第 3 章 時間依存解析モデルの定式化と検証
3.3 長期挙動のモデル化
3.3.4 軸力によるクリープモデルの検証
硬化コンクリートのモデル化を検証するために,佐々木らの実験を解析対象とした
[3.31]。表-3.10に鉄筋および材齢 28 日おけるコンクリートの材料特性,図-3.40 に試験体の概要を示す。試験体寸法は実大寸法の約1/3~1/4であり,材齢28日の圧縮
強度が150[MPa]の超高強度コンクリートを用いたRC造柱 (DHNO.2およびCHNO.2)
を解析対象試験体とした。
実験では,コンクリート打設後7日間は湿布とシートにより養生され,材齢8日目に 型枠が脱型された後,実験室に放置された。長期軸力載荷は材齢28日目より開始され,
軸力比0.3(4050kN)を保つように約1400日間制御された。試験体内部に埋設した埋込型
ひずみ計および鉄筋各所に貼付したひずみゲージよりひずみ度が計測されている。また,
熱電対により試験体内の温度も計測されている。変位は,柱試験区間内表面に埋設した ボルト間の相対変位を変位計により測定され,これを測定区間内長さで除して平均ひず みとしている。クリープひずみは,載荷試験体の測定値から無載荷試験体の平均ひずみ を差し引いており,室内の温度変化による影響が無視されている。
図-3.39 要素解析結果
500 1000
0 300 600 900 1200
クリープひずみ[μ]
コンクリート材齢[日]
軸力載荷時のコンクリート材齢28日目
CEB model code
CASE-1(ユニット数3) CASE-2(ユニット数5)
CASE-3(ユニット数10)
第3章 時間依存解析モデルの定式化と検証
- 71 - (2)解析モデルの概要
図-3.41に有限要素分割図を示す。コンクリート要素には,8節点ソリッド要素を用 いた。鉄筋はトラス要素とし,完全付着を仮定している。試験体のスタブは剛体とした。
また,材齢28日目に定軸力(4050kN)を試験体上部に作用する。境界条件は,スタブ下 面を完全拘束とした。また,スタブ上面は,クリープ解析時に面外および面内水平方向 の自由度を拘束した。ここでも求解法として初期剛性法を採用し,エネルギーノルム比 による収束判定を行っている。鉄筋は降伏点,弾性係数および降伏ひずみ度を考慮した 弾塑性体を仮定した。解析では,𝑅𝐻=60[%]を仮定した。また,材齢28日の圧縮強度,
ヤング係数およびポアソン比は実験値を使用している。
表-3.10 材齢 28 日におけるコンクリートおよび鉄筋の材料特性[3.30]
材齢[日]
圧縮強度[N/mm2]
ヤング係数[×104N/mm2] 圧縮強度時ひずみ[μ]
割裂引張強度[N/mm2] ポアソン比[-]
28 150.7
4.34 3713
7.33 0.201 コンクリート
鉄筋種類 降伏点[N/mm2]
ヤング係数[×105N/mm2] 降伏ひずみ度[μ]
引張強さ[N/mm2] 伸び[%]
D13 720.2
1.91 3777 931.2 9.6
D16 739.7
1.99 3716 931.2 11.9
U6.4 1374.0
2.10 6540 1431.0
10.7 鉄筋
図-3.40 解析対象試験体概要[3.30]
CHNO.2 定軸力 (4050kN)
変位計 解析対象
300 試験体
300
300
6347 U6.4
U6.4@50ダブル 8-D13 8-D16
40476340
CHNO.2 断面 載荷軸力 軸力比 主筋比 横補強筋比
300×300 [mm]
4050 [kN]
0.3 [-]
2.9 [%]
1.2 [%]
第3章 時間依存解析モデルの定式化と検証
- 72 - (3)解析結果
図-3.42にクリープひずみの解析結果を示す。実験では,ひずみの評価を有効材齢 に基づき評価しているが,算出に必要な実験室内の温度履歴が不明であることから直接 的な比較は行わず実材齢と対応さている。解析結果は,計測位置による違いを模擬でき ていないが,実験終了時に生じたひずみの値は,実験値と良い対応を示しており,解析 モデルは概ね妥当と判断される。
図-3.42 クリープ解析結果
500 1000 1500
0 200 400 600 800 1000
クリープひずみ[μ]
実材齢[日]
解析結果(変位計)
実験値(ひずみ計)
実験値(変位計)
解析結果(ひずみ計)
図-3.41 有限要素分割図 弾性体
全方向拘束 XおよびY方向の 定軸力
並進方向固定
X Y Z