第 3 章 時間依存解析モデルの定式化と検証
3.2 若材齢挙動のモデル化
3.2.4 応力・クリープ解析フローと有限要素定式化
3.2.4.4 応力・クリープ解析における 求解法
第3章 時間依存解析モデルの定式化と検証
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ここで,𝑞, 𝑑, 𝑝は材料定数,𝜏−𝑑は荷重の作用時間に関する係数,(𝑡 − 𝜏)𝑝はクリープ期 間に関する関数である。𝑔(𝑡 − 𝜏) = (𝑡 − 𝜏)𝑝とおいて,𝑔(𝑡 − 𝜏)を 𝑡 − 𝜏 = 𝑡𝑑(展開点)
まわりにTaylor展開して整理すると次式を得る。
𝑔(𝑡 − 𝜏) = ∑
𝑁𝑟=0ℎ
𝑟(𝑡, 𝑡
𝑑)𝜏
𝑟 (3.2.48)ここで,NはTaylor展開で使われる級数の数(本論文ではN = 5とする。),ℎ𝑟はべき数 𝑝に依存する(𝑡 − 𝑡𝑑)の関数である。式(3.2.46)右辺の第二項を{𝜎̃(𝑡)}と置き,式(3.2.48) を代入して整理すると次式が得られる。
{𝜎̃(𝑡)} = −𝐸̃(𝑡
∗)𝑞 ∑
5𝑟=0(ℎ
𝑟(𝑡 + ∆𝑡, 𝑡
𝑑) − ℎ
𝑟(𝑡, 𝑡
𝑑))𝜀̃
𝑟(𝑡)
(3.2.49)ただし,
𝜀̃
𝑟(𝑡) = ∫
0𝑡𝐸(𝜏)1𝜏
𝑟−𝑑𝜎̇(𝜏)𝑑𝜏
(3.2.50)ここで,𝜀̃𝑟項は解析時の総和により次式のように近似される。
𝜀̃
𝑟(𝑡 + ∆𝑡) = 𝜀̃
𝑟(𝑡) + ∫ 1
𝐸(𝜏) 𝜏
𝑟−𝑑𝜎̇(𝜏)𝑑𝜏
𝑡+∆𝑡
𝑡
≈ 𝜀̃
𝑟(𝑡) + (
𝐸(𝑡∆𝜎∗)∆𝑡) (
(𝑡+∆𝑡)𝑟−𝑑+1𝑟−𝑑+1−𝑡𝑟−𝑑+1)
(3.2.51)式(3.2.49)は,積分区間に実時間が現れないので,各材料点の全荷重履歴の保存を要 せず,N = 5までの近似解を保存するのみである。また,時間ステップが増しても計算 時間が長くならない特徴も有しており,計算量の節減を図ることが可能となる。
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𝑓𝑖𝑛𝑡(𝑢, ℎ𝑖𝑠𝑡𝑜𝑟𝑦) = 𝑓𝑒𝑥𝑡(𝑢) (3.2.52) ここで,𝑓𝑖𝑛𝑡は内力ベクトル,𝑓𝑒𝑥𝑡は外力ベクトルであり,変位の関数として表現される。
ここでは次式に示す時間に関する離散化を考える。
𝑡+∆𝑡𝑢= 𝑢𝑡 + ∆u (3.2.53) 時間的離散化においては,時刻𝑡における近似解𝑡𝑢から始まり時間増分∆𝑡に対する増 分∆uを考えて,式 (3.2.53)が成立する𝑡+∆𝑡𝑢を探し求める。説明を簡便にするため,ここ では荷重制御の場合について考える。増分内における釣合方程式は∆uのみに依存すると すれば,式(3.2.52)を用いて不釣合力ベクトルg(∆𝑢)は次式のように定義される。
g(∆𝑢) = 𝑓𝑒𝑥𝑡(∆𝑢) − 𝑓𝑖𝑛𝑡(∆𝑢) (3.2.54) 図-3.12 に反復フローを示す。種々の反復手法において,全変位増分∆𝑢は,所定の 許容値の範囲内で釣合いに達するまで,反復増分𝛿𝑢を用いて反復的に適合させる。ここ で,反復𝑖 + 1における増分変位は次式となる。
∆𝑢
𝑖+1= ∆𝑢
𝑖+ 𝛿𝑢
𝑖+1 (3.2.55)反復増分𝛿𝑢は,剛性マトリクスKを用いて次式の線形関係から計算される。
𝛿𝑢
𝑖= 𝐾
𝑖−1g
𝑖 (3.2.56)ここで,g𝑖は反復 𝑖 の開始時における不釣合力ベクトルである。種々の反復手法は,𝛿𝑢 を決定する過程に違いが見受けられ,本節では図-3.13 に示す「初期剛性法」を採用 する。この手法は,収束速度がやや遅いデメリットを有しているが,剛性マトリクスの 対称性を維持できることから,解の安定性を期待できるメリットがある。
以上,外力ベクトル𝑓𝑒𝑥𝑡を直接増分することにより,増分開始時に外部荷重が増加す る反復過程について説明した。これは一般的に「荷重制御」と呼ばれる(図-3.14a)。
外部荷重を構造物に作用する別の方法はある変位𝑢を規定する方法である。これは「変 位制御」と呼ばれている(図-3.14b)。変位制御の場合、外力ベクトルは直接増分され ないため,適当な変位予測値を得るために規定変位が外力ベクトルに組み込まれなけれ ばならない。
第3章 時間依存解析モデルの定式化と検証
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応力・クリープ解析は,時間増分内において自由ひずみ増分が規定される「変位制御」
と見なすことができることから,式(3.2.56)を次式のように書き直す。
図-3.12 反復計算フロー[3.23]
図-3.13 初期剛性反復法[3.23]
図-3.14 荷重制御と変位制御[3.23]
増分開始
外力fextの増加
△u = 0
“不釣合い力”の計算
g= fext–fint,1 予想変位δuの更新
△ui+1= △ui+ δui+1
新たな内力fintの決定
反復終了?
増分終了 yes no
tfext
fint,1 t+Δtfext
f
g1
δu1
Δu1
Δu0
u
f
u
t1fext t2fext t3fext
(a) 荷重制御
u f
t4uc
t3uc
t2uc
t1uc
(b) 変位制御
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[𝐾
𝑢𝑢𝐾
𝑢𝑐𝐾
𝑐𝑢𝐾
𝑐𝑐] {∆𝑢
𝑢∆𝑢
𝑐} = { g
𝑢g
𝑐}
(3.2.57)ここで,∆𝑢は増分変位ベクトル,𝐾は剛性マトリクス,gは不釣り合い力であり,上添 え字𝑢は無拘束,上添え字𝑐は拘束状態を表している。これにより,未知変位増分∆𝑢𝑢は 次式のように計算される。
∆𝑢
0𝑢= (𝐾
𝑢𝑢)
−1{−𝐾
𝑢𝑐∆𝑢
𝑐+ ∆g
𝑢}
(3.2.58)ここで,荷重増分を考えた式(3.2.56)と比較すると,−𝐾𝑢𝑐∆𝑢𝑐は規定した変位と等価な 力のベクトルとして扱うことができる。以上のような定式化により,変位増分において も釣合を逐次計算することで近似解を求めることが可能となる。なお,本論文では,エ ネルギーノルムに基づく収束判定を行っている。
3.2.5 提案手法の検証