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概 要

ドキュメント内 インドネシア共和国 (ページ 120-128)

第4章 インドネシア上水道セクターの我が国の協力実績と今後の方向性

1. 水道公社による上水道事業の現地調査結果

1.2.1. 概 要

対象地域人口は57万1,731人であり、現在30万9,178人に給水しており、給水率は61.1%で ある。顧客数は53,692ユニットであり、同上水道施設の稼働給水能力は827 L/秒となっている。上 水道に加え、下水道サービスも行なっている。

全職員数は462人であるが、常勤従業員数は340人である。その内、上水道事業に携わる職員 数は293人(63%)、間接部門(総務、管理、財務)は128人(28%)、その他41人(9%)となってい る。

組 織

現在のDirectorは、1989年から同水道公社の職員となり、2008年から現職に就任している。

Directorの下に、総務・財務担当Director、技術Directorの2名がおり、全部門を統括している。

主な部門構成としては、総務部、財務部、顧客部、計画部、生産部、配水部、無収水部がある。

1.2.2. 財務・経営

ビジネスプラン、財務改善アクションプランの現状

2008 年にビジネスプランを財務省に提出している。政府による PDAM の財務性評価は現在

“sick”であり、財務状況は悪いとされている。

財務省向けとは別に独自のビジネスプランも作成しており、主な投資プログラム/プロジェクト概要 なども記載している。

財務状況

事業収支をみると、水道事業収入(2007年)は377億ルピアであり、2006年から約4%の微減と なっている。営業収入(水道収入+水道以外収入)全体では1,740 億ルピアであり、2006年より約 54%増えている。

営業費用(直接費+間接費)(2007年)は418億ルピアであり、こちらも2006年より約3%の減少 となっている。一方で、公社全体の事業収支(減価償却費、利息費など含む)をみると、95 億ルピ アの赤字で、2006年よりも全額で45%増となっており、累積債務が大きな足かせとなっている。

事業支出の内訳は、多い順に人件費(48%)、総務・事務経費(14%)、電気代(13%)となって おり、薬品代は 0.8%と占める割合は低い。しかしながら、電気代、薬品代は物価の上昇に加え、

原水の水質悪化にともなって増加しているとしている。1㎥当たりの総生産費は1,778ルピアと調査

付属資料1

対象の水道公社の中で最も高くなっている。また、公営プールの事業収支が 10 億ルピア(2007 年)、13億ルピア(2008年)と赤字が常態化している。

税引前の事業利益(2008年)は94億ルピアの赤字となっており、売上利益率は-22.7%となって いる。

2008 年における債務状況をみると、負債総額は 722 億ルピアであり、満期となった負債総額は 409億ルピア、その内、返済分は62億ルピア(満期分の15%)である。満期となっていない負債分 も合わせると、660億ルピアがまだ中央政府への負債残額として残っている。

長期負債比率5は310%と資本金の約3倍となっており、高い。資産負債比率6は90.6%であり、

総負債額は総資産額よりもやや小さくなっているものの 90%台と高く、安定しているとは言いがた い。流動資産負債比率7は16.8%と低く、短期的な資金繰りに余裕がない状態といえる。本来なら、

長期的な借り入れに頼るところであるが、長期負債比率が大きく、難しい。

但し、財務省に提出中の債務削減が承認されれば、残る元本の負債額は 325 億ルピアとなり、

現負債総額の約半分になる。2009年には、2012年までの今後4年間の段階的な水道料金値上げ が承認され、当分は水道収入の増加、事業純損益も2010年からの黒字化が予測されている。

損益計算書、貸借対照表、債務状況は次の通りである。

5 長期負債比率(長期負債総額÷資本金総額)

6 資産負債比率(総負債÷総資産)。負債が総資産に占める割合を示す。総資産に占める負債の割合が低いほど、

資本構成は安定していると言える。

7 流動負債(1年以内に返済すべき負債)を流動資産(短期間で換金可能な資産)がどの程度カバーしているかを 示す比率。この比率が高いほど、短期的な資金繰りに余裕があることを示す。流動比率が100%以下であれば、

