第 5 章 構造緩和による物性の変化挙動
じであることが核磁気共鳴により示された(1 0 5 )同様の結果は,
N i7 8 P 1 4 B8ア モ ル フ ァ ス 合 金 と 結 晶 化 合 物Ni3B. あるいはM070B3 0 アモル フ ァ ス 合 金 と 結 晶 化合物103Bの間でも得られている(106 ) ま た , 核 磁 気 共 鳴 に よ り 測 定 さ れ たB原 子 位 置 で の 平 均 の 内 部 磁 場 の値が. Fe82B18ア モ ル フ ァ ス 合 金 と 結 晶 化 合 物Fe3Bとでほとんど 一致す る こ と が 報 告 さ れ て い る (1 0 7 ) これらの結果は B原子をとり 囲 む 金 属 原 子 の 配 列 状 態 が ア モ ル フ ァ ス 構 造 と こ れ ら の 結 晶 化 合 物 と で 極 め て 類 似 し て い る こ と を 示 し て い る . 更 に . Fe'75B25アモル ファス合金におけるFe原 子 の 周 り のB原 子 の 分 布 が 結 晶 化 合 物Fe3B の そ れ と 良 く 似 て い る こ と が , メ ス バ ウ ア ー ス ペ ク ト ル か ら 得 ら れ た 内 部 磁 場 の 分 布 よ り 示 さ れ た (1 0 B ) 一 方.
x
線 や 中 性 子 回 折 に よ る 直 接 的 な 構 造 解 析 の 結 果 , 金 属 ‑ メ タ ロ イ ド 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 は 特 定 の 化 学 的 短 範 囲 規 則 性 を 保 持 し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る(109)(110) そ れ に よ る と メ タ ロ イ ド 原 子 同 士 は お 互 い に 接 触 可 能 な 最 隣 接 位 置 を 占 め る こ と は な く , ま た メ タ ロ イ ド 原 子 の ま わ り に 存 在 す る 金 属 原 子 の 配 置 は 対 応 す る 結 晶 化 合 物 の 構 造 中 に み ら れ る多面体配位に極めて類似している. 表5 ‑1
は, これまでに報 告 さ れ て い る メ タ ロ イ ド 原 子 の ま わ り の 平 均 の 金 属 原 子 数<Z>
と 原 子 間 距 離<R>
を示したものである.これより <Z > ' . 9
であることがわかる. こ う い っ た こ と か ら 金 属 ‑ メ タ ロ イ ド 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 に お け る メ タ ロ イ ド 原 子 の ま わ り の 金 属 原 子 の 配 置 と し て
t e t r a k a i d e k a h e d r o n
配位が考えられる(1 1 '7 ) こ れ は 図5 ‑ 1(a)
表
5 ‑1
金 属‑メ タ ロ イ ド 原 子 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 に お け る メ タ ロ イ ド 原 子 の ま わ り の 平 均 の 金 属 原 子 数< Z >
と原子間距離<
R>.
X線および中性子回折による測定結果.
Alloys Atom pair < R ) ( n m )
くZ) References Fe 8 0 B 2 0 B‑Fe 0.214 8 . 6 ( 1 1 1 ) N i 8 1 B 1 9 B ‑ N i 0 . 2 1 1 8 . 9 ( 1 1 2 ) N i 8 0 P 2 0 P ‑ N i 0 . 2 2 8 9 . 3 ( 1 1 3 ) Co 8 0 P 2 0 P‑Co 0.220 9 . 0 ( 1 1 4 ) ( 1 1 5 ) P d 8 0 Ge 2 0 Ge‑Pd 0 . 2 4 9 8 . 6 ( 1 1 6 )
‑107‑
(0 )
o Metal atom
• M e t a l l o i d atom
図
5 ‑ 1 T e t r a k a i d e k a h e d r o n
構 造 (a
)とF e 3 C
構 造(b) . F e 3 C
構 造 はT e t r a k a i d e k a h e d r o n
構 造 が 稜 を 共 有しながら連結している.
に示したように.
