X- band EPR(電子スピン共鳴)
3. フッ素置換フェニルニトロニルニトロキシドの構造と磁性
3.1. 概要
本研究ではフェニルニトロニルニトロキシドラジカル(PNN)のフェニル基にフッ素を 3 つあるいは4つ置換した4種類のF3PNNおよびF4PNN(Fig. 17)の合成を行い、それらの分 子間ラジカル接近とその磁気相互作用の関係を系統的に分類して比較検討した。F3PNN、
F4PNNはフェニル基に水素原子を有していることから、静電引力によって結晶内に水素結 合による新しいスピンネットワークの形成が期待される。これらの化合物における分子パ ッキングとそこに存在する磁気相互作用について調べ、また、フェニル基内に存在する水 素原子のサイトの違いによる構造の変化についても検証した。
【2,3,5-F3PNNおよび2,3,5,6-F4PNN】
2,3,5-F3PNNと2,3,5,6-F4PNNは空間群P21/cに属する同型晶として得られた。c軸方向に はNO基とベンゼン環4位の水素原子の接近(CH···O 2.3 Å)がみられ、水素結合によって 形成される一次元鎖が存在していた。また鎖間分子間接近として対称心で結ばれる分子間 にNO基とベンゼン環オルト位の接近(O···F 3.03.1 Å, O···C 3.13.2 Å)がみられ、二量体を 形成していた。結晶内には2種類の分子間接近が観測された。その静磁化率と温度の積(pT) は、温度低下に伴い増大し、4 Kで極大をとった後pT値は減少した。静磁化率測定から支 配的な相互作用は強磁性的であり、これに加えて弱い反強磁性相互作用も存在すると考え られた。結晶構造で観測された2種類の分子間接近のうち、どちらかの分子間接近に強磁 性相互作用を持つことが示唆されたため、pT 値の温度依存性を強磁性一次元鎖モデルと 強磁性ダイマーモデルの2種類を用いて解析を行い比較した。いずれも弱い反強磁性相互
Fig. 17. F
3PNN および F
4PNN の分子構造
R =
F F
F
F F
F F
F F
F F
F F
F
R N N O
O 2,3,5-F3PNN 2,3,5,6-F4PNN 2,3,4,5-F4PNN 2,3,6-F3PNN
作用を平均場近似で導入した。解析の結果、強磁性ダイマーモデルの方が低温まで実験値 を再現したことから、二量体内には強磁性相互作用が働いていることが分かった。
【-2,3,6-F3PNN】
結晶構造は2,3,5-F3PNNと2,3,5,6-F4PNN同様、b軸方向にNO基とフェニル基パラ位水 素原子との間に接近がみられ水素結合鎖を形成していた。その鎖間a軸方向に二量体構造 を形成し、2 種類の分子間接近が観測された。しかし、二量体構造の分子パッキングを比 較すると2,3,5-F3PNNと2,3,5,6-F4PNNがNO基とフェニル基による接近であったのに対し、
-2,3,6-F3PNNはNO基同士の接近が顕著に表れた(O···O 3.4 Å)。また、二量体間にもa軸 方向にNO基同士による3.9 Åの接近がみられた。その静磁化率の温度依存性は、温度低 下に伴ってpT 値の減少がみられ反強磁性的な挙動を示した。これをモデルによって解析 を行った結果、この二量体内におけるNO基同士の接近は2JAF/kB = 18.0 Kの反強磁性相 互作用が働いていることが分かった。またa軸方向に存在する二量体間のNO基同士の接
近にも2JAF/kB = 0.6 Kの弱い反強磁性相互作用が働いていると見積もられた。
【-2,3,6-F3PNN】
2,3,6-F3PNNは結晶作製条件を変えることで多形晶が得られた。結晶構造は空間群Pīに
属し、相とは異なり結晶学的に独立な分子が2分子存在した(分子A, B)。分子Aは隣接 する分子間でNO基同士の接近(O···O 3.1 Å)が観測され、二量体を形成していた。また、
分子Bは隣接分子間でNO基とフェニル基4位炭素原子との間に接近(O···C 3.2 Å)がみら れ、二量体を形成していたことから、結晶内で二種類の二量体構造を有していることが分
かった。0.5 Kにおける磁化の磁場依存性から1 T以上で磁化の値は一定値をとった。その
