4.9 権利商品
4.9.1 権利商品とは
4.9.1.1 調査研究での分類上の位置づけ
権利商品とは、ネットワーク上では、取り引き対象のサービス(役務)の提供を受ける 権利だけを保証・流通し、そのサービスの実行はネットワーク上とは別の機会である商品を いう。現存する商品を紹介すると次のようなものが考えられる。
(1) 旅行商品チケット
交通機関、宿泊施設、またはそれらを組み合わせたパック旅行を含む旅行関連のチ ケット商品である。
本商品の第1の特徴は、特定の商品についての販売できる数量が絶対的に限定され ており、満席の概念があるという点である。ファッション商品やステープル商品にも 在庫切れや生産中止の概念はあるが、再入荷により入手可能な状態になったり、また 代用品が存在したりすることも多い。一方旅行商品チケットでは、交通機関の座席数 や宿泊施設の部屋数という点で、指定した日時にサービスを提供できる数には絶対的 な限度がある。
第2の特徴は、ファッション商品やステープル商品と比べ、本商品に含まれる「日 時」と「場所」の属性が、その商品の本質であるという点である。交通機関の場合は 指定した時刻Tに地点Pを出発し、時刻Uに地点Qに到着することがその商品の特質 であり、宿泊施設では、日程Dに地点Pで宿泊することがその商品の特質である。
(2) エンターテイメントチケット
音楽、演劇、映画、イベントを含むエンターテイメントチケットの商品である。
上記の旅行商品チケットでの述べた 2 つの特徴のうち、第1の特徴は本商品にもそ のままあてはまる。また第2の特徴に関しては、「日時」「場所」の属性が重要な要 素であることにはかわりはないが、商品の本質とはいえない点が異なる。すなわち本 商品の本質はその興行に消費者が参加できることであり、「日時」や「場所」はそれ に付随した属性である。
(3) 金券
プリペイドカード、商品券、クレジットカードを含む金券商品である。
商品の売買の過程を単純化すると、「販売者が持つ商品Pと購入者が持つ金額Rが、
決済手段Kを使って交換される過程」ということができる。この図式の中で金券商品 はその決済方法自体を商品化したものである。
(4) 金融商品
貯金、信託、証券、国債、保険、ローンなどの金融商品である。前項の商品の売買 の過程の図式「販売者が持つ商品Pと購入者が持つ金額Rが、決済手段Kを使って交 換される過程」を用いれば、金額Rの部分が商品Pへ置き換えられた商品であるとい うことができる。
(5) サービス商品
以上の分類に含まれない権利をサービス商品とよぶ。スポーツクラブ、学校、病院、
ベビーシッタといったサービスを受けることができる商品である。他の商品と違いさ まざまな業種にわたって分散しておりその内容も多種多用である。また、商品のライ フサイクルが短く、次々と新しい商品が登場・消滅する特徴がある。
4.9.1.2 商品例
本節では、権利商品の各分類ごとにその商品例を述べる。ただしここでは商品情報のモ デル化を目標としているため、ユーザに見える形での個々の商品の分類を行うのではなく、
商品データベース設計という観点からの分類を行う。
(1) 旅行商品チケット
① 内容限定型
鉄道やフェリーをはじめとする乗合型の交通手段に適用される乗車券。乗車区間 できることにより対価を支払う。ただし利用期間や有効期限等の制限事項が決めら れているものもある。
② サービス利用料型
急行券や特急券といったような座席を指定しているわけではないが、特定のサー ビスを利用するのに必要なチケット。割り増し料金的な意味合いが強い。
③ 座席指定型
航空券や鉄道、宿泊施設といったような座席や場所が指定されている。航空券の
ように乗車料金も含まれているものや鉄道のように乗車券に付加価値的に発行され るものもある。
④ 借上型
バスや車といったような一定期間乗り物自体を借上げてしまうもの。
⑤ パッケージ型
いわゆるパッケージツアーや割引切符など、旅行に関わる複合的なサービスを取 りまとめパッケージとして扱われている。パッケージに含まれないものはサービス 利用料として別途扱われる。
(2) エンターテイメントチケット
① 指定席型
チケットにより開催日、時間、開催場所、座席が特定されている。いわゆるコン サートなどで分類している座席指定券。
② 整理番号型
チケットにより開催日、時間、開催場所が特定されている。座席は指定されてい ないが、整理番号がついており、その順番により入場が開始され、自由に座席を決 めることができる。
③ 定量制自由席型
チケットにより開催日、時間、開催場所が特定されている。座席が指定されてい ないので会場に来た順に自由に座席を決めることができる。コンサートなどでの自 由席や立見券などがこれにあたる。
④ 無定量自由席型
チケットにより開催日、開催場所が特定されておらず、いつどこででも利用する ことができる。映画館やアミューズメント・スポットなどがこれにあたる。
(3) 金券
① プリペイドカード型
物品、サービスの給付に先だってあらかじめ購入し、決済時にそれをもって支払 にかえる金券である。また使用可能な残高(使用価値残高)がカードに記憶されて おり、使用のつど使用した価値相当分減少する。さらに一般には使用者を特定しな
い無記名性を持つ。
② 商品券型
商品券のほかギフト券も商品券型に分類される。プリペイドカード型と近い性質 を持つが、商品券型は、一回しか利用できず、使用価値残高を記憶していない点が 異なる。
③ クレジットカード型
プリペイドカード型、商品券型が前払いであるのに対して、クレジットカード型 は、クレジットカード会社の信用付与により後払いである点、そして使用者を特定 している点が異なる。
(4) 金融商品
金融商品では、以下に示すようにいくつかの観点で分類することができる。
① 取扱場所
銀行、郵便局、証券会社、信託銀行、生命保険会社、損害保険会社など
② 利率
l 固定金利 l 変動金利
③ 適用利率改定(変動金利商品のみ)
週1回、月2回、月1回、年1回など
④ 利子非課税制度(マル優)
l 利用可 l 利用不可
⑤ 付利方式 l 単利
l 複利(1か月、半年、1年など)
⑥ 預け入れ・購入単位 X円以上、Y円単位
⑦ 期間
預け入れ期間、積み立て期間など
⑧ 据え置き期間
l なし
l あり(1か月、1年など)
⑨ 中途解約手数料
・X円
⑩ 換金してから現金を手にするまでの期間
・X日
(5) サービス商品
① 提供を受ける対象による分類 A. 専門技能の提供
病院、美容院、床屋、クリーニング、レストラン、メンテナンス B. 専門知識の提供
学校
C. 場所・施設の提供
スポーツ施設、会議室などの時間貸し D. 物品の提供
レンタル商品
② 提供を受ける場所による分類
消費者側で指定可←−−→提供者側で指定
③ 提供を受ける時間による分類
消費者側で指定可←−−→提供者側で指定
④ 料金
l あるサービス単位あたり l 時間あたり