6
個 の 金 属 原 子 に よ っ て 構 成 さ れ る三角 プ リ ズ ム を 基 本 に し て , 更 に 長 方 形 の3
つ の 側 面 上 に そ れ ぞ れ1
個 の 金 属 原 子 を 配 置 し た 構 造 で , メ タ ロ イ ド 原 子 は三角 プ リ ズ ム の 中 心 に 位 置 する. こ の よ う な 構 造 単 位 は 結 晶 化 合 物F e 3 B . F e 3 C . N i 3 B
な ど の 構 造 に 特 徴 的 に み ら れ る (1 1 B ) 図5 ‑ 1 ( b )
はF e 3 C
やN i 3 B
の 構 造 を 示 し た も の で , 上 述 の 構 造 単 位 が 稜 を 共 有 し な が ら 連 結 さ れ る こ と に よ り 構 成 さ れ て い る . す で に 述 べ た よ う に , 金 属 ‑ メ タ ロ イ ド 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 は 特 定 の 化 学 的 短 範 囲 規 則 性 を 有 す る と い う 粒 子 線 回 折 実 験 の 結 果 , お よ び こ れ ら の ア モ ル フ ァ ス 合 金 の 高 分 解 能 電 顕 観 察 に お い て 数nm'こ広がった格子縞領域がみられる事実(1 1 9) (1 2 0 )を 考 慮 す る と , ア モ ル フ ァ ス 合 金 で も こ の 構 造 単 位 同 士 の 連 結 の 仕 方 は , あ る 範 囲 内(1~ 2nm)で は , 対 応 す る 結 晶 化 合 物 の そ れ に 非 常 に 似 て い る と 考 え る こ と が で き る .
‑109‑
5. 1. 2 Fe‑B‑Si系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 の 構 造
ここではFe‑B‑Si系アモルファス合金の構造として, Duboisと
Le Caer(121) (122)によって提案されている構造モデルについて,
本 研 究 で の 実 験 結 果 も 含 め て 説 明 す る . ま ず , 基 本 と な るFe‑B2元 系 に つ い て 述 べ , つ ぎ に 第
3
元 素 と し てSiを添加したFe‑B‑Si3元 系 について述べる.Fe‑B2元 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 の 場 合 , メ ス パ ウ ア ー ス ペ ク ト ル か ら 求 め た 内 部 磁 場 の 分 布 を 解 析 し てB原 子 の ま わ り の 平 均 の 最 隣 接Fe原 子 数
<Z>
を見積もると, Bミ20at%の場合は <z >
'.9であるのに対して, B< 20at%になると
<Z>
が 著 し く 大 き く な る と いう結果が得られる(1 2 3 ) このことはB<20at%でも <z >
'.9で あるという B原 子 に つ い て の 核 磁 気 共 鳴 に よ る , よ り 直 接 的 な 測 定 結果(1 0 '7 )と明らかに矛盾する.メスパウアースペクトルから得ら れるFe原 子 の 内 部 磁 場 は 隣 接 す るB原 子 に よ り 影 響 を 受 け る こ と を 考えると, B< 20at%で<Z>
が 非 現 実 的 な 値 を と る の は , 測 定 さ れ た 内 部 磁 場 が 2種 類 の 異 な る 環 境 に お か れ たFe原 子 か ら の 寄 与 に よるものであるためと考えることができる.すなわち, B< 20at%で は ア モ ル フ ァ ス 構 造 は 次 の よ う な 2つの領域の 11nanodemixion 11 の状態(数nmスケールでの混合状態)にあると考えられる(1 2 4 )
領域
1 ‑
Fe原 子 が メ タ ロ イ ド 原 子 を 中 心 に 図5 ‑ 1
(a)に示したよ うな構造単位を形成している領域で, Fe原 子 は 少 な く と も1個の B原子を最隣接に有する. この領域の平均の B濃度は
2 0 a t
犯である.領域 2‑最 隣 接 にB原 子 を も た な い
F e
原 子 の み に よ っ て 占 め ら れ た 領域である.図
5 ‑2
は こ の ア モ ル フ ァ ス 構 造 を 模 式 的 に 示 し た も の で あ る . 図 においてA1は 領 域 1をA2は 領 域 2を意味する. こ こ で , 各B原 子 は図5 ‑1 ( a )
に 示 し た よ う な 環 境 (9
個 のF e
