防備 四  飛砂の防備

五  風害、水害、潮害、干害、雪害又は霧害の防備 六  なだれ又は落石の危険の防止

七  火災の防備 八  魚つき

九  航行の目標の保存 十  公衆の保健

十一 名所又は旧跡の風致の保存

2  前項但書の規定にかかわらず、農林水産大臣は、特別の必 要があると認めるときは、海岸管理者に協議して海岸保全区域内 の森林を保安林として指定することができる。

第25条の2

2 都道府県知事は、(・・・中略・・・)、前条第一項第四号から第 十一号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、民有 林を保安林として指定することができる。

第3条

 都道府県知事は、・・・(中略)・・・海岸保全施設の設置・・・

(中略)・・・管理を行う必要があると認めるときは、防護すべき海 岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができ る。ただし、・・・(中略)・・・ 森林法・・・(中略)・・・第二十五条第 一項 若しくは第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定 による保安林・・・(中略)・・・については、指定することができ ない。

2  都道府県知事は、前項ただし書の規定にかかわらず、海岸 の防護上特別の必要があると認めるときは、保安林又は保安施 設地区の全部又は一部を、農林水産大臣(森林法第二十五条 の二 の規定により都道府県知事が指定した保安林について は、当該保安林を指定した都道府県知事)に協議して、海岸保 全区域として指定することができる。

3  前二項の規定による指定は、この法律の目的を達成するた め必要な最小限度の区域に限つてするものとし、陸地において は満潮時(指定の日の属する年の春分の日における満潮時を いう。)の水際線から、水面においては干潮時(指定の日の属す る年の春分の日における干潮時をいう。)の水際線からそれぞ れ五十メートルをこえてしてはならない。ただし、地形、地質、潮 位、潮流等の状況により必要やむを得ないと認められるときは、

それぞれ五十メートルをこえて指定することができる。

第1条

 この法律は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動に よる被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全 及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もつて国土の保全に資 することを目的とする。

農林水産省 林野庁

【防災林造成の目的】

(林野庁官通知)・・・治山技術基準

第1節 海岸防災林造成は、海岸砂地等に森林を造成し て、飛砂、潮害、波浪、高潮等による被害を防止又は軽減 することを目的とする。

(林野庁森林整備部長通知)治山技術基準(解説)

第1節2.海岸防災林造成は、海岸に防潮堤を設けて波浪 等による海岸線の浸食を防止し、海岸砂地等を緑化し、森 林帯を造成して飛砂の害、風害、潮害、霧害等を防止し、ま たは軽減するために実施するものである。

【国が行う事務】

・海岸保全基本方針の策定

・直轄工事

【法定受託事務】

・海岸基本計画の策定(第2条の3第1項)--知事

・海岸保全区域の指定(第3条第1項)--知事

・保全区域台帳の調整・保管(第24条第1項)--知事

・海岸保全施設の工事(第5条第1項)等

【自治事務】

・保全区域の占用の許可(第7条)

・保全区域における行為の制限の許可(第8条)

・一般公共海岸区域の管理・占用の許可(第37条の3)

・工事に関わらない保全区域の管理(第5条第1項)等

【国が行う事務】

・全国森林計画/森林整備保全事業計画の策定

・地域別の森林計画の策定(国有林について)

・国有林のすべての保安林

・国有林のなかで保安林(1~3号)であり重要流域内のもの

【法定受託事務】

・国有林のなかで保安林(1~3号)であり重要流域外のもの

【自治事務】

・地域森林計画の策定--知事(第5条)

・保安林指定解除(民有林・4号以下)-知事(第25条の2第2項)

