第
3 章 東京都心部 における トンネル湧水圭調査
3. 1
研究概要3. 1. 1
研究 目的近年、東京都心の急速な都市開発か ら道路や地下鉄等の地下構造物が建築 され、それ ら か ら染み出 した地下水の漏洩水が人工湧水 として確認 される事例が多 い。 しか し、そのほ
とん どが下水道施設に直接流され汚水 として処理 してお り、都市での環境利用の可能性 は 十分 に調査 されていない。
そ こで本研究では、人工湧水のなかで も トンネル湧水の現状調査 を行 い、都心
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区内の 発生地点を確認 し、また、その トンネル湧水の成分、流量等の比較分析 を行 い、都市環境 用水 としての利用可能性 を検証す る。3. 1. 2
研究背景わが国では、高度経済成長期の過程で地下水採取量が急激 に増加 したため、 日本各地で 地下水障害の一つである地盤沈下が発生 した。国及び東京都では、地下水保全を行 い、地 盤沈下 を起 こさぬよう、工業用水法、 ピル用水法、及び環境確保条例 を制定 し、地下水揚 水 に関す る取 り締 まりを繰 り返 し強化 した (図表
3‑ 1)
0図表
3・ 1
都心5
区の地下水揚水 に関す る法及び条例の経過年 月 工 業用 水法 ピル用 水 法 都 負 例
そ の 他 1965 7 ビル用 水 法による10区 の
強 制転 換
1970 ll 都 公害 防止 条例 改 正(置 、 量 水拳 設 揚 水量 報 告 の義務 付 け)
1972 4 都 公 害 防止 条例
の規 制地域 指 定 及び構 造 基 準設 定
1973
9 工 業用水 法による江 東区 の 強 制 転 換 197
4 5 ビル用 水 法 による23区 の強 制 転換完 了 1975
4 地 下水使 用 合 理化 要請/ 日以上事 業所 ) (1(カOm3
1978 ll 地 下 水使 用 合 理化 要請(500m
3/ 法 条例 規 制対象 外 井 戸 の設 日以 上事 業所
) 香 .使 用 指導 指 針制定 1980 3 工 業用 水 法による8区の 強
制 転 換完 了
1981 3 地 下 水使 用 合 理化 要Z+(
250m3/
日以 上事 業所)
1983 12 地 下構 築 物 への濃 えい地 下水 の取 扱 指導 指 針制 定
2001 4 健 康 と安全を確 保公害 防止 条例 あらため、「する環境に都 民 の
第
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章 東京都心部における トンネル湧水量調査東京都下水道局にヒア リング調査 を行った際に分かった ことを以下に述べる。
地盤沈下の現況 について地盤沈下は沈静化傾向にあるが、都内の多 くの地域 において、
わずかなが ら、地盤沈下が観測 されているとの ことだった。現状では確かに、地盤は上昇 傾向にあるが現行の地下水汲み上げ規制を緩和すれば、地盤沈下が再発するおそれがある。
そのため、地盤沈下を再発 させな いよ う今後 も、地盤沈下 と地下水位の監視 を継続す る と 話 した い。具体的な対策 として以下の
2
点を挙げていた。・地下水の汲み上げ規制を継続 し、汲み上げ量を現状程度 に維持すること
・5
年後 を目途 に、再度,地盤沈下 と地下水の状況を検証 し、評価 を行 うこと地盤沈下の最 も注意 しなければな らない点 として、一度落ちて しまった地盤はもう
2度
と戻 らな いということだ ということだった。また、図表
3‑ 2
を見 ると、1960
年代 においていずれの地域 も大きく地盤が沈下 して しま っていることが分かる。その主な原因は、江東区で水溶性天然 ガスの採取 に伴 う大量の地 下水の汲上げを行った ことにあるということ。現夜、江東区では30m
水位が上昇 した もの の、地盤が戻ることはなかった。地盤沈下は、下がって しまった水位が上昇す ることがあって も地盤が もとの状況 に戻 る ことがないoそのため地盤沈下は一度起 こって しまうと取 り返 しのつかない水公害 といえ よう。
地下水量、地盤への影響度 を把握する上では、その地域の地下水が不圧地下水 として賦 存す るのか,被圧地下水 として賦存するのか という点が重要である。常時地表水が浸透す る不圧地下水 に対 し、被圧地下水の場合はその採取 による水位の低下 に伴 い上下の粘土層 か ら絞 り出され る水あるいは不圧地下水か らの漏水で水量が維持 され るため、被圧地下水 か らの汲み上げは、よ り水質のよい地下水を得 るかわ りに、地盤沈下 を引き起 こす主な原 因にな りやす いO
地下水揚水 に関する法及び条例が整備 された ことで、現在では、1
960
年代 に比べると地 下水位は20m上昇 し、近年においても東京区部全体の地下水観測井で地下水位の上昇が確
認された (図表3‑2)0しか し、 この地下水上昇によって新たな問題が生 じた。東京都では急激な地下水位上昇 の影響 によ り、低下 して いた頃の地下水位 を基準 として計画 ・設計された人工構造物の中
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第