原 子 に よ っ て 囲 ま れ て い る ) に あ る と 仮 定 す る と , 領 域2
の 占 め る 割 合βはB濃 度x
の 関 数 と し て 次 式 に よ っ て 与 え ら れ る .β
=1‑4(l
Xx )
( 5. 1)と こ ろ で , 亜 共 品 組 成
( B < 1 7 a t
出)のF e ‑ B 2
元 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 に お い て は 結 晶 化 過 程 は い く つ か の 段 階 を 経 て 進 行 し 最 初 の 段 階 で は純粋なα ‑ F e
が 品 出 す る こ と が 知 ら れ て い る (1 2 5 )そこで, この 最 初 に 品 出 す るα ‑ F e
は 領 域 2が 結 晶 化 し た も の で あ る と 仮 定 す ると 、 結 晶 化 過 程 に つ い て の 実 験 結 果 か ら こ の βの 値 を 見 積 も る こ と が で き る . 図
5‑
3 は電気抵抗 (0) ,示差走査熱量(~)およびメス パ ウ ア ー ス ペ ク ト ル (・)の測定により得られた βの 値 を プ ロ ッ ト し た も の で あ る (1 2 6 ) 図 中 の 実 線 は 式 (5. 1)の関係を示したもので,測定結果と良く 一致している. こ の こ と は こ こ で 述 べ た ア モ ル フ ァ ス 構 造 モ デ ル が
F e ‑ B 2
元 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 に 対 し て 妥 当 で あ る こ とを示している。守lA4lよ
41i
A I
A 2
Fe‑B(B<
2 0 a
t%)系アモルファス合金の構造の模式図.AlはFe原 子 がB原 子 を 中 心 にTetrakaidekahedron構
造をとっている領域 • A2はFe原 子 の み に よ っ て 占 め られた領域.
ワ ム
﹁hd
図
‑
¥ 0. ︑ ¥
。
0 . 5 0.4
ね
0.3 0.2
0.10.20 0.16
X
0.12。
結 晶 化 の 実 験 か,ら見積もった領域 2の 占 め る 割 合 βと B濃 度 の 関 係 . 実 線 は 式 (5. 1)による計算値を表す.
qベU F K. d
図
つぎに, こ の 構 造 モ デ ル を 基 に し て 、 第
3
元 素 と し てSiを添加し たFe‑B‑Si3元 系 ア モ ル フ ァ ス 合 金 の 場 合 は 以 下 の よ う に 考 え る こ と ができる.メタロイド原子聞には強い反発力が作用するため, Si原 子はB原 子 と 最 隣 接 に な る こ と を で き る だ け 避 け . ま ず , 最 隣 接 に B 原子をもたないFe原子のみによって占められた領域(領域2
)に入る.このときSi原子はFe原 子 と 置 換 し てFe原子位置に入ると仮定する.
このことはFe‑B‑Si(B< 20a t児)系アモルファス合金の結晶化過程に おいて,初品の α‑FeがSiを 固 溶 し て い る と い う 実 験 結 果 か ら 支 持 される.図 5‑4はFe'79Bl 6 Si5ア モ ル フ ァ ス 合 金 を 結 晶 化 さ せ た と き の メ ス バ ウ ア ー ス ペ ク ト ル で あ る . ス ペ ク ト ル は 実 線 で 示 し た よ うに α‑FeとFe2Bによって良く再現できる. ここで α‑Feのスペクト ルの
1
番目と6
番 目 の ピ ー ク の 間 隔 か ら 見 積 も っ た 平 均 の 内 部 磁 場 は 純鉄のそれより小さい. Haggstromら(1 2 '7 1は結晶Fe‑Si合金におい てFe原 子 の 最 隣 接 に く るSi原 子 の 数 が 増 加 す る と 内 部 磁 場 が 減 少 す る こ と を 報 告 し て お り , こ の 内 部 磁 場 の 減 少 は 明 ら か にSiの固溶に よ る も の で あ る . 図 中 α‑Fe(Si)はSiを固溶した α‑Feを意味する.また,
x
線 回 折 に よ り 求 め た 初 晶 の α‑Feの 格 子 定 数 はO.2858nmで α‑Fe本 来 の 格 子 定 数O.28660nm(1281に比べるとわずかに小さい.これは初晶の α‑FeにはSiが固溶していることを示している. Bにつ い て は 固 溶 量 が 極 め て 小 さ い こ と , 侵 入 型 に 固 溶 し た 場 合 は 格 子 定 数 を 増 加 さ せ る こ と か ら ほ と ん ど 固 溶 し て い な い と 考 え ら れ る .