短期的な支払のために、資本や長期負債が使用されていることになる。

付属資料1

表 1-12 損益計算書

(Rp)

2008 2007

事業収入

水道使用料金収入 31,476,994,000 33,216,857,000 水道基本料金収入 6,220,581,000 6,071,416,000 水道事業以外収入 4,071,210,000 3,611,952,000

41,768,786,000 42,900,225,000

事業支出

人件費 18,024,593,000 17,898,178,000

電気費 4,934,335,000 4,899,451,000

薬品費 304,661,000 291,305,000

修理・維持管理・補助費 1,517,110,000 1,366,199,000 Klaten原水送水費 2,204,815,000 0

債務 1,296,585,000 749,885,000

総務・事務経費 5,211,369,000 6,252,698,000

取水費用 434,675,000 418,130,000

下水費用 1,546,851,000 932,512,000

公営プール費用 1,830,543,000 1,551,899,000

37,305,537,000 34,360,256,000

事業総損益 4,463,249,000 8,539,968,000 その他収入 295,309,000 135,990,000 その他経費 35,406,000 4,721,000 その他損益 4,723,153,000 8,671,238,000 減価償却費 7,391,887,000 6,714,059,000 利息、罰金、銀行サービス等 6,811,739,000 8,490,187,000 税引前事業純損益 ▲ 9,480,473,000 ▲ 6,533,008,000

項  目

表 1-13 貸借対照表

(1,000 Rp)

2008 2007

A-1 流動資産 7,923,917 9,831,492

A-2 固定資産 66,978,673 69,757,499

A-3 その他資産 15,575,270 13,391,080 A 総資産合計 90,477,860 92,980,070

B-1 流動負債 47,176,283 37,250,371

B-2 長期負債 30,867,865 2,940,642

B-3 その他負債 3,942,808 5,429,083

B-4 資本金 9,952,277 19,432,751

B 総負債・資本金合計 90,477,861 92,980,070 項   目

付属資料1

表 1-14 債務状況

(million Rp.) No. 項 目 満期となった負債額 現在までの支払額 未払額 満期でない負債額中央政府の請求可能額

1 Basic 12,848 915 11,933 20,583 32,516

2 Past interest for basic

loan 3,765 2,171 1,593 4,078 5,672

3 Interest for delay 3,699 944 2,754 5,969 8,724

4 Running interest 13,264 202 13,062 13,062

5 Bank service 766 560 205 206

6 Commitment fee 515 515 0

7 Past interest for penalty 685 412 272 709 982

8 Past penalty for basic

loan 84 84 0

9 Penalty for bank service 7 7 0

10 Penalty for interest 4,750 307 4,442 4,443

11 Penalty for basic loan 510 42 468 468

40,896 6,162 34,734 31,340 66,074

Total

水道料金と徴収の現状

水道基本料金は、2002年に650Rp、2004年に1,100Rpに値上げされたものの、近年は値上げ されてきていなかった。2007 年のフルコストリカバリー率は 99.1%であり、ほぼフルコストリカバリー に近い状態へと改善されてきており、さらに2009年1月に地方議会で今後4年間の水道料金の 値上げが承認された。2009年は前水道料金より平均 49%増、2010~2012年までは各年 11%ず つ値上げしていく予定となっており、フルコストリカバリーは達成される見込みである。

平均水道料金は2,445ルピア/㎥であり、これは調査対象の水道公社の中では2番目に高い。

接続費用は122.5万ルピア/箇所であり、配水管から1mまでの給水管費用は含まれている。1m 以上はなれる場合は、給水管の敷設延長によって別途費用を徴収している。

売掛金回収期間は、61日(2006年)から59日(2007年)に少し改善されている。その理由として、

1)回収のための特別チームを編成し、滞納顧客を直接訪問して確認、支払依頼をしていること、2)