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章 東京都心部における トンネル湧水量調査に地下部分が冠水 して しまうものがでてきた。顛著な例 として, JR東京駅、上野駅では 地下水の揚圧力による躯体の浮き上が りが予想 され、カウンターウェイ ト載荷 による対策 な どが施工されている。
近年の地下構造物にお いては、地下水の漏洩が起 こらないような工法を採用 し、 トンネ ル湧水の湧出を防いでいるが、依然 として古い劣化 した構造物からは、比較的 トンネル湧 水は出やす い傾向にある。 こうした ことか ら,東京都では、 JR東京駅、上野駅以外の ト
ンネル内において も トンネル湧水が発生していると考えられ る。
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第 3章 東京都心部 における トンネル湧水量調査
本来、 トンネル湧水は、下水道法 (昭和 33年法律 79号) によ り汚水 として取 り扱われ るため、通常 はそのまま他の汚水 と同様 に、下水道 に流 され処理が行われている。
しか し、 「下水道法第
1 0
条 第一項」
よ り、近年の都市の発展 による環境悪化等 に対す る改善のために、河川、湖、海等 の公共水域の管理者か ら、特 に活用要請があれ ば、 トン ネル湧水の水量、水質等の条件 を満たす ことで、環境利用の特別許可 を得 る ことができ、環境 に資する用水 として活用す る ことが可能である。
ところが、現状で都市おいて環境用水 として利用が検討 されてお らず、その要因 として、
トンネル湧水 を体 系的に把握 して いる機 関がな いこと、また、過去 に トンネル湧水の実態 調査 を行 った研究がされていな いことにある。
そのため、本研 究で、 トンネル湧水の利用分析 を考 えるために、 トンネル湧水の発生地 点、水量,水質 ともに把握 し、 これ らの現状調査行 う必要がある。
◆水源特徴 と利用用途の関係
既存 の文献 に既 に水源 と利用用途 につ いての特徴 をまとめた ものがあるため、 ここで紹 介す る。図 3‑4に湧水の種類 ごとの特徴 を示 し、図表 3‑5に湧水の利用方法 ごとの特徴 を示 す。
図表
31 3
各湧水 の特徴 2)自然湧水 湧水量 あまり期待できない
○ 湧水量の変動 季節、降雨によ り影響を受
ける○
水質 安定
している○
継続性 継続性期待できる0時
として滑れる○
水源地点 山間部、丘陵
地付近などに多い○
人工湧水 湧
水量 多い施設もある○
湧水量の変動水 少ない○
質 水質安定o鉄分多いと変色o 継続性 地下施設存続中は活用が期待できる○
水源地点 地下施設に限定される○
工事排水
湧水量 地下水位の高い所は多 くな りがちo 湧水量の変動 大きい○断続的な揚水 もあ
るo 水質 工事初期濁水が見 られるが、以
後安定○
継続性
工事期間内の一時的利用に限 られる○
水源地点 工事現場内o
各湧水 には以上
のよ うな特徴があ り、利用を検 討す る際 これ らに留意す る必要がある。
特 に トンネル湧水の含 まれ
第
3
章 東京都心部 における トンネル湧水量調査わかる。
詳 しく考察す る と、人工湧水 を利用す る際、地下施設の周辺域 に限定すれ ば湧水量、変 動、水質 ともにあ らゆる用途 に利用ができそ うな特色 を持 って いる。特 に都市部 にお いて は各地 に路線内ポ ンプ所が多 く存在するので、利用は検 討 しやす い。下水道 か ら河川へ導 水 を切 り替えたな らば、下水処理エネルギーの削減、環境への寄与等大き く貞献できる水 源へ と変わるだ ろう。
自然湧水 については、湧水量、変動か ら評価す るな らば、大規模な利用は不可能 と思わ れ る。 しか し、水源地点は広 く点在 し (都内に
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ヶ所 :東京都の湧水マ ップ)、その利 用が少量で可能な らば、水質は安定 して いるので様々な ことに利用可能 と考え られ る。最後 に工事排水 につ いては、湧水量、変動、水質 をみると多 くの利用は若干難 しい と思 われ る。水質は以後安定 とあるが、用途 にもよるが下水処理は必要ではな いか と思われ る。
そ して、継続性、水源 を見て も時間、地理的にも制限を持 っている。
図表 3・4 沸水 の利用法
項 目 l 特
徴 水量 :施設により
異なるo 親水用水等 せせらぎ
ビオトープ用水 水質 :人が直接触れるため、良好
な水質が求められる。
※ 都市部、
集落での需要が多い.
水量 :規模によ
り異なる○学校、公園○
水
質 :人が触れる可能性有り○
散水用水 樹木.芝に散水、打ち水 水i :少
量○ただし、定期的な実施が必要o 水質 :衛生上問題なければ利用可能○
※ ヒートアイランド対策にも利用可能○
粉塵対策用水 水量 :少量.ただし、定期的な
実施が必要○
水質 :衛生上
問題なければ利用可能o 浄化用水 水量:水質:大童に必要o良好
であれーまど効果的○