ときの磁化の値は飽和磁化の半分の値をとり、1/2 molが反強磁性的に結合していると考え た。また、pT 値の温度依存性は温度低下に伴い値は減少し、反強磁性的な挙動を示した が、途中4 K付近で停留的な挙動を示した。このときのpT値はS = 1/2が1 mol存在する ときの2/3の値をとった。磁化の磁場依存性からは、ブリルアン関数との比較の結果、1/2
molがS = 1種を形成していることが考えられた。これらの結果から1/2 molが反強磁性的
に結合してS = 0種を形成し、残りの1/2 molが強磁性的に結合してS = 1種を形成してい ることが示唆された。pT 値の温度依存性は強磁性ダイマーモデルと反強磁性孤立ダイマ ーモデルの和として解析を行った結果、実験値を良く再現した。それぞれの分子間接近と 磁気測定の結果から、分子Aには反強磁性相互作用2JAF/kB = 22.7 K、分子Bには強磁性
相互作用2JF/kB = 16.2 Kが働いていることが分かった。また、結晶構造から分子A二量体
間にも分子間接近が観測され、その磁気相互作用を反強磁性交互一次元鎖モデルと強磁性
反強磁性交互一次元鎖モデルを用いて比較検討した。
【2,3,4,5-F4PNN】
結晶構造は、空間群Paに属し、結晶学的に独立な2分子が存在した(分子A, B)。その分 子Aと分子Bの間には分子間接近が観測されなかった。分子AおよびBはそれぞれ映進 操作で関係づけられる分子間にNO基とニトロニルニトロキシドのO-N-C-N-O中心炭素原 子が接近した分子間配置がみられ(3.03.3 Å)、a軸方向に2種類の均一な一次元鎖が形成さ れていた。温度低下に伴いpT の値は単調に増加し、強磁性的な相互作用の存在が示され た。しかし、磁化曲線は2 K、5 Tにおいて飽和磁化に達しないため、反強磁性相互作用の 存在が示唆された。これは分子Aと分子Bで形成される一次元鎖内の一方に強磁性相互作 用が働き、他方に反強磁性相互作用が働くと推測した。この結果を基にpT 値の温度依存 性を強磁性一次元鎖モデルと反強磁性一次元鎖モデルの和として解析を行い、磁気相互作 用を見積もった。分子間接近と磁気測定から、分子Aによって形成される一次元鎖内には 強磁性相互作用2JF/kB = 9.5 K、分子Bによって形成される一次元鎖内には反強磁性相互作 用2JAF/kB = 7.7 Kが働いていると見積もった。
フッ素置換フェニルニトロニルニトロキシドの構造は 2,3,5-F3PNN、2,3,5,6-F4PNN およ
び-2,3,6-F3PNNにおいて、水素結合によるネットワークを形成し、その鎖間に二量体構造
を有していた。いずれも磁気測定の解析結果から磁気相互作用の主役は二量体内に存在し ていた。しかし、二量体内における原子間距離を考察すると-2,3,6-F3PNNのみNOラジカ ル同士の接近が顕著であり、反強磁性相互作用が支配していた。このようなNOラジカル 同士の接近は反強磁性相互作用がもたらされることが以前より報告されている。本研究で はその他のフッ素置換フェニルニトロニルニトロキシド化合物においても分子パッキング と磁気相互作用の関係を以前に報告されている例を基に、構造と磁性を調べ帰属すること に成功した。
3.2. 2,3,5-F
4PNN および 2,3,5,6-F
4PNN 結晶構造
2,3,5-F3PNNはジエチルエーテルとヘキサンの混合溶媒に溶かし、室温で一晩溶媒を蒸発
させて単結晶を得た。また、2,3,5,6-F4PNNは熱ジエチルエーテルから再結晶を行い、単結 晶を得た。単結晶を用いたX 線構造解析の結果から、2,3,5-F3PNNは晶系 Monoclinic、空 間群P21/c、格子定数a = 9.329(3) Å、b = 12.014(3) Å、c = 12.704(3) Å、Z = 4であった。ま た、2,3,5,6-F4PNNは晶系Monoclinic、空間群P21/c、格子定数a = 9.481(1) Å、b = 11.828(2) Å、c = 12.642(2) Å、Z = 4であった。2,3,5-F3PNNと2,3,5,6-F4PNNは同型晶として得られ、
