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商品情報モデルの特徴

ドキュメント内 商品属性情報標準化に関する調査報告書 (ページ 181-185)

4.12 商品情報モデルのまとめ

4.12.1 商品情報モデルの特徴

「3.商品属性の設計」の章でたびたび述べたように、商品情報記述に関しては Internet という環境の性格上、ネットワークの隅々での新しい状況に俊敏に対応できないような、詳 細にわたる厳格な標準化は馴染まないしするべきではないと考える。そうは言うものの緩い 規約とは一体どのようなものなのか、どういったケースが想定できるのかについて分からな いままでは何の提案を行うことも出来ない。そこで「4.商品グループ別商品情報モデルの 調査研究」を行なうに当たり、特に制限を設けずに各SWGの運営に任せたところ様々なケ ースのモデルが出来上がった。この節ではその特徴に付いて述べると共に、共通してモデリ ング上問題となるテーマについて言及する。

4.12.1.1 商品グループ毎の情報モデルの特徴 (1) ファッション商品

l 繊事協のEDIの成果をもとにしたためか、仕入単価などをはじめとする消 費者には見せることを許されない取引情報を多く含む結果となった。これは 商品情報提供画面作成時に適正な項目編集あるいは閲覧セキュリティの設計 が必要であることを示した。

l 属性項目の検討にあたり「商品基本情報」「取引情報」「対消費者訴求情報」

の3区分でそれぞれ検討をすすめた。本情報モデルにおいてはこれを結合し た形での報告となっているが、実際には情報を作成し更新する責を追う主体 はそれぞれ異なると推定される。従って情報の作成・更新を管理する上では 必ずこれらは別々に定義され作成更新されるべきと考える。

(2) ステープル商品

l 検討のベースとしたのがEC商品画像情報システム推進協議会での言わばデ ータ蓄積用DBのファイルフォーマットであったため、これひとつの設計で 対象となるすべての商品について使用可能である必要が有ったようだ。この ためモデルの中に特殊な専用の属性項目を持つもの(衣料品専用項目、日本 酒専用項目)を含むこととなった。

l こういったデータモデルの是非を問うのではなく、このような構造のデータ

モデルをも受容可能な枠組みは議論のテーマになりうると考える。

l また、流通過程での多様性を反映して衣料品も受容可能な情報モデルとなっ ている。従って、同じ商品が「ファッション商品」と「ステープル商品」と しての別々の属性項目をもつことから、検索シーンは言うに及ばず、情報作 成シーンにおいても登録されているスキーマセットの存在と内容が業界を超 えて取得可能であり、トレース可能でなければならないことを示している。

(3) 生鮮商品

l ここでは生花と鮮魚の商品例に対応させるに当たり「生鮮商品基本情報」と を中心に「生花付加情報」をオプションとして構成している。コンパクトな 構成ながら簡潔かつ効率の良い情報モデルであり、ひとつのスキーマ定義上 の典型的なモデルを形成している。

l ただし、この商品グループにおいてはEDIの結果を反映することは出来て いない。この商品グループでは小売り業者において仕入れの商品単位と小売 りの商品単位とが大きく内容的に異なる(加工を伴う)ことが多いので、対 消費者取引をEDIの一環として捉えるためには敷居が高い商品グループの 一つであると言える。

(4) 家電商品

l この商品情報モデルは、基本層として「ステープル商品」の情報モデルを使 用する上に「ビッグチケット商品」の情報モデルをオーバーレイし、さらに

「家電商品」特有の情報モデルを重畳する構造となっている。

l 今回使用した「ステープル商品」用の情報モデルが汎用的な他商品用の項目 を多く含むモデルであるだけに家電商品にまで敷衍して適用させるには冗長 度が高いように見受けられるが、他の「ステープル商品」用のモデルと組み 合わせるなどいろいろなバリエーションが工夫可能な枠組みであり、やはり 典型的なモデリングのパターンの一つと言える。

