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概 要

ドキュメント内 インドネシア共和国 (ページ 157-165)

第4章 インドネシア上水道セクターの我が国の協力実績と今後の方向性

1. 水道公社による上水道事業の現地調査結果

1.6.1. 概 要

対象地域人口は 144 万 4,945 人であり、その内現在 197,835 人に給水しており、給水率は

12.7%である。同上水道施設の稼働給水能力は340L/秒となっている。顧客数は18,066ユニットで

あり、顧客の93%は一般住民が占めている。全職員数は181人となっている。

組織

現水道公社は、2004年9月に正式に県政府に委譲されたが、現在のDirectorは、前職がサムソ ンの従業員であり、2003年に現職に就いた。

1.6.2. 財務・経営

ビジネスプラン、財務改善アクションプランの現状

2008年にビジネスプランを財務省に提出。政府による PDAMの財務性評価は、2006年までは

“sick”であったが、2007年から“unhealthy”となり、財務状況は若干改善してきている。

財務状況

事業収支をみると、水道事業収入(2007年)は73億ルピアであり、2006年の64億ルピアから約 14%の伸びとなっている。これは新規顧客が増加したことが主な要因となっている。営業収入(水 道収入+水道以外収入)全体では79億ルピアであり、2006年より約14%増えている。

営業費用(直接費+間接費)(2007年)は74億ルピアであり、こちらも2006年より約12%の増加 となっている。その主な要因は、人件費や石油価格の上昇にともなう資機材費、電気費の増加とス ラバヤ水道公社からのバルク水価格の上昇による。公社全体の事業収支(減価償却費、利息費な ど含む)をみると、4億ルピアの黒字で、2006年よりも全額で約50%の大幅増となっている。

1㎥当たりの生産費は617ルピア/㎥と調査対象の水道公社の中でもひときわ低くなっている。直 接費の内、取水費、水処理費、送配水費の割合は、おおよそ5:1:4となっており、自然流下システ ムが多い分、送配水費の占める割合が少なくなっている。

2008 年における債務状況をみると、負債総額は 329 億ルピアであり、満期となった負債総額は 158億ルピア、その内、返済分はわずか600万ルピア(満期分の0.04%)である。満期となっていな い負債分も合わせると、171億ルピアがまだ中央政府への負債残額として残っている。負債額の大 部分は、1994年に5つのKecamatan(Sub-district)への送配水管整備のために、中央政府よ り借入れしたものである。

付属資料1

長期負債比率17は 267%と資本金の約倍となっており、極端に高くなっている。資産負債比率18 は 96.6%であり、総負債額は総資産額よりもやや小さくなっているものの、90%台と高く、安定して いるとは言いがたい。流動資産負債比率19は19.1%と低く、短期的な資金繰りに余裕がない状態と いえる。

但し、財務省に提出中の債務削減が承認されれば、残る元本の負債額は51億ルピアと3分の1 に軽減される。これは現在までの返済額が少なく、利子や罰金で膨れ上がっていたものが減るた めである。

損益計算書、貸借対照表、債務状況は次の通りである。

表 1-44 損益計算書

(Rp)

2007 2006

事業収入

水道事業収入 7,279,136,350 6,386,821,450 水道事業以外収入 609,932,286 521,925,749

7,889,068,636 6,908,747,199

直接費支出

水源費 1,485,388,034 1,307,130,305

処理費 258,764,844 114,734,934

送水費 1,214,721,861 1,280,587,439

2,958,874,739 2,702,452,678

事業総損益 4,930,193,897 4,206,294,521 間接費(総務・事務費) 4,473,240,295 3,909,887,261 利益・損失 456,953,602 296,407,259 その他収入 102,613,399 68,355,528 その他経費 165,841,830 100,606,460 その他損益 ▲ 63,228,431 ▲ 32,250,932 税引前事業純損益 393,725,171 264,156,328

項   目

17 長期負債比率(長期負債総額÷資本金総額)

18 資産負債比率(総負債÷総資産)。負債が総資産に占める割合を示す。総資産に占める負債の割合が低いほど、

資本構成は安定していると言える。

19 流動負債(1年以内に返済すべき負債)を流動資産(短期間で換金可能な資産)がどの程度カバーしているかを 示す比率。この比率が高いほど、短期的な資金繰りに余裕があることを示す。流動比率が100%以下であれば、

短期的な支払のために、資本や長期負債が使用されていることになる。

付属資料1

表 1-45 貸借対照表

(Rp)

2007 2006

A-1 流動資産

現金 2,094,748,453 810,738,223

デポジット 650,000,000 650,000,000 売掛金(水道事業) 991,383,737 937,754,205 売掛金(その他) 148,379,928 398,030,304

A-2 固定資産 5,687,484,097 6,132,159,984

A-3 調整中固定資産 88,672,642 61,710,829 A-4 その他資産 8,336,217,740 7,211,475,537 A 総資産合計 17,996,886,598 16,201,869,083