そ れ ぞ れの 結 晶学 的 パ ラメ ー タの 詳 細を Table 2 に ま とめ た 。分 子 骨格 を みる と
2,3,5-F3PNN はフェニル基と NN ラジカル基のねじれ角が 42.43であった。一方、
2,3,5,6-F4PNNはこの分子内でのねじれ角が47.28であり、同型晶ではあるがフェニル基と
NN間のねじれ角は僅かに異なる。恐らく2,3,5-F3PNNはフェニル基6位水素原子とNN酸 素原子との間に静電引力が働き、分子内のねじれが抑制されたと考えられる。単位格子は
ORTEP図で示し、Fig. 19、20に表す。原子位置パラメータおよび温度因子をTable 3およ
び4にまとめた。
Fig. 18. (a) 2,3,5-F
3PNN 分子 (b)2,3,5,6-F
4PNN 分子
N N O
O
F F
F
42.43
N N O
O
F F
F F
47.28
(a) (b)
Table 2. 2,3,5-F
3PNN の結晶学的パラメータ
2,3,5-F3PNN 2,3,5,6-F4PNN Formula C13H14N2O2F3 C13H13N2O2F4
M. W. 287.26 305.09
Crystal system Monoclinic Monoclinic
Space Group P21/c P21/c
a, Å 9.329(3) 9.481(1)
b, Å 12.014(3) 11.828(2)
c, Å 12.704(3) 12.642(2)
, 107.770 108.522(2)
V, Å3 1356.05 1344.26
Z 4 4
D, g cm3 1.407 1.508
Temperature, K 296 100
Radiation Mo-K( = 0.71075) Mo-K( = 0.71070)
Total reflections measured 12834 9932
Unique reflections 3086 3010
Reflections used (| Fo|>2| Fo|) 2623 2479
R 0.0965 0.0360
Rw 0.2851 0.0881
Goodness of fit 1.091 1.088
[w(|F0|2|Fc|2)2] w = [|F0|2]1
Table 3. 2,3,5-F
3PNN の原子位置パラメータと温度因子
x y z Beq
O1 0.8566(3) 0.1858(2) 0.9606(2) 57(1)
N2 0.7997(2) 0.1428(2) 0.8653(2) 38(1)
C1 0.7537(3) 0.0366(2) 0.8440(2) 36(1)
N2 0.7064(2) 0.0198(2) 0.7345(2) 36(1)
O2 0.6498(3) 0.0679(2) 0.6845(2) 51(1)
C2 0.7483(3) 0.0463(2) 0.9269(2) 40(1)
C3 0.6965(3) 0.0170(2) 1.0151(2) 41(1)
C4 0.6856(4) 0.0978(3) 1.0892(2) 52(1)
C5 0.7214(4) 0.2071(3) 1.0799(3) 55(1)
C6 0.7738(4) 0.2338(2) 0.9922(3) 56(1)
C7 0.7887(3) 0.1555(2) 0.9174(2) 45(1)
C8 0.7601(3) 0.2103(2) 0.7604(2) 39(1)
C9 0.7486(3) 0.1162(2) 0.6741(2) 41(1)
C10 0.6085(4) 0.2659(3) 0.7507(3) 56(1)
C11 0.8793(4) 0.2972(3) 0.7664(3) 53(1)
(i)
(ii)
(iii)
(iv)
o b
Fig. 19. 2,3,5-F
3PNN の単位格子
(i) (x, y, z), (ii) (x, 1/2y, 1/2+z), (iii) (1x, 1y, 1z), (iv) (1x, 1/2+y, 1.5z)
O1 N1
C1 N2
O2
C2 C4 C3
