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梁部材の任意断面における中立軸位置の評価

第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

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第3章 梁曲げ破壊するアンボンドPCaPC造十字形柱梁骨組の梁部材における力学特性

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(c)試験体PCJ09 (d)試験体PCJ10 図3.5 コンクリートの圧縮応力度-ひずみ関係

本研究の対象となるアンボンド PCaPC 十字形部分架構及びその地震時挙動を簡略化して図 3.6に示す。本架構に水平力が作用すると梁圧着面での離間が生じて梁部材が剛体的に回転し,圧 縮側コンクリートは圧縮力を負担する。

図3.6 アンボンドPCaPC十字形部分架構の挙動

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90

梁部材

Test1 Test2 Test3 応力度(N/mm2 )

ひずみ ()

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90

梁部材

Test1 Test2 Test3 応力度(N/mm2 )

ひずみ ()

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3.4.2 梁部材に沿った中立軸位置分布の推定法

梁材軸に沿った任意断面における圧縮縁から圧縮合力位置までの距離(Cdx)を考える。梁断面 に作用する曲げモーメント(M)は,図 3.7 のように梁圧着面から梁材軸に沿って線形的に減少 する。ここでアンボンドPC鋼材が上下等量・対称配置された場合,PC鋼材による引張合力(2Tp) の位置は常に梁せいの中心にあって一定であるため,圧縮合力と引張合力の中心間距離(jd)は曲 げモーメントの減少に比例して線形的に減少する。また,支持点では圧縮合力位置と引張合力位 置が一致する。これより任意断面での圧縮縁から圧縮合力位置までの距離(Cdx)は,式(3-3)で表 わせる。また,前述した通りコンクリートの圧縮応力度分布を三角形と仮定すれば,任意断面で の中立軸深さ(xnx)は圧縮合力位置までの距離(Cdx)の3倍となり,式(3-4)を得る。

𝐶𝑑𝑥 =3𝐷 − 2𝑥𝑛

6𝑙 𝑋1+𝑥𝑛

3 (3 − 3) 𝑥𝑛𝑥=3𝐷 − 2𝑥𝑛

2𝑙 𝑋1+ 𝑥𝑛 (3 − 4) ここで,𝐷:梁せい,𝑙:梁圧着面から支持点までの距離(mm)

𝑥𝑛:梁圧着面での中立軸深さ(mm)

𝑋1:L’区間(中立軸位置が梁断面の内側に存在する区間,図 3.7 参照)での梁圧着

面から材軸方向への距離(mm)

この際,式(3-4)の中立軸深さ(xnx)が梁せいとちょうど等しくなるA点(図3.7参照)が,梁 断面内の圧縮ひずみ分布を三角形とする限界点である。梁圧着面からA点までの距離(L’)は式 (3-5)より算定される。

𝐿=(𝐷 − 𝑥𝑛)

(3𝐷 − 2𝑥𝑛

2𝑙 )

⁄ (3 − 5)

図3.7 梁材軸に沿った任意断面での中立軸位置

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3.4.3 実験結果との比較検証

本節では,3.4.2 で説明した推定式により求めた中立軸位置分布と第 2 章の実験結果から得られ た実験値との比較を行い,推定式の妥当性を検証した。ここで,梁部材に沿った中立軸位置分布の 算定式において,未知数である梁圧着面での中立軸深さxnは第4章で提案するマクロモデルの収束 計算法により比較的簡単に求められる。しかし,ここでは提案した梁部材の任意断面における中立 軸位置の評価法の妥当性を検証することが目的であるため,中立軸位置分布線を求める際は,未知 数である梁圧着面での中立軸深さ xnを梁曲げ終局直前の層間変形角 2.0%時の危険断面での実験値 を用いて計算した。

表3.2に検証対象となる試験体の寸法や材料特性等の主要諸元を示す。また,図3.8に梁材軸に 沿った三ヶ所の断面(梁圧着面から50mm,200mm,400mm)での中立軸位置を測るための変位計 設置位置を示す。

表3.2 試験体PCJ07及びPCJ08の諸元

試験体名

梁幅 b

(mm)

梁せい D

(mm)

圧着面から支持点 までの距離l’

(mm)

PC鋼材 全長L

(mm)

PC鋼材直径



(mm)

コンクリートの圧 縮強度c

(N/mm2) PCJ07

250 400 1425 3750 23

79.2

PCJ08 78.2

図3.8 中立軸位置測定方法

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(1)推定法による中立軸位置と実験結果との比較

図3.9 に推定法による中立軸位置分布線を層間変形角R=2.0%時における各測定区間の中立軸位 置を直線補間した中立軸位置分布線の実験値と合わせて示す。ここで,各測定区間(50mm,150mm,

200mm)での中立軸位置は当該区間の変位測定量を区間の長さで除した平均値であるため,各区間 の中央点に表す。また,同図の縦軸は圧縮縁から中立軸位置までの距離を,横軸は梁圧着面から梁 材軸方向への距離をそれぞれ表す。図中の黒色及び赤色の破線は式(3-4)により計算した正載荷時

(梁上部圧縮)及び負載荷時(梁下部圧縮)の中立軸位置分布を表す。式(3-4)による中立軸位置分 布の算定の際,梁圧着面での中立軸深さxnは梁曲げ終局時(R=2.0%)の実験値を用いた。

図3.9より,実験結果から得られた中立軸位置は梁材軸に沿って大きく変化し,正負載荷時とも 提案式により求めた中立軸位置の分布線とほぼ一致した。

(a)試験体PCJ07

(b)試験体PCJ08

図3.9 梁材軸に沿った中立軸位置 0

50 100 150 200 250 300 350 400

0 200 400 600 800 1000

中立軸位置(mm)

圧着面から測定位置までの距離(mm) 実験値 計算値

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 200 400 600 800 1000

中立軸位置(mm)

圧着面から測定位置までの距離(mm) 実験値 計算値

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 200 400 600 800 1000

中立軸位置(mm)

圧着面から測定位置までの距離(mm) 実験値 計算値

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 200 400 600 800 1000

中立軸位置(mm)

圧着面から測定位置までの距離(mm) 実験値 計算値 圧縮域

引張域

正載荷時

圧縮域

引張域

負載荷時

圧縮域

引張域

正載荷時

圧縮域

引張域

負載荷時

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(2)推定法による中立軸位置とひび割れ状況との比較

図3.10に層間変形角R=2.0%時における梁部材の損傷及びひび割れ状況を図3.9の中立軸位置の 分布線と併せて示す。両試験体において層間変形角R=0.25%付近で梁に曲げひび割れが発生し,こ れらとほぼ同時に梁圧着面で離間が観測された。この以降R=1.5%まで梁の曲げひび割れが伸展し,

R=2.0%では梁圧着面近傍のかぶりコンクリートが圧壊し,梁の損傷は梁圧着面付近に集中した。

図 3.10 より,実験結果によるひび割れの発生や進展は本論文で提案した中立軸位置の分布線の 外側(引張域)に留まり,アンボンドPCaPC梁部材におけるひび割れ発生領域を概ね推定できた。

(a)試験体PCJ07

(b)試験体PCJ08

図3.10 ひび割れ状況と中立軸位置推定値の比較(層間変形角2.0%時)

中立軸位置 PC鋼材

―正載荷 ―負載荷

―正載荷 ―負載荷 西梁

西梁 東梁

東梁

―正載荷 ―負載荷

―正載荷 ―負載荷

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