第 4 章 若材齢・長期挙動による初期応力を考慮した高強度 RC 柱の短期挙動解析
4.4 数値解析手法の検証
4.4.4 初期応力導入の確認
4.4.4.1 フロー①の確認
図-4.19にフロー①に対するコンクリートの最大主応力コンター図を示す。図には,
若材齢および長期挙動解析におけるコンター図も併記した。段階-2解析終了時の応力 図-4.18 短期解析モデルの要素分割図,荷重条件および境界条件
X方向変位拘束
軸力
水平載荷
(変位制御)
水平載荷
(変位制御)
弾性体
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を初期応力として段階-3解析モデルへ移植すると応力分布に違いが見られる。これは,
段階-2においてコンクリートの引張強度を超えた領域が存在し,この応力場が引張側 構成則の軟化域にプロットされたものと推測される。
このことを確認するために,図-4.20にガウスの積分点におけるひずみ分布を示す。
図は,赤プロットが引張側構成則の軟化域にあることを示している。予想通り,長期解 析時に引張強度を超えていた要素は,初期応力を導入した短期挙動解析モデルにおいて ひび割れを伴っている。軟化域に入った要素は,引張応力が解放されることで応力低下 を生じる。周辺要素はこの影響を受けて引張応力を低下させながら力の釣り合いを保ち つつ,要素内で一様に応力が分布する傾向に変化したものと考えられる。その結果,高 さ中央部分において約5.6~6.3[N/mm2]の引張主応力が分布していることが分かった。
図-4.19 検証フロー①に対する初期応力導入結果(コンクリートの最大主応力分布図)
図-4.20 ガウスの積分点におけるひずみ分布図
青点:引張強度時のひずみ以下 赤点:軟化域にあるひずみ
Phase-2解析の実行
【段階-1】
若材齢解析終了時の 最大主応力コンター
初期応力の移植
弾性体 弾性体 弾性体 弾塑性体
初期応力の移植
【段階-2】
長期解析モデルへ 段階-1の最終応力状態を移植した
最大主応力コンター
【段階-2】
長期解析終了時の 最大主応力コンター
【段階-3】
短期解析モデルへ 段階-2の最終応力状態を移植した
最大主応力コンター
[N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2]
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図-4.21にフロー①に対する鉄筋応力のコンター図を示す。コンクリートの引張強 度に達した要素の引張応力が低下したのと同様の傾向が見受けられ,長期から短期へ移 行した際には累積している圧縮応力が低減されている。コンター図の閾値は弾性範囲で あるから,この低下はコンクリートの引張応力が低下したことに起因していると考えら れる。低下度合は,大きくないことから連続性は概ね保たれていたものと考えられる。
主筋には約205[N/mm2]の圧縮応力が最大で生じていることが分かった。軸力が除荷さ れた状況下で累積された圧縮応力(つまり,若材齢および長期により蓄積された圧縮応 力)は,一軸圧縮降伏強度(720.2[N/mm2])の約1/3.5であった。
段階-3における応力-ひずみ状態が,妥当な結果なのかどうかについては現段階で は検証できない。確認する方法はいくつか考えられる。一つの可能性は,時間依存解析 におけるひび割れの発生・進展などをモデル化することで得られる段階-2の応力およ びひずみ状態を本手法により得られた段階-3の初期応力移植状態と比較する方法であ る。しかし,この検証は,本論文では考慮しておらず,議論を行うことはできない。し たがって,本研究における初期応力移植手法の妥当性の検証は,プッシュオーバー解析 の結果と短期の水平載荷実験から得られるせん断力-部材角関係との比較を通じて行 うものとする。
図-4.21 検証フロー①に対する初期応力導入結果
(鉄筋の局所座標系における圧縮応力分布図)
Phase-2解析の実行
【段階-1】
若材齢解析終了時の 最大主応力コンター
初期応力の移植
弾性体 弾性体 弾性体 弾塑性体
初期応力の移植
【段階-2】
長期解析モデルへ 段階-1の最終応力状態を移植した
最大主応力コンター
【段階-2】
長期解析終了時の 最大主応力コンター
【段階-3】
短期解析モデルへ 段階-2の最終応力状態を移植した
最大主応力コンター
[N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2]
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