支払が、安全対策を必要とする特別顧客を除き、オンラインシステムで行なえるようになったこと、

があげられる。

財務・経営上の問題点と原因

ビジネスプランであげられた問題点と原因は次表の通りにまとめられる。

付属資料1

表 1-15 財務・経営上の問題点

a. 水道料金の設定レベルがコストリカバリーできる レベルを依然下回っている

- 運営維持管理費の値上がりに比べ、水道料金の値上げが 遅れている。前回の水道料金値上げは2004年に行なわれ た。

b. 水量の十分でない深井戸から取水しているた め、運営維持管理費が比較的高い

- いくつかの深井戸の取水量が減ってきている

c. 財務省への累積債務 - 収益の悪化により、PDAMの返済能力が低下した

d. 上水道サービス改善のための資金調達が難し

- 資金調達が難しいのは、もともと運営維持管理費をコストリ カバリーできない低料金設定に起因する

e. スイミングプールの管理費用の財務的負担が大 きい

- 収益で維持管理費をコストリカバリーできていない。主な理 由として、プール利用者が少ないこと、料金設定が低いこと があげられる。

主な問題点 原  因

低い水道料金の問題については、既にフルコストリカバリーのためのアクションが取られ、2012 年までの段階的な値上げが承認されている。

高い運営維持管理費については、複数の深井戸を閉鎖し、新たに建設されるJurug 取水・浄水 施設によってカバーすることで効率化を図るとしている。

資金調達については、まず水道料金の化を図ったため、次のステップとして無収水の低減と新 規顧客接続の増加による収入の増加を目指している。また同時に、継続的な業務の効率化によっ て投資の自己資金を増加させていく予定である。

1.2.3. 施設の運営維持管理

取水・浄水施設の運営維持管理の現状

取水施設は、泉1ヶ所、深井戸27ヶ所、表流水1ヶ所の計29ヶ所があり、設立当初の水源は泉 だけであったが、1998 年から深井戸を建設、2005 年にベンガワンソロ川にから取水する Jurug 取 水・浄水施設が建造されている。

設計供給量は864L/秒、実際の供給量は827L/秒であり、稼働率96%となっている。

浄水施設の運転時間、各戸への給水時間ともに 24 時間である。しかしながら、深井戸からの取 水時間は平均18時間となっている。

2007年の水供給量は2006年と比べ8.7%(23.97→26.1 mil ㎥)増加している。

唯一の浄水施設であるJurug取水・浄水施設は、雨季(11月-5月)には水没してしまうため、1年 の内、約 6 ヶ月間は稼動できない状態にある。雨季には揚水・圧送ポンプが水没してしまうため、

取り外して倉庫に保管し、乾季にまた取り付け作業を行なうなど、非効率な運営維持管理状況とな っている。

付属資料1

送配水管網の運営維持管理の現状

表 1-16 建設年次別 管路延長

建設年次 before 1969 1970-1979 1980-1989 1990-1999 2000-2009 Total 管路長 108km 51km 267km 246km 129km 694km

無収水削減対策の現状

2004年の29.7%に比べ、2008年実績は39.3%と無収水率が増加している。その理由について

正確には分かっていない。2008年から就任した現Directorの情報では、2008年の数値は正しいが、

前Directorの数値については信憑性が高くないとのことであった。

表 1-17 無収水率の推移

2004 2005 2006 2007 2008

% % % % %

29.7 28.6 31.2 38.7 39.3

10年以上経過している水道メーターは15,467ヶ所あり、特にソロ北部では36-40%のメーターが 機能していなかった。

無収水対策として、違法接続の一掃(2008年60件)、内部職員の規律是正(賞罰)、水道メータ ー交換プログラム、マスター・メーターの精度向上(調査の結果、マスター・メーターの測定にずれ があった)、などを実施している。また今後5年間で、老朽管の更新・交換を12,000m、未機の能水 道メーターの交換を平均 5,000 箇所/年、夜間の水圧調整、漏水管理の徹底をして無収水率を 徐々に低減していく予定である。

さらに、技術的問題以外のものとして、違法接続撤廃にむけた活動の継続、水道メーター検針 の再訓練を予定している。

無収水削減のための実施フローは次図の通りである。

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