方 , 電 子 論 的 に もSi原 子 は , す で に 最 隣 接 にB原子を有するFe原
内︿
υ42i
41i
C O
一
ω ω
一 E
ω c
↑ E
743K ‑36ks
. 一 一 ー α‑Fe(Si)
‑‑‑Fe2
B‑ 6 ‑ 4 ‑ 2 0 2 4 6
Velocity , V/mm.s‑
1図 5‑4 結 晶 化 し たFe79B16Sisア モ ル フ ァ ス 合 金 の メ ス バ ウ ア ー ス ペ ク ト ル .
点 線 はSiを 固 溶 し た α‑Feの ス ペ ク ト ル . 一点 鎖 線 はFe2
B
の ス ペ ク ト ル. 実 線 は 両 ス ペ ク ト ル の 和.子(領域
1
)よりも最隣接にB原子をもたないFe原子との問で,より 強い相互作用を3d‑sp混成を通じてもっと考えられる. このような Si原子の領域 2への置換はSi原子がお互いに最隣接になり始める直 前まで,すなわちこの領域の化学的規則性が最大になるまで続く.ここで領域 2に入りうるSiの臨界濃度
u
勺まB濃度x
の関数として次 式で与えられる.U京
=αCl‑5x) ( 5 . 2)
ここで αは領域 2内でSi‑Si対の形成が起こる直前のSi濃度を表す.
D u b o i s
とL eC a e r
は実測値との比較よりα= 0 . 2 5
を得ている. この 値は D03構造をもっFe3Si化合物のSi濃 度 に 対 応 し て お り , 領 域2
に おける Fe原子のまわりのFe原子の平均配位数が純粋な α‑Feと同様8
であることを示唆している. このことも結晶化過程における初品 のα‑FeCFe‑B‑Si系ではSiを固溶している)は領域 2が規則化したも のであるとする考えを支持している. したがって次のように考える ことができるであろう.つまり,領域1
は図5 ‑1
(a)に示した構 造単位の組み合わせ(基本的には三角プリズムの組み合わせ)から成る構造によって特徴づけられる.現実的には各構造単位はいくぶん 歪 ん だ 形 を し て い る と 考 え ら れ る . 一 方 , 領 域 2は体心立方もどき
( b c c ‑ l i k e )
の構造によって特徴づけることができる.ところで, Si濃度が式(5‑2 )で与えられる臨界値 U濠を越えた 場合にはどのようになるであろうか?現時点では, このような場 ムにおけるSi原子の占めるサイト(位置)について詳細に述べること
F hυ
噌﹃i 1i
はできない. しかしながら
S i
原 子 が 臨 界 値 を 越 え て ア モ ル フ ァ ス 構 造 内 へ 入 っ て い く た め に は , 少 な く と も 最 隣 接 に メ タ ロ イ ド 原 子( 8
,S i )
を も た な い 新 し い サ イ ト の 存 在 が 必 要 で あ る . 臨 界 値 を 越 えたS i
原 子 の 存 在 形 態 と し て は つ ぎ の 2つの場合が考えられる.( 1 )領域 1に お い て , 一 部 の
F e
原 子 の ま わ り でB濃 度 の 相 対 的 な 増 加 が 起 こ る . そ の 結 果 , 最 隣 接 にB原 子 を も た な いF e
原子サイトが新たに生じ,
S i
原 子 は こ の サ イ ト にF e
原 子 と 置 換 し て 入 る.( 2) F e
原 子 の セ ル に よ っ てB原子から隔離された空隙(ボイド)にS i
原子が入る. こ の よ う な 空 隙 は 主 に 領 域
1
と領域2
の境界に 存在すると考えられる.ここで領域
1
のB濃 度 は 構 造 単 位 の 連 結 の 仕 方 を 変 え る こ と に よ っ て あ る 程 度 変 化 さ せ る こ と が で き る の で (1 29),B
濃 度 が 低 い 場 合 は( 1
)の機構が有効であろう. これに対してB濃 度 が 高 い 場 合 は (2 )
の 機 構 が 有 効 と な る で あ ろ う . い ず れ の 場 合 も 局 所 的 な 規 則 性 の 急 激な変化をもたらす. し た が っ て 構 造 に 敏 感 な 物 性 の 組 成 依 存 性 の 測定を通して, ここで述べたF e ‑ B ‑ S i(8< 2 0 a
t児)系アモルファス合 金 に 対 す る 構 造 モ デ ル の 妥 当 性 を 検 証 す る こ と が で き る .5 . 2
Feaa‑xB12Six(2<x三三 13)ア モ ル フ ァ ス 合 金 の 物 性ここではFeaa‑xB12Six
(x
=2.5.7.8.5.11 .