(5) 家具・ホームファッション商品

l 今回作成した「家電商品」の情報モデルが百貨店・大手スーパーなど非常に 幅広い商品を扱う流通上のモデルであったのに対しここで作成したモデルは 家具専門店のEC検討の中から生まれた情報モデルである。

l 消費者のユーザープロファイルを商品企画上の構成要素として捉えられてお

り、この項目一覧のうちどこまでが消費者に対して情報提供可能なのかにつ いては未整理であるがユーザープロファイルにおける情報モデルとの相性に よっては非常に詳細な検索能力を発揮すると考えられ、現在の Internet 上で も成功しているニッチマーケット対象の専門店での対消費者インターフェー スの有り様が想起される。

(6) 宝飾品

l EDI事例がないために調査検討に困難を伴った情報モデルのうちの一つで ある。

l コンパクトな情報モデルながら、嗜好性の高い商品の性格上ユーザープロフ ァイルとのマッチングと一部単品管理から個品管理へ移行する商品管理上の 課題の属性項目への反映に注目されたい。

(7) 権利商品

l 今回の調査検討の中では唯一業界内での国際的な相互運用性確保に関する活 動結果が反映されている情報モデルである。

l 項目名(TT&L)をクレオール語として交通機関、宿泊施設に関しても共 通して利用可能なスキーマセットとなっていることが分かる。

l 業界内で国際的な相互運用性が確保されていることと、同一言語使用範囲で 標準概念辞書により他業界の商品グループとの相互運用性が確保されている こととの両方が実現したときの検索の広がり、商品企画の豊富な可能性をし ばし想起されたい。

(8) オンライン情報商品

l 商品そのものが新しくどんどん変容を繰り返していること、従ってビジネス プロセスが固まっていないこと、その結果当然EDIが未整備であること、

により調査検討には非常な困難を伴った。

l その中でも提供形態が異なれば古い歴史を持つ商品を選んで情報モデルの調 査検討に入ったが、商品が消費者の手に渡るプロセスすら未整備で技術上も 法整備上も問題となる分野だけに現時点での検討はこの辺が限界であろうと 考える。

(9) 中古商品

l ここで対象とした「中古車」「古書」「中古パソコン」いずれも「生産時基

本情報」と「流通時付加情報」のセットで構成されている。概ね「生産時基 本情報」が商品が新品として取引対象であった時点での属性項目であるのに 対して、「流通時付加情報」は中古品として流通するに当たって新たに付加 される属性項目であると言える。

l いずれも中古品でも価値が残ると、または趣味性の高い商品であるだけにE C上興味を呼ぶ分野の商品であることは間違いない。

l また中古であることで新品時単品管理であった商品が個品管理に移行するた めの属性項目をどう付加していくのかというテーマが共通して存在している。

l 大変残念なことに新品としての「自動車」「書籍」「パソコン」を今回の調 査・検討対象としなかったために有効な検討対象が存在しないが、新品での 属性項目と、中古品の生産時基本情報の属性項目とではどこが異なるのかも 非常に興味あるテーマである。

4.12.1.2 クラスの概念

今回の調査・研究の時点では記述側、すなわちMMF、PCOともに深いデータ構造を 許容する仕様にはなっておらず、こちらもそれにあわせた検討としたために特には問題とは ならなかったが、データモデルの設計上クラス定義の許容量はどこかで議論する必要が出て くることは間違いない。

この案件は標準概念辞書の構造・運営方法の議論とも不可分な問題であろうことを記し ておく。

4.12.1.3 スキーマ定義

4.1.2スキーマ定義でも言及したがスキーマ定義の単位は、少なくともスキーマ定 義および商品情報の登録・更新の責任単位で分割され、その単位で管理されているという条 件に関しては異論はないと考える。むしろ実用上は複数のスキーマ定義を複合して利用する 際にどんな問題が発生するかと言うことになるが、そもそもいかなるスキーマ定義も登録可 能な枠組みを検討しさえすればそのような観点の問題点が自然淘汰された形で使いやすい スキーマ定義のみが生き残るという状況になると考え、これ以上の議論とはしない。

4.12.1.4 モデリングの考え方

本調査研究でも家具の例で見られたように、百貨店と専門店とではその商品に対する考 え方の違いやビジネスプロセスの違いによって情報モデルが全く異なると言うことがある ことがわかっている。従ってここでも前節同様にいかなるスキーマ定義も登録可能な枠組み

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