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第 3章   研 究 2‑1

第 2節   方 法

対 象 児 (J)は 、

C県

D特

別 支 援 学 校 中 学 部 (肢 体 不 自 由)の 重 複 学 級 生 徒 の 重 障 児 、 中

2(14歳 3ヶ

)、 超 重 症 児 ス コ ア (江 草

,1998)

は 、

19点

。 刺 激 作 用 に 対 す る 行 動 上 の 変 化 は ほ と ん ど な い が 、 臥 位 の 姿 勢 の と き に 背 伸 び を し て ウ ー ン と い う 自 発 的 発 声 が あ る 。 こ の よ う な 背 伸 び が 連 続 し て 生 起 し た 後 に 発 作 が 起 き る こ と が あ る 。 遠 城 寺 式・平L幼 児 分 析 的 発 達 検 査 法 (遠 城 寺

,2009)の

コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ

ン に 関 す る

3領

域 (対 人 関 係 。発 語 。言 語 理 解 )の 検 査 結 果

(2012.5.9

43

実 施)は 全 て 月 齢

2.Oヶ

月 程 度 で あ る 。

岡 澤 ら

(2005)の

研 究 を 参 考 に 、 行 動 記 述 の 裏 付 け と な る 数 量 的 資 料 の 収 集 を 目 的 と し て 、 以 下 の

2つ

の 分 析 を 行 っ た 。

 1つ

め は 、 対 象 児 の 心 拍 を パ ル ス オ キ シ メ ー タ ー (医 療 用

Sp02計

測 器

)を

用 い た 記 録 で あ る 。 パ ル ス オ キ シ メ ー タ ー に 表 示 さ れ る 心 拍 数 bp■

(beet par minute)を VTRlで

撮 影 し 分 析 で あ る 。

2つ

目 は 、

VTR2で

表 情 、

VTR3で

授 業 の 全 景 を 撮 影 し 分 析 で あ つ た 。

記 録 し た 心 拍 変 動 を 授 業 エ ピ ソ ー ド と と も に 記 録 し 、 心 拍 反 応 と 比 較 ・ 分 析 す る 。 こ の と き の 授 業 エ ピ ソ ー ド は 、 教 師 の 行 動 と 教 師 の 行 動 以 外 の 教 室 内 の 出 来 事 を さ す 。 教 師 の 行 動 に つ い て は 、 教 師 の 行 動 カ テ ゴ リ ー

Table 2‑2(田

中 ら

,2000)を

参 考 に し た 。

授 業 は 、 臥 位 の 状 態 で 行 っ た 「楽 器 の 授 業 」

(2013年 2月 21日

)

と 「 医 ケ ア と 担 任 の 声 」

(2013年 2月 27日

)の 授 業 を 記 録 し た 。「楽 器 の 授 業 の 授 業 」 に お け る 各 活 動 は 太 鼓 、

 

トー ン チ ャ イ ム 、 ベ ー ス 期 、マ ッ サ ー ジ か ら 構 成 し た 。「 医 ケ ア と 担 任 の 声 の 授 業 」 に お け る 各 活 動 は 、 医 ケ ア 、 担 任 の 声 か け 、 寝 る 、 足 を 触 る か ら 構 成 し た 。

Table 2‑2 

教 師 の 行 動 カ テ ゴ リ ー (田 中 ら

,2000)

上 位 カ テ ゴ リ ー 下 位 カ テ ゴ リ ー

こ と ば 児 童 の 動 き を 言 語 化 、 教 師 の 動 き を 言 語 化 、 行 動 の 促 し 、

自 答 、 発 言 、 質 問 、 説 明 、 注 意 の 喚 起 、 呼 名 、 歌

児 童 の 身 体 の 動 き を 変 え る 、 教 材 提 示 、 顔 注 視 、 機 械 操 作 、

リ ズ ム

こ と ば 動 作 行 動 の 促 し 、 評 価

44

撮 影 し た 心 拍 数 を

5秒

ご と に プ ロ ッ ト し 、 エ ク セ ル を 使 つ て グ ラ フ 化 す る 。 そ こ に 授 業 エ ピ ソ ー ド を 書 き カロえ る こ と で 心 拍 反 応 と 学 習 環 境 要 因 の 関 連 で 定 位 反 応 の 発 生 を 分 析 す る 。

保 護 者 と 担 任 に は 事 前 に 研 究 の 趣 旨 と 方 法 を 文 書 と 口 頭 で 説 明 し 、 保 護 者 か ら は 承 諾 書 に サ イ ン を も ら っ た 。

2‑1 

分 析 方 法

2‑1‑1 

持 続 性 心 拍 変 動 (全 体 的 変 動 )の 分 析 方 法

本 研 究 の 主 要 な 分 析 視 点 で あ る 授 業 エ ピ ソ ー ドに 対 す る 反 応 と し て 参 考 に し た 持 続 性 変 動 の 定 量 的 ア セ ス メ ン ト法 (片 桐