B-1 流動負債

その他流動負債 203,134,428 226,004,234

B-2 長期負債 1,928,583,255 227,682,255

満期の長期負債 14,192,946,544 12,248,960,969 B-3 その他負債 1,069,172,886 1,088,403,678

B-4 資本金 603,049,485 367,817,946

B 総負債・資本金合計 17,996,886,598 16,201,869,083 項  目

表 1-46 債務状況

(million Rp.) No. 項 目 満期となった負債額 現在までの支払額 未払額 満期でない負債額 中央政府の請求可能額

1 Basic 3,763 0 3,763 1,368 5,131

2 Interest 5,154 0 5,154 0 5,154

3 Bank service 0 0 0 0 0

4 Commitment fee 6 6 0 0 0

5 Penalty for commitment - - 0 0 0

6 Penalty for interest 5,032 0 5,032 0 5,032

7 Penalty for basic loan 1,836 0 1,836 0 1,836

15,793 6 15,786 1,368 17,153

Total

水道料金と徴収の現状

現在の水道基本料金は、2006年に改定された1000ルピア/㎥(グループI)と800ルピア/㎥(グ ループII)であり、その前は2003年に改定された650ルピア/㎥(グループI)と520ルピア/㎥(グル

ープ II)である。その際に約 50%値上げしている。それでも依然、平均水道料金は 1,518 ルピア/

㎥であり、調査対象の水道公社の中では最も低い水道料金となっている。

そのため、フルコストリカバリーできるレベルまでもっていくために、今後4年間で年平均約10%

の値上げを計画し、2009年に県に申請している。地方議会の承認が必要であり、承認されるかどう かはまだ分からない。

売掛金回収日数は、2007年が45日であり、2006年よりも4日ほど改善されている。

財務・経営上の問題点と原因

ビジネスプランに示された財務・経営上の問題点、原因は次表の通りである。

付属資料1

表 1-47 財務・経営上の問題点

主な問題点 原 因

a. 中央政府への責務 - PDAMは収支バランスが良好でないので、現在 まで返済していない

b. 水道料金はフルコストリカバリーできるレベル

に設定されていない - 電気基本料金の値上げが、特にポンプを使用し た給水システムの生産コストを押し上げている - 燃料費の上昇、インフレによる原材料の市場価

格の上昇

- 91.9%の顧客が一般住民であり、月額平均収入

の4%以上とならないよう設定されている c. 給水率が低い - 送 配 水 管 網 が 限 ら れ て お り 、 現 在50%

Kcamatan(12/24)、52.6%のDesa(192/365)

をカバーしているにすぎない

- 簡単に安価な水を代替水源から購入することが できるため、PDAMの給水に住民の関心が低い。

例えば、浅井戸、深井戸、表流水など。

債務問題については、ビジネスプラン提出による中央政府からの債務削減が大いに期待されて いる。特に利子と罰則金によって負債が膨らんでおり、財務性の改善には財務省によるリストラクチ ャリングが不可欠である。

水道料金については、前述したとおり、今後4 年間で年平均10%の値上げを予定している。一 方で、パスルアン県は住民の収入レベルが必ずしも高くないので、住民の支払能力を十分に考慮 した上で決定したいとしている。

給水率の向上に向けて、今後4年間で給配水管の整備12kmとポンプ設置、新しい給水サービ ス地区のための支店の開設を行なう計画である。

1.6.3. 施設の運営維持管理の現状

取水・浄水施設の運営維持管理の現状

水源は表流水、深井戸と湧水池の計29箇所ある。特に大規模な浄水施設はないが、Wonorejo 取水施設には簡易的な沈殿処理と薬品(クロライト)注入する設備がある。

1996 年までは一部表流水を取水し、浄水施設で水処理して給水していたが、表流水の水質が 非常に悪く、水処理にコストがかかりすぎた。当時で 165Rp/m3の水道料金に対して、360Rp/m3の 生産コストであり、とてもコストリカバリーできないため、現在は使用していない。

付属資料1

送配水管網の運営維持管理の現状 無収水削減対策の現状

無収率は21.7%であり、比較的低い。2004年に現在のDirectorになってから、無収水対策に取 組み、公共事業省からの補助金でMaster Meterを23箇所に設置、水道メーターの交換を進めて きており、2009年までに1万件以上となる。

漏水は、漏水対策チームが夜間に見回ってチェックしている。

違法接続については、中央政府の傘下で地方政府がこの水道公社の前身を管理していた1986

-1999年頃は好ましくない状況だった。2004年から年間約40数件ほど摘発してきている。

水道メーターが適切に稼動しているかどうかは検針員が顧客訪問した際に確認している。世帯 人口に対して水道使用量が明らかに少ない場合、①水道メーターが故障していないか、②違法接 続されていないか、③住んでいる日数が少ないのではないか、など状況を慎重に観察し、判断す る。その際、水道メーターの状態を、良好、普通、悪い、の 3 つに分類し、普通の場合は測定機関 に測定を依頼してチェックするなどして確認している。メーターが機能していないことが判明したら、

次月には交換をしている。

水質管理の現状

水質は保健省、WHO の基準も満たし良好とのことである。水質検査は、同水道公社にラボラトリ ーがないため、スラバヤの検査機関にサンプルを持ち込んで測定を依頼している。

水源が深井戸や湧水地で水質が良好であったこともあり、水質を同公社で検査する体制として は整っていない。

過去には表流水の水源を使用し、浄水処理して給水していたが、保健省の水質検査結果が思 わしくなく、また処理にコストがかかりすぎるため、その水源は1996年で閉鎖している。

運営維持管理上の問題点と原因

ビジネスプランに示された運営維持管理上の問題点、原因は次表の通りである。

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