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歳女性。うつ病で他院精神科通院中。自身でボールペンを口腔内より刺し,受傷 3 日経 過し咽頭外傷加療目的で当科紹介となった。経鼻内視鏡検検査にて異物は認められず,CT 検査では

ドキュメント内 一般演題 (ページ 60-71)

右胸鎖乳突筋背側に内部に air を伴う 3 mm 大の造影不領域を認め外傷性の頸部膿瘍と診断した。伸 展範囲から同日手術となった。全身麻酔下に右頸部外切開,排膿術を施行したところ,排膿と供に頸 動脈間隙にプラスチック製の異物を認め,摘出した。ボールペンのキャップであり同異物が持続的な 感染を惹起していたものと思われた。菌検査施行の後セフトリアキソン(CTRX)2 g/d,クリンダマ イシン(CLDM)1200 mg/d 投与しつつ,経過をみていった。一時瘻孔を認めたものの圧迫など非観 血的処置で改善し,途中併発した肺血栓塞栓症もヘパリン投与にて改善。第 20 病日に退院となった。

エックス線透過性異物には木,プラスチックなどがあり,特にこれらの残留については気を付ける 必要がある。今回は目撃者がおらず,本人もうつ病でほぼ無言であり詳細な問診が出来ず,CT 検査

では Airation や膿瘍も相まってはっきりとした異物構造が確認できなかったと考えられる。外傷の際

には受傷機転によって CT 検査で検出されない異物残留の可能性も考えて診断,治療にあたるべきと 考えた。

第8回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 プログラム・抄録集より転用

©2020 Japan Society for Infection and Aerosol in Otorhinolaryngology

第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 一般演題

日耳鼻感染症エアロゾル会誌 8(4): 362–363, 2020

第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 一般演題 43

咽頭痛・発熱を主訴に来院した無顆粒球症の 1

田淵みな子,原田みずえ,大堀純一郎,山下  勝

鹿児島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

A case of agranulocytosis with achief complaint of sore throat and fever

Minako Tabuchi, Mizue Harada, Junichiro Ohori, Masaru Yamashita

Department of Otorhinolaryngology, Head and Neck Surgery, Graduate of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

1

.はじめに

無顆粒球症とは,1922年にSchultzにより初めて報告 され,好中球減少の程度が高度(500個/μl以下)で顆 粒球のみが選択的に障害され,赤血球や血小板などの 他の血球減少がない場合のことをいう。高度の咽頭痛,

発熱により発症し,臨床所見では,口腔咽頭粘膜の壊 死や,口蓋扁桃の黒褐色苔を付けた潰瘍が特徴的であ る。今回,関節リウマチ薬であるサラゾスルファピリ ジンにより無顆粒球症を来したと考えられた症例を経 験したので報告する。

2

.症例

32歳女性。主訴は咽頭痛,発熱であった。関節リウ マチのため当科受診3日前までサラゾスルファピリ ジンを内服していた。受診4日前から咽頭痛,39°C台 の発熱が持続し,近医耳鼻咽喉科で急性扁桃炎と診断 された。採血で白血球減少を認め,精査加療のため当 科紹介受診となった。初診時の臨床所見は,口腔内,

咽喉頭粘膜に多数の白苔が付着し,歯肉,両側口蓋扁 桃,喉頭披裂部の発赤と腫脹を認めた。血液検査では 白血球数は1160/μlと低下し,特に好中球は2.6%(30.1 個)と低下し,CRPは41.8 mg/dlと著明高値であった。

サラゾスルファピリジンによる無顆粒球症と診断し,

即日入院加療となった。G-CSF,CFPM,VCM,抗真 菌薬を投与し,入院11日目には,解熱し,17日目には 採血データも正常化した(図1)。

3

.考察

無顆粒球症の頻度の高い医薬品としては,サラゾス ルファピリジン,チアマゾールなどの抗甲状腺薬,抗 血小板薬であるチクロピジンが挙げられる。サラゾス ルファピリジンについては,無顆粒球症の頻度は0.06

〜0.6%と報告されている。頻度は低いものの,急性扁 桃炎や急性咽頭喉頭炎様の所見を呈するものの中には,

薬剤性無顆粒球症によるものがあるため,病歴,薬歴 の聴取が重要であると思われた。本例は局所所見だけ では,その背景に無顆粒球症があることを疑うことは 難しかった。一方,口腔内と咽喉頭にカンジダの白苔 を認めており,易感染状態にあることは推測された。