,1995)は

の 通 り で あ る 。 ま ず 、 対 象 者 の ベ ー ス 期 に お け る 平 均 心 拍 (HR)と 心 拍 変 動 率

(HRV)を

算 出 し 、 こ れ を 心 拍 活 動 の ベ ー ス ラ イ ン (レ ス テ ィ ン グ レ ベ ル

)と

す る 。 ベ ー ス 期 の 環 境 条 件 に つ い て は 、 測 定 時 間 を 通 し て 相 対 的 に 各 種 刺 激 作 用 が 少 な い 場 面 、 す な わ ち 、 養 育 (療 育)

的 働 き か け や 外 来 者 の 接 近 な ど 人 的 か か わ り が な く 、 暗 騒 音 レ ベ ル も 低 い 場 面 と す る 。 こ の よ う な 覚 醒 安 静 時 に お け る ベ ー ス ラ イ ン を 基 準 と し て 、 様 々 な 授 業 に お け る 各 活 動 の 授 業 エ ピ ソ ー ド(刺 激 )に 対 す る 心 拍 の 上 昇 (加 速 反 応 )や 下 降 (減 速 反 応 )が 出 現 し た と き 、 刺 激 に 対 し て 定 位 し た と 判 断 す る 。

       

分 析 は 、各 活 動 場 面 の 平 均 心 拍 (HR)と 心 拍 変 動 率

(HRV)を

算 出 し 比 較 す る 。 平 均 心 拍 の 比 較 に お い て は 、 ベ ー ス ラ イ ン の 平 均 心 拍 に 比 べ 、 活 動 場 面 の 平 均 心 拍 が 低 い 場 合 に 定 位 し て い る と 判 断 す る 。 ま た 、 心 拍 変 動 率 が 大 き い 場 合 は 、 授 業 エ ピ ソ ー ド (刺 激 )に 対 し て 落 ち 着 か な い な ど の 過 剰 な 反 応 を 示 し た と し て 判 断 す る 。 下 方 で 、 心 拍 変 動 率 が 小 さ い 場 合 は 、 落 ち 着 い て 活 動 に 取 り組 め た 可 能 性 が あ

る と 判 断 す る 。

心 拍 数 そ の も の は 個 人 差 が 著 し い の で 、 こ の 値 を た だ ち に 指 標 と し て 用 い る こ と は 困 難 で あ り 、 作 業 の 性 質 を 明 ら か に す る こ と の で き る 指 標 は 、平 均 心 拍 よ り も 心 拍 数 変 動 係 数 で あ る(古谷 野 ,1980)。

心 拍 変 動 係 数 の 求 め 方 は 、 一 定 時 間 内 の 心 拍 数 の 変 動 の 標 準 偏 差 を 用 い る 方 法

(SD法 )や ,こ

の 標 準 偏 差 を 平 均 心 拍 数 で 除 し

,100倍

す る 方 法 (変 動 係 数 法

)な

ど が 報 告 さ れ て い る (後 藤 。松 尾 ・ 佐 藤

,1987)。

平 均 値 が 大 で あ れ ば 分 散 も 大 と な る こ と か ら 、 心 拍 数 の 変 動 を 相 互 に 比 較 す る に は 心 拍 の 変 動 係 数 「

SD(標

準 偏 差

)/HR(平

心 拍 )」 を 用 い る の が よ い と 考 え ら れ る (古 谷 野,1980)。

以 上 の こ と を 参 考 に し て 、本 研 究 で は 変 動 係 数

HRVを

HRの SD(標

準 偏 差

)/HR(平

均 心 拍 )に よ つ て 求 め る 方 法 を 採 用 す る 。

2‑1‑2 ‑過

性 心 拍 変 動 (部 分 的 変 動 )の 分 析 方 法

① 定 位 反 応

重 障 児 の 刺 激 に 対 す る 心 拍 反 応 の 研 究 で は 、 一 過 性 心 拍 反 応 と 持 続 性 心 拍 反 応 の 側 面 を あ わ せ て と ら え る 必 要 が あ る (片 桐 ,1995)。 拍 の 加 速 は 防 御 反 応 成 分 を 、 心 拍 の 減 速 反 応 は 定 位 反 応 成 分 を 反 映 し て い る (片 桐 ・ 小 池 。北 島,2000)。 心 拍 の 連 続 変 動 を 、 同 時 測 定 。 記 録 さ れ た 授 業 エ ピ ソ ー ド(刺 激 )と 照 合 す る こ と に よ っ て 、 環 境 条 件 変 化 や 刺 激 作 用 、 そ し て 大 人 の 働 き か け な ど が 心 拍 の 持 続 性 変 動

に 実 際 ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す か を 具 体 的 に 見 る こ と が で き る (片 桐,1995)。 以 上 の こ と か ら 、 授 業 エ ピ ソ ー ド を 心 拍 変 動 の グ ラ フ に 記 述 し 、 授 業 エ ピ ソ ー ド (刺 激 )に 対 す る 一 過 性 心 拍 変 動 (力日速 反 応,

