• 検索結果がありません。

PC造架構において,部材の残留変形はその限界状態などを判断する重要なデータになるため,

実験結果から得られた各試験体のアンボンド PCaPC 梁部材における残留変形率を算出し,残留 変形角の実験値とPC造梁の残留変形に関する既往研究の計算値[3.2]との比較を行った。

3.2.1 残留変形率の算定

正負載荷時においてアンボンド PCaPC 梁部材に生じたピーク時の部材角と除荷時の残留部材 角を用い,各試験体におけるアンボンド PCaPC 梁部材の残留変形率(r)を式(3-1)より算出す る。ここで梁の部材角は,梁たわみと梁危険断面位置で生じる目開きによる変形を梁内法スパン で除したものである。

各試験体におけるアンボンド PCaPC梁部材の残留変形率の算定結果を図3.1に示す。同図の 横軸は梁部材角を,縦軸は残留変形率をそれぞれ示す。なお,スラブを有する立体十字形試験体

PCJ09 及びPCJ10 では,スラブの影響により上端引張時と下端引張時に発生する梁の部材角が

異なるため,正負載荷時においてそれぞれ上端引張(正載荷時の東梁,負載荷時の西梁)及び下 端引張(正載荷時の西梁,負載荷時の東梁)になる梁部材角を用いて残留変形率を評価すること とした。

その結果,平面十字形試験体PCJ07及びPCJ08では最大耐力以降に残留変形率が若干増加し たが,梁部材角の増加に関わらず,概ね一定の割合を表し,最大梁部材角時における残留変形は

それぞれ1/350及び1/500程度で小さい値を表した。これは,梁部材のPC鋼材がその弾性限界

を超えたものの,降伏までは至っていないためである。スラブ付き立体十字形試験体PCJ09及び

PCJ10では下端引張時における梁の残留変形率が小さく,ほぼ一定の値になる傾向を示した。こ

れに対し,上端引張時においては梁の変形角の増加と共に梁の残留変形率も徐々に増え,RC造ス ラブの損傷が進展することによって残留変形率も大きくなる結果となり,最大梁部材角時におけ る梁の残留変形は約1/200以上となった。

𝑟 =|𝑅𝑟+| + |𝑅𝑟|

|𝑅𝑝+| + |𝑅𝑝| (3 − 1)

ここで,𝑅𝑟+:正載荷時における梁の残留部材角(%rad.) 𝑅𝑟:負載荷時における梁の残留部材角(%rad.) 𝑅𝑝+:正載荷時における梁のピーク部材角(%rad.)

𝑅𝑝:負載荷時における梁のピーク部材角(%rad.)

第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

3-3

(a)試験体PCJ07 (b)試験体PCJ08

(c)試験体PCJ09(左図:正載荷時,右図:負載荷時)

(d)試験体PCJ10(左図:正載荷時,右図:負載荷時)

図3.1 残留変形率-梁部材角関係 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁 西梁 平均値

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁 西梁 平均値

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁

西梁

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁

西梁

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 2 4 6

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁 西梁

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4

残留変形率r

梁部材角Rb(%rad.) 東梁 西梁

正載荷時 負載荷時

正載荷時 負載荷時

上端引張 下端引張

上端引張 下端引張

上端引張

下端引張

上端引張

下端引張

第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

3-4

3.2.2 残留変形角の計算値と実験値の比較

式(3-2)によるアンボンドPCaPC梁部材の残留変形角の計算値(Rr)と残留変形角の実験値と の比較を試みた。同式はPC造梁の残留変形角の推定式(浜原等の提案式)[3.2]であり,ここで経 験最大変形角は梁部材角の実験値を用いた。残留変形角の実験値と計算値を併せて,図 3.2に示 す。

アンボンド PCaPC 梁部材における残留変形角の実験値と計算値を比較したところ,両者が概 ね対応する試験体も見られたものの,小変形時には残留変形の計算値が実験値を過少評価し,大 変形時には残留変形の計算値が実験値を過大評価する傾向があった。これに関して,特に大変形 時においてはアンボンド PCaPC梁部材の PC鋼材がその弾性限界を超えたものの降伏までは至 っておらず,有効プレストレス力により残留変形の抑制効果が発揮されたと考えられる。

𝑅𝑟=0.3(1.1 − 𝜆𝑡)(𝑅𝑝× 100)3+𝜆2𝑡

100 (3 − 2)

ここで,𝑅𝑝:梁の経験最大変形角(%rad.)

𝜆𝑡= 𝑇𝑝𝑦 𝑇𝑝𝑦+ 𝑇𝑦

𝑇𝑝𝑦:PC鋼材降伏時荷重(kN)

𝑇𝑦:引張鉄筋の降伏時荷重(kN)

第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

3-5

(a)試験体PCJ07 (b)試験体PCJ08

(c)試験体PCJ09(左図:正載荷時,右図:負載荷時)

(d)試験体PCJ10(左図:正載荷時,右図:負載荷時)

図3.2 残留変形角の計算値と実験値の比較 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.) 実験値(東梁)

実験値(西梁) 浜原式

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.) 実験値(東梁)

実験値(西梁) 浜原式

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.) 実験値(東梁) 浜原式(東梁) 実験値(西梁) 浜原式(西梁)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.) 実験値(東梁) 浜原式(東梁) 実験値(西梁) 浜原式(西梁)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4 5

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.)

実験値(東梁) 浜原式(東梁) 実験値(西梁) 浜原式(西梁)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 1 2 3 4

残留変形角Rr(%rad.)

梁部材角Rb(%rad.) 実験値(東梁) 浜原式(東梁) 実験値(西梁) 浜原式(西梁)

正載荷時 負載荷時

正載荷時 負載荷時

第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

3-6