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約款(定義及び組入要件) (中間的論点整理第27)

(1) 約款の組入要件に関する規定の要否(中間的論点整理第27 1)

・ 一般論として、約款について、多数の契約関係を迅速かつ効率的に処理する ことができるという有用性があることは認められており、約款使用者の側だ けではなく、相手方にも有用性があると考えられる。

・ 現状、金融機関における契約は約款によるものが多く、各種法令にもとづき、

顧客説明の重要性を意識した規定の整備等も行ってきている。そもそも、約 款に関して、民法において規律するだけの立法事実はあるのか、立法によっ て対処する必要がある程度に大きなトラブルが発生しているのかという点 は十分に検証をしておく必要があるという強い指摘がある。

・ また、約款の議論では、理論的な議論が先行するところが見られるが、整合 性を詰めすぎると反対に実務が回らなくなる懸念が強い。例えば、実際の取 引時に都度約款が読まれることは期待できないことから、開示を求められれ ば開示できる状況にあり、かつ、内容が不当でなければ、社会通念上約款に よることが周知の事実となっていることをもって、約款の法的拘束力を認め てよいのではないかという指摘もある。上記の懸念等を踏まえ、約款を使用 する取引の実態を把握したうえで、約款の有用性が減殺されることのないよ うな議論が望まれる。

(2) 約款の定義(中間的論点整理第27 2)

① 検討上の留意点

・ 相手方が各条項について個別に承認する機会を持たないような条項群につ いて拘束力を認めてよいかということは、当事者が事業者であるか消費者で あるかを問わず論点になるとしても、約款の定義の提案にあるような「多数 の契約に用いるためにあらかじめ定式化された」ということには直接結びつ くものではないと考えられる。

・ 約款の定義として、提案にあるような「多数の契約に用いるためにあらかじ め定式化された契約条項の総体」と想定した場合、包括的すぎて、あまりに 範囲が広く、一律に規定化するのは極めて困難であり、敢えて規定化すると 多くの弊害が生じるおそれがある。従来、約款として捉えていなかったもの

(格差がない事業者間の契約条項の総体や、契約書に記載された定型的な条 項の総体)にまで約款規制の対象が広がることを懸念している。上記で想定 している約款の全てについて規制が必要な立法事実があるとは考えられな

いことから、仮に規定化するとしても、問題が生じている類型のものをピッ クアップして定義を検討し、その類型だけを規定化することが望ましいとい う指摘もある。

・ 規制の根拠として、当事者間の交渉力格差あるいは隠蔽効果があげられるこ とがある。特に事業者間では、迅速性の確保の観点から、定型的な契約条項 が用いられることが多いが、この場合に条項使用者と相手方の間に、規制を 設ける必要性を認める程度の格差があるとは必ずしも言えない。隠蔽効果を 規制する観点から考えると、事業者間契約は、事業者として自ら適用される ことになる条項について自ら責任を持つという傾向は強く、消費者契約の場 合と同様の保護が必要か疑問である。

・ そのような意味を含め、「組入要件」に係る議論の対象とすべき「約款」に 関して、当事者が調印することを予定した契約(書)は、「多数の契約に用 いるためにあらかじめ定式化された契約条項」であっても「約款」からは当 然に除かれるべきであるという指摘もある。

・ また、不当条項規制との関係にも考慮が必要である。約款の定義について、

約款の組入要件を議論する場合に想定する約款と不当条項規制を議論する 場合に想定する約款を一つの定義で賄うことに必然性があるのか疑問であ る。

・ 約款の組入要件の問題は、相手方が各条項を個別に承認する機会がない場合 に、何故、約款が拘束力を有するのか(約款を変更した場合の拘束力の問題 も含まれる)ということである。他方の不当条項規制の問題は、別の問題で あると考えている。

・ その意味からすると、約款の拘束力の根拠が問題となる契約条項の総体と不 当条項規制の対象とすべき契約条項の総体の2つのものの外延は必ずしも 一致しないと考えられる。