C5 O6
C7
C8 O9
O10 O11 O13 O12 F2 F1
F3 H2
c
H1
C12 0.6286(5) 0.1326(3) 0.5635(3) 58(2)
C13 0.8982(4) 0.0860(3) 0.6575(3) 62(1)
F1 0.8455(3) 0.1872(2) 0.8395(2) 58(1)
F2 0.8122(3) 0.3395(2) 0.9795(2) 81(1)
F3 0.6339(3) 0.0680(2) 1.1735(2) 77(1)
H1 0.7110 0.2607 1.1299
H2 0.6695 0.0561 1.0238
Table 4. 2,3,5,6-F
4PNN の原子位置パラメータ
x y z Beq
O1 0.1322(1) 0.0648(1) 0.1832(1) 15(1)
N1 0.1996(1) 0.0225(1) 0.2340(1) 12(1)
C1 0.2519(1) 0.0372(1) 0.3451(1) 13(1)
N2 0.3034(1) 0.1436(1) 0.3687(1) 12(1)
O2 0.3698(1) 0.1834(1) 0.4657(1) 17(1)
Fig. 20. 2,3,5,6-F
4PNN の単位格子
(i) (x, 1+y, z), (ii) (1x, 1/2+y, 1/2z), (iii) (x, 1/2y, 1/2+z), (iv) (1x, y, 1z)
o
c
b
O1 N1
C1 N2 O2
C2 C4 C3
C5 C6
C7 F2 F1
F3 F4
C8 C9
C10 C11
C12 C13 H1
(i) (ii)
(iii) (iv)
C2 0.2498(1) 0.0494(1) 0.4268(1) 13(1)
C3 0.2969(1) 0.1594(1) 0.4173(1) 14(1)
C4 0.2859(1) 0.2427(1) 0.4908(1) 18(1)
C5 0.2315(1) 0.2200(1) 0.5777(1) 19(1)
C6 0.1886(1) 0.l105(1) 0.5892(1) 18(1)
C7 0.1953(1) 0.0271(1) 0.5147(1) 15(1)
C8 0.2418(1) 0.1208(1) 0.1744(1) 14(1)
C9 0.2600(1) 0.2149(1) 0.2641(1) 13(1)
C10 0.1214(1) 0.1411(1) 0.0645(1) 20(1)
C11 0.3883(1) 0.0883(1) 0.1557(1) 19(1)
C12 0.1135(1) 0.2728(1) 0.2587(1) 17(1)
C13 0.3796(1) 0.3018(1) 0.2696(1) 17(1)
F1 0.1410(1) 0.0758(1) 0.5245(1) 16(1)
F2 0.1341(1) 0.0837(1) 0.6722(1) 23(1)
F3 0.3297(1) 0.3480(1) 0.4762(1) 24(1)
F4 0.3555(1) 0.1852(1) 0.3371(1) 17(1)
H1 0.2239(1) 0.2777(1) 0.6279(1)
結晶構造内に存在する分子間接近を調べると、2 種類の分子間ラジカル接近が観測され た。まず、2,3,5-F3PNNおよび2,3,5,6-F4PNNはc軸方向にフェニル基パラ位水素原子とNO 基との間に水素結合がみられ、一次元鎖を形成していた。また、その鎖間には対称心で結 ばれる分子間にフェニル基オルト位炭素原子とNO基との間に接近が見られ、ここで二量 体を形成していた。
まず、観測された二量体構造はFig. 21、22に示し、2,3,5-F3PNNにおいてフェニル基オ ルト位炭素原子とNO基の間に2,3,5-F3PNNでは3.212 Å(O(i)···C(ii))、2,3,5,6-F4PNNは3.049 Å(O(i)···C(ii))の接近がみられた。2,3,5-F3PNNおよび2,3,5,6-F4PNNの二量体構造内におけ る原子間距離をTable 5にまとめた。図中点線の色はTable 5の色にそれぞれ対応している。