・作業許可---知事/市町村長

③主な事務区分について、法律を比較し整理を行った。なお、③主な事務区分 については、2000 年の地方分権一括法施行後に明確化された国と地方の役割分

この比較により、主に次の3つの事項が明らかとなった。

的がある一方、その目的を達成するためのアプローチが異なっている。

する場合には、原 則として、両者を重複して指定することができない。

を、自治事務として都道府県知 事がその指定を行うこととされている。

基準(平成16年6月)92」との整合を図る必要があることが明らかに

でに2-3-1で示した次の 3 つの文献の記述を用いながら分析を行 た。

担や、自治事務に振り分けられたものを主に記した。

① 法目的では、海岸法と森林法には「国土の保全」に資するという共通の目

② 指定では、海岸法と森林法において、区域の指定が隣接

③ 主な事務区分については、海岸法と違い森林法では、計画策定と一部の保 安林(4 号以下の民有林)の指定解除など

表 3-2-1 のうち森林法の「法目的」第 1 条に示される保安林については、参 考として挙げた「治山技術基準(防災造林編)90」の中にその目的が述べられ ていることから、これを補足した。ただし、この治山技術基準は、平成16年12 月発行であるが、当該基準の第3章・海岸防災林造成に関連する参考資料には、

海岸法において平成 16 年 4 月にすでに廃止とされていた基準書 91が参照され ていることが確認された。このため、改正海岸法が掲げる防護、環境、利用の 調和、また地域の実情をとらえた自由度の高い設計への対応などの項目が、保 安林事業において参考とされていない可能性も予見された。このことから、治 山技術基準」においては、海岸法が定める新たな基準である「海岸保全施設の 技術上の

なった。

海岸法第3条、及び森林法第25条には、表 3-2-1 の指定に示すとおり、海岸 保全区域と保安林区域は原則として重複させないこととなっている。そこで、

海浜の一体的な管理を考える上では、重複指定の原則禁止が海岸法と森林法の 関係を遠ざける形となっていることに着目し、重複指定の原則禁止の背景につ いて、す

90 林野庁監修「治山技術基準解説(防災造林編)」(社)日本治山治水協会、2004年、327 頁。

91 海岸保全施設築造基準連絡協議会『海岸保全施設築造基準解説』(社)全国海岸協会、1987 年、269頁。

92 海岸保全施設技術研究会編『海岸保全施設の技術上の基準』(社)全国海岸協会、2004年、

(3)115頁。

(1)海岸法、森林法の逐条解説 93 94によると、「二つの法律は、海岸防災 を目的とする限りにおいて極めて類似しており、これらを重複させることは 二重規制となる嫌いがあり、また、いずれも『国土保全』という共通した目 的の下で行われる事業であるため、重複して指定する必要がないものとされ ている。ただし、その目的と規制内容が相互に一致しない場合には、二重規 制の弊害を招くものではないことから、例外的に重複指定が認められている。

具体的には、保安林のうち、魚付きや航行目標など、『国土保全』以外の目的 をもって指定される保安林の場合、重複して海岸保全区域を指定することが できる。」とされている。

(2)河井の文献95によると、重複した指定に関して、海岸法が制定される 以前の1953(昭和28)年に国会に提出され、審議未了となった「海岸保全法 案」の国会審議での論点をまとめたものがある。それによると「保安林また は、保安施設地区と海岸保全区域が重複指定される場合の相互調整の手続の 整備の必要性も議論となったが、海岸保全区域の管理と保安林区域の管理と はほぼ同じ目的を目指しており、相矛盾することは考えられないことから相 互調整は不要である、との説明が提案者である(参議院法制局)からなされ ている。」とされている。

(3)同じく河井の文献(1996)によると、現在の海岸法は1956(昭和31) 年に制定され、当時の国会で審議された主要な論点として、海岸保全区域の 陸側の指定の限界を干満潮時の水際線から 50m以内としている理由が記され ている。その理由は、「政府委員の説明によれば、海岸堤防の幅が通常30mで あり、その維持管理作業に最低必要なスペースである 20m を加えた幅とし た。」ものであるとされている。なお、このことについて著者が作図し模式的 に示したものは図3-2-1のとおりである。

■昭和31年海岸法案の国会審議における論点

  海岸保全区域の指定の限界を干満時の水際線から50m以内としている理由

50 m 30 m

+ 維持管理作業幅:20m 堤防

 【目的】 海岸の防護   背後地の防災

(飛砂潮害・津波低減)

国土の保全を図る

3-2-1 海岸保全区域の指定の限界を陸側50mとした理由の模式図(著者作図)

93 建設省河川研究会編『河川全集第五巻海岸法』(株)港出版合作社、1957年、171頁。

94 森林・林業基本政策研究会編著『解説森林法』大成出版社、2013年、289頁。

ドキュメント内 平成26年1月 (ページ 55-67)