薬剤性無顆粒球症発症時の対応としては,①原因薬 剤の中止,②熱源の精査,③広域スペクトラム抗菌薬

投与,④G-CSF製剤の投与がある。薬剤性無顆粒球症

によって重篤な状態に陥りやすい予後因子として,高 齢(>65歳),敗血症またはショック,腎不全,好中 球数100 μl以下が挙げられている。死亡率は5〜10%

である。本症例については,好中球数は100μl以下で あったものの,若年であり敗血症,ショック,腎不全 は認めなかった。血液データと病歴・薬歴の聴取によ り早急に診断し,専門的な治療を開始できたことが良 好な経過につながったと考えられる。

1 発症後の経過(臨床データの推移)

咽頭痛・発熱を主訴に来院した無顆粒球症の 1

田淵みな子,原田みずえ,大堀純一郎,山下  勝

鹿児島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

A case of agranulocytosis with achief complaint of sore throat and fever

Minako Tabuchi, Mizue Harada, Junichiro Ohori, Masaru Yamashita

Department of Otorhinolaryngology, Head and Neck Surgery, Graduate of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

1

.はじめに

無顆粒球症とは,1922年にSchultzにより初めて報告 され,好中球減少の程度が高度(500個/μl以下)で顆 粒球のみが選択的に障害され,赤血球や血小板などの 他の血球減少がない場合のことをいう。高度の咽頭痛,

発熱により発症し,臨床所見では,口腔咽頭粘膜の壊 死や,口蓋扁桃の黒褐色苔を付けた潰瘍が特徴的であ る。今回,関節リウマチ薬であるサラゾスルファピリ ジンにより無顆粒球症を来したと考えられた症例を経 験したので報告する。

2

.症例

32歳女性。主訴は咽頭痛,発熱であった。関節リウ マチのため当科受診3日前までサラゾスルファピリ ジンを内服していた。受診4日前から咽頭痛,39°C台 の発熱が持続し,近医耳鼻咽喉科で急性扁桃炎と診断 された。採血で白血球減少を認め,精査加療のため当 科紹介受診となった。初診時の臨床所見は,口腔内,

咽喉頭粘膜に多数の白苔が付着し,歯肉,両側口蓋扁 桃,喉頭披裂部の発赤と腫脹を認めた。血液検査では 白血球数は1160/μlと低下し,特に好中球は2.6%(30.1 個)と低下し,CRPは41.8 mg/dlと著明高値であった。

サラゾスルファピリジンによる無顆粒球症と診断し,

即日入院加療となった。G-CSF,CFPM,VCM,抗真 菌薬を投与し,入院11日目には,解熱し,17日目には 採血データも正常化した(図1)。

3

.考察

無顆粒球症の頻度の高い医薬品としては,サラゾス ルファピリジン,チアマゾールなどの抗甲状腺薬,抗 血小板薬であるチクロピジンが挙げられる。サラゾス ルファピリジンについては,無顆粒球症の頻度は0.06

〜0.6%と報告されている。頻度は低いものの,急性扁 桃炎や急性咽頭喉頭炎様の所見を呈するものの中には,

薬剤性無顆粒球症によるものがあるため,病歴,薬歴 の聴取が重要であると思われた。本例は局所所見だけ では,その背景に無顆粒球症があることを疑うことは 難しかった。一方,口腔内と咽喉頭にカンジダの白苔 を認めており,易感染状態にあることは推測された。

薬剤性無顆粒球症発症時の対応としては,①原因薬 剤の中止,②熱源の精査,③広域スペクトラム抗菌薬

投与,④G-CSF製剤の投与がある。薬剤性無顆粒球症

によって重篤な状態に陥りやすい予後因子として,高 齢(>65歳),敗血症またはショック,腎不全,好中 球数100 μl以下が挙げられている。死亡率は5〜10%

である。本症例については,好中球数は100μl以下で あったものの,若年であり敗血症,ショック,腎不全 は認めなかった。血液データと病歴・薬歴の聴取によ り早急に診断し,専門的な治療を開始できたことが良 好な経過につながったと考えられる。

1 発症後の経過(臨床データの推移)

参考文献

1) 山中 昇:咽頭・扁桃炎のマネジメント.医療ジャーナ ル;2009: 171–172頁.

2) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル.https://

www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1f.html,参照(2020-8-17).

3) 芝田あゆみ,溝口美佳,瀧口義弘,他:切迫早産に対する塩 酸リトドイン長期投与時に発症した無顆粒球症の1例.和 歌山医学 2019; 70(4): 150–152.