減 速 反 応 )が ど の よ う に 出 現 し た か に つ い て 検 討 を 加 え る 。

② 期 待 反 応

健 常 乳 児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 発 達 過 程 に お い て は 、 期 待 反 応 が 活 発 に 生 起 す る 。 期 待 反 応 は 、 大 人 の 呼 び か け と 、 そ れ に 続 く 働 き か け の 間 の 時 間 関 係 の 認 知 に 基 づ い て 確 立 さ れ る 。 重 障 児 に お い て も 認 知 の 発 達 に 伴 っ て 期 待 反 応 が 活 発 に 生 起 し 、

Yesの

表 出 に 関 連 す る こ と が 予 想 さ れ る (片 桐 ,1995)。 重 障 児 の 心 拍 変 動 の 分 析 に お い て 、 期 待 を 伴 つ て 外 界 刺 激 を 受 け と め る プ ロ セ ス が 確 認 で 得 る な ら ば 、 重 障 児 の 能 動 性 を 反 映 し て い る と い え る 。 し か し 、 期 待 は 、 行 動 観 察 し に く い 内 的 プ ロ セ ス で あ り 、 心 拍 反 応 に よ る 検 討 が 有 効 で あ る と 考 え る 。

期 待 を 検 討 す る 代 表 的 な 課 題 と し て 、

Sl S2課

題 が 挙 げ ら れ る 。 こ の 課 題 で は 第

1刺

激 (予 告 刺 激

:Sl)と

2刺

激 (命 令 刺 激

:S2)が

対 と し て 呈 示 さ れ る 。 表 出 が あ る 重 障 児 の 場 合 、 運 動 反 応 を 示 し た 場 合 に は 運 動 反 応 時 間 課 題 と な る 。 他 方 、

S2に

対 す る 運 動 反 応 を 教 示 し な い 場 合 で も 、

S2が

快 反 応 を 喚 起 す る 傾 向 が 強 い 場 合 に は 、期 待 反 応 の 形 成 を 評 価 す る 課 題 と な る 。 乳 児 期 の イ ナ イ イ ナ イ バ ー 遊 び に は 、 刺 激 の 構 成 が こ の パ ラ ダ イ ム と 類 似 し て い る 。 し か し 、 表 出 が ほ と ん ど な い 重 障 児 の 場 合 に は 刺 激 に 対 す る 定 位 反 応 の み を 示 す 者 の い る こ と が 考 え ら れ る 。 し か し 、

Slに

よ る 減 速 反 応 か ら 加 速 反 応 を 経 て

S2に

よ る 減 速 反 応 へ と つ な が る 刺 激 と 刺 激 の 随 伴 関 係 の 認 知 の 様 子 が 確 認 で き れ ば 、 期 待 反 応 の 形 成 を 評 価 で き 、 そ の 後 の シ ン ボ ル を 用 い た 学 習 が 可 能 に な る と 考 え ら れ る (片 桐 ,1995)。

47

③ 一 過 性 心 拍 変 動 の 出 現 率

加 速 反 応 に つ い て は 、 発 達 の 視 点 か ら ふ た つ の 段 階 を 経 る こ と が 知 ら れ て い る 。ひ と つ 目 は 、健 常 乳 児 の 定 式 化 し た 発 達 図 式 に 従 い 、 新 生 児 期 に 典 型 的 に み ら れ る 防 御 あ る い は 驚 愕 的 な カロ速 反 応 優 勢 の 段 階 で あ る 。 ふ た つ 目 は 、 生 後

4.Oヶ

月 頃 に 最 も 顕 著 と な る 定 位 減 速 反 応 優 勢 の 段 階 へ と い う段 階 で あ る (片 桐,1995)。 こ の よ う に 、一 定 の 条 件 下 に お い て は 、 加 速 反 応 が よ り 随 意 的 、 能 動 的 に 外 的 環 境 (刺 激

)に

向 け ら れ た 注 意 や 心 構 え を 反 映 す る こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 こ の よ う に 加 速 反 応 が 、 驚 愕 的 で あ る か 随 意 的 、 能 動 的 で あ る か を 把 握 す る こ と で 、 対 象 児 の 発 達 段 階 を 推 察 す る こ と が で き る の で は な い か と 考 え る 。 し か し 、 成 人 に 比 べ て 乳 児 や 障 害 児 な ど を 対 象 に す る 場 合 ヾ よ り 随 意 的 で 能 動 的 な 注 意 や 心 構 え を 確 実 に 喚 起 し

う る 実 験 条 件 を 設 定 す る こ と は 、方 法 論 的 に 困 難 で あ る 。こ の 点 で 、 日 常 環 境 下 に お け る 一 過 性 心 拍 変 動 を

5つ

の 段 階

(Table 2‑3)に

分 け 、 そ の 出 現 率 を 分 析 す る (片 桐,1995)。

変 動 率 加 速 減 速 反 応

刺 激 後 5秒

m+2SDを

上 回 る 刺 激 後 5秒

m+lSDを

上 回 る

そ れ 以 外 無 反 応

刺 激 後 5秒

m‑lSDを

下 回 る 刺 激 後 5秒

m‑2 S DIを

下 回 る

m:刺

激 前 心 拍 数 、SD:心 拍 の 標 準 偏 差 ・

Table 2 3 ‑過

性 心 拍 変 動 率

48

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