13)ア モ ル フ ァ ス 合 金 に つ い て , 構 造 に 敏 感 な い く つ か の 物 性 のSi濃度依存性を調べ,前 節 で 述 べ た 構 造 モ デ ル の 妥 当 性 を 検 証 す る . こ の 構 造 モ デ ル に よ るSiの 臨 界 濃 度 U本を上記の試料について式(
5 . 2)
により計算すると • x =0. 12(B=12at 児)を代入して • y車 =0.10(10at児)が得られる.
したがって. Si=10at%近 傍 で 物 性 のSi濃 度 依 存 性 に 変 化 が 観 測 さ れることが予測される.
5.2. 1
微 小 硬 度 お よ び 保 磁 力図
5‑ 5
はFeaa‑xB12Six合 金 の 微 小 硬 度Hvと保磁力HcのSi濃 度 依 存 性 を 示 し た も の で あ る . こ こ で , 硬 度 は い ず れ の 試 料 に 対 し て も20箇所を測定した.図において黒丸(・)は平均値を表す. Si濃 度 10at%付 近 ま で はSiの 増 加 と と も 硬 度 は 増 加 す る が , そ れ 以 上 で は 一定となっている. このようなSiの添加による硬度の増加現象は,結晶Fe‑Si合 金 に お け る そ れ と 類 似 し て い る 。 と こ ろ で , 本 実 験 で 得 ら れ た 硬 度 は こ れ ま で に 報 告 さ れ て い る 値 (1 3 0 )よりも全体的に 若 干 小 さ か っ た 。 し か し 後 述 す る よ う に 結 晶 化 温 度 や キ ュ リ ー 温 度
に は こ の よ う な 違 い は み ら れ な い . このことから考えて, この違い は測定条件(荷重および加圧時間)の違いによるものと考えられる.
一 方 , 保 磁 力 のSi濃 度 依 存 性 は , 図 か ら 明 ら か な よ う にSi濃 度10
円t '
41i
41i
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X /at% 1 5
図
5 ‑5
保 磁 力Hc (上)と微小硬度Hv(下)のS i
濃度依存性.at%
近傍まではS i
の増加とともに増加しているが,1 0 a t
%以上では 急激に減少する. 一般に保磁力は磁壁の移動に対する抵抗が大きく なる程増大する.10at%
近 傍 ま で の 保 磁 力 の 増 加 は , 微 小 硬 度 の 増 加と対応していることから判断して歪みの増加によるものと考えら れる. しかしS i
濃度10at%
以 上 で 保 磁 力 が 急 激 に 減 少 す る 原 因 に つ いてはよくわからない.おそらく10at%
近 傍 を 境 に ア モ ル フ ァ ス 構 造 に 何 ら か の 変 化 が 起 こ っ た た め に , 磁 壁 の 移 動 に 対 す る 抵 抗 が 減 少したものと考えられる.ところでいずれの組成でも保磁力は6 A I
皿( 0 . 0 8 O e )
以 下 の 極 め て 小 さ な 値 を 示 し て お り , 軟 磁 性 材 料 と し て の特性がうかがわれる.5.2. 2 結 晶 化 温 度 と キ ュ リ ー 温 度
結品化温度Txとキュリー温度Tcの
S i
濃度依存性を図5 ‑6
に 示す • T xとTcのいずれも10at%
近傍まではS i
濃度の増加とともに 直線的に増加している. しかし10at%
以上ではS i
濃度による変化は ほとんどみられない.結晶化温度Txおよびキュリー温度Tcともに 明らかに10at%
近傍を境にしてS i
濃度依存性に違いがみられる.TxとTcのこのような変化はこれまでの報告(1 8) (1?)とほぼ一致す る. ここで,結晶化温度の上昇はアモルファス構造の熱的安定性の 向上を意味する.実用磁性材料としてみた場合,コスト的に安い
S i
の 添 加 に よ っ て 熱 的 安 定 性 が 向 上 し 同 時 に キ ュ リ ー 温 度 が 上 昇 す ることはきわめて好都合なことである.
ハud
4li
4﹃i