4) Andres E, Mourot-Cottet R: Non-chemotherapy drug-induced neutropenia - an update. Expert Opinion on Drug Safety 2017;

16(11): 1235–1247.

©2020 Japan Society for Infection and Aerosol in Otorhinolaryngology

第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 一般演題

日耳鼻感染症エアロゾル会誌 8(4): 364–365, 2020

第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 一般演題 44

肺結核治療と並行して化学放射線療法を行った中咽頭癌の 1

松浦 貴文,広瀬 敬信,菅原 一真,山下 裕司

山口大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科学

A case of oropharyngeal carcinoma with active mycobacterium tuberculosis treated with concurrent anti-cancer chemoradiotherapy and anti-tuberculosis chemotherapy

Takafumi Matsuura, Yoshinobu Hirose, Kazuma Sugahara, Hiroshi Yamashita

Department of Otolaryngology, Yamaguchi University, Graduate School of Medicine

1

.はじめに

本邦における結核罹患率は漸減傾向にあるものの欧 米先進国の4倍以上と言われており 1),活動性結核に罹 患した癌患者の治療を経験する可能性がある。一方で 肺結核と癌に対し同時に治療した報告は稀である。肺 結核を合併した中咽頭癌に対し,肺結核治療と並行し て化学放射線療法を施行した1例を経験したため,文 献的考察を加えて報告する。

2

.症例

54歳男性。20XX年5月に中咽頭右側壁,右頸部に 腫瘤を自覚し,近医総合病院を受診した。精査中に

PET-CT検査にて右上肺野にFDG集積亢進を指摘され

たが,CT所見からは転移性腫瘍や原発性肺癌の可能性 は低いと考えられ,中咽頭癌(右側壁,SCC,p16+,

cT3N1M0,stageII)と診断された。セカンドオピニオン で他院受診したところ,結核の除外が必要と判断され,

精査の結果活動性結核と診断された。肺結核ならびに 中咽頭癌の加療目的で,同年8月上旬当院紹介受診と なった。中咽頭癌は当科,肺結核は呼吸器内科で加療 を行う方針となり,受診翌日より抗結核薬(INH+RFP+

EB+PZA)による加療が開始された。結核治療開始後 より皮疹の出現や発熱を認め,RFPが被疑薬と考えら れたため,INH+EB+PZA+LVFXにて初期治療を行った。

結 核 治 療 が 軌 道 に 乗 っ た9月 下 旬 よ りCDDP併 用

(100 mg/m2)放射線治療(70 Gy)を開始した。白血球 減少Grade3を認めたため2,3クール目は80 mg/m2で CDDP投与を行い,11月中旬で治療完遂(完全奏功)

となった。結核も同時期に初期治療完遂となり,維持 治療(INH+LVFX)へと移行した。現在,中咽頭癌の

再発を認めておらず,結核も新規陰影の出現なく病変 の縮小を維持している。

3

.考察

過去の肺癌患者,大腸癌患者を中心とした活動性結 核を伴う癌患者に対する癌,結核同時治療の有効性と 安全性に対する検討では,結核治療と相関のあると思 われる肝機能障害を除き,結核の有無による有害事象 の発現頻度に差はなく,治療中,治療後に結核の再燃 は認められていない 2)

しかしながら,肺結核,癌を並行して治療する場合,

いくつか問題点が挙げられる。1点目は多種の薬剤を 使用することによる相互作用がある。本症例において は薬物相互作用が治療に影響することはなかったが,

抗結核治療の中心的薬剤であるRFPは肝薬物代謝酵素

(CYP3A4など)誘導作用が強く,併用薬の代謝や排泄 過程が誘導され,期待する効果が得られない可能性が ある。具体的にはイリノテカンやゲフィチニブなどの 抗悪性腫瘍剤では血中濃度の低下が報告されている

(表1) 3,4)。一方で,頭頚部癌に使用される頻度の高い

CDDPやCBDCAなどへの影響はないと言われている。

また,RFPはUGP(UDP-グルクロン酸転移酵素)も誘 導すると言われており,オピオイドの代謝にも影響す るとされる(表2)。オキシコドン,ブプレノルフィン はRFPとの併用で血中濃度が低下することが報告され ている。また,RFP投与前後でモルヒネを経口投与し たところ,AUCおよびCmaxが優位に減少し,鎮痛効 果もなくなったという報告もある 5,6)

2点目は感染症増悪,再燃の懸念である。抗癌剤の 投与により抗酸菌感染の再燃,増悪した報告があり,

ドキュメント内 一般演題 (ページ 60-71)