・ 不当条項規制との関係では、貸付信託の約款のように取引の形態について法 令の裏付けがあるものは、規制すべき「約款」の対象からは除かれるべきで あるという指摘もある。

② 改正提案に対する意見

・ 上記①のとおり、約款の定義については慎重な検討を要する。

(3) 約款の組入要件の内容(中間的論点整理第27 3)

① 検討上の留意点

・ 約款の組入要件は、約款の社会的機能および社会全体のコストに鑑み、厳格 にしすぎるべきではない。例えば、普通預金・定期預金・振込み等の取引に 対する顧客ニーズは、手続きの迅速性にあるのが実態であると考えられるの で、組入要件の内容については、各種取引の実態に応じるとともに、顧客利 便性にも配慮が必要である。

・ 特定の約款を用いることが慣習になっている場合は当然に、また、慣習とま では言えなくても、約款によることが社会通念上周知の事実になっているよ うな契約類型の場合には、約款の現実の開示や契約締結時までに相手方が知 り得る状態に置く措置等がなくとも、約款の組入れが認められるべきである。

例えば、契約締結時までに相手方の求めに応じて約款を開示できる状態にあ れば足りると考えられる。

・ このような契約類型の場合には、相手方は約款を現実に見なくても、約款の 適用を予想して契約する意思があると考えられ、約款の組入れを広く認めて も問題ないと考えられる。

・ なぜならば、この場合、相手方は、約款の適用を受けてもおよそ不合理な結 果にはならないだろうという期待を相当程度有すると考えられるためであ る。仮に、そのような期待を覆す結果となるような条項が含まれるならば、

個別に当該条項の組入れを認めない、あるいは条項の効力を否定する等で柔 軟な解決を図るのが適当と考えられる。

・ 一方で、個別の交渉を経て採用された条項は組入要件を問題とすべき約款に は当たらず、契約の内容になるのは当然であると考える。また、個別に交渉 された条項がある場合には、交渉の機会があったわけであり、その条項を含 む条項群の全体について組入要件を問題とすべき約款には当たらないと考 えるべきであるという指摘もある。

・ 上記のような指摘のほか、例えば、信用保証協会による保証付融資や日本政 策金融公庫等の代理貸付等で、銀行が他者の作成した約款を使用し、当該他 者への取次ぎを行う取引における約款の規律の取扱い(約款の開示は誰が行 うのか等)も明確にする必要があるのではないかという指摘もある。

② 改正提案に対する意見

・ 約款の組入れ要件の検討に当たっては、約款の機能を十分に認識する必要が

あり、現行約款の利用が不可能または著しく困難になるような規定の創設に は強く反対する。

・ 上記①のとおり、現行約款が契約として柔軟に認められ、無用な疑義を生じ

させないような運用が可能な規定であれば、約款の法的安定性確保の観点か ら積極意見もあり得る。

(4) 約款の変更(中間的論点整理第27 4)

① 検討上の留意点

・ 社会あるいは環境の変化、あるいは法令等による社会的な要請に伴い、約款 を変更する必要性が出てくる場面がある。具体的な実例として、預金約款に ついて暴力団排除条項を新たに設ける等の改正を行ってきている。他方で、

変更後の約款が既存の契約にどのように適用されるのか、あるいはその根拠 について現行法では必ずしも明らかではないという指摘もある。

・ したがって、約款の変更の必要性に鑑み、社会的相当性、公益性等の合理的 な理由がある場合には、約款使用者による約款の変更を認め、変更後の約款 相手方に対する拘束力を認めるべきであると考える。

・ また、約款使用者による当該約款の一方的な変更が重要な変更に該当する場 合には、その変更に反対する者に当該契約の解除権を与えることも検討して よいのではないかという指摘もある。

② 改正提案に対する意見

・ 上記①のとおり、実務ニーズに沿った検討を望む。