また、フェニル基パラ位水素原子とNO基との間に接近が存在し、形成される水素結合鎖 はFig. 23、24に示す。水素結合鎖における2,3,5-F3PNNの原子間距離は2.330 Å(O(i)···H(ii)) であった。また、その水素結合角は 156.11(O···HC)であった。一方、2,3,5,6-F4PNN に おける水素結合鎖の原子間距離は 2.262 Å(O(i)···H(ii))、水素結合角は 156.20(O···HC)
であった。
Table 5. 二量体内原子間距離
2,3,5-F3PNN 2,3,5,6-F4PNN
O1(i)···C2(ii) 3.900 Å 3.775 Å
O1(i)···C7(ii) 3.212 Å 3.049 Å
O1(i)···F1(ii) 3.139 Å 2.979 Å
O1(i)···C6(ii) 3.364 Å 3.211 Å
O1(i)···F2(ii) 3.480 Å 3.334 Å
O1(i)···C5(ii) 4.124 Å 4.012 Å
N1(i)···C2(ii) 4.395 Å 4.347 Å
N1(i)···C7(ii) 3.989 Å 3.899 Å
N1(i)···F1(ii) 4.214 Å 4.110 Å
N1(i)···C6(ii) 3.992 Å 3.909 Å
N1(i)···F2(ii) 4.276 Å 4.177 Å
N1(i)···C5(ii) 4.374 Å 4.336 Å
(i)
(ii)
Fig. 21. 2,3,5F
3PNN の二量体構造
原子間距離O(i)···C(ii) 3.212 Å
(i)
(ii)
Fig. 22. 2,3,5,6-F
4PNN の二量体構造
原子間距離O(i)···C(ii) 3.049 Å
2,3,5-F3PNNおよび2,3,5,6-F4PNNの2種類の分子間接近を含む結晶構造をFig. 25とFig.
26に示す。a軸方向から見た図はピンクで示す点線がO···H接触による水素結合に対応し、
ジグザグ一次元鎖を形成している。このジグザグ鎖はx = 1/4面とx = 3/4面に伸び、その 鎖間には対称心で結ばれる分子間で二量体を形成しているのがみてとれる。
(i)
(ii)
Fig. 23. 2,3,5-F
3PNN の水素結合によ る一次元鎖
O(i)···H(ii) 2.330 Å, O···HC 156.11
(i)
(ii)
Fig. 24. 2,3,5,6-F
4PNN の水素結合に よる一次元鎖
O(i)···H(ii)2.262 Å, O···HC 156.20
Fig. 26. 2,3,5,6-F
4PNN の結晶構造 (a 軸方向から見た図 )
赤: x = 3/4面に属する分子、青: x = 1/4面に属する分子 x = 3/4
x = 1/4
o b
c
二量体形成
一次元鎖
c o b
x = 1/4
x = 3/4
二量体形成
一次元鎖
Fig. 25. 2,3,5-F
3PNN の結晶構造(a 軸方向から見た図)
赤: x = 3/4面に属する分子、青: x = 1/4面に属する分子
2,3,5-F3PNNおよび2,3,5,6-F4PNNは結晶内に二量体構造を有するが、その二量体間にお けるラジカル間接近についてみる。二量体間にはフェニル基メタ位フッ素原子とNO基と の間に原子間距離4.596 Å(2,3,5-F3PNN)の接近が存在した(Fig. 27、Fig. 28)。しかし、二量 体内におけるNO基とフェニル基の接近距離と比べ、距離は大きくこのことからラジカル 接近は無視できると考えられる。
Fig. 27. 2,3,5-F
3PNN の結晶構造 ( 二量体層間 )
原子間距離O···F 4.596 Å
結晶構造におけるラジカル間接近を全て考慮し、その模式図を描いたものがFig. 29であ る。c軸方向の緑の点線で示されるものが水素結合によるジグザグ鎖、x = 1/4面とx = 3/4
Fig. 28. 2,3,5,6F
4PNN の結晶構造 ( 二量体層間 )
原子間距離O···F 4.685 Å o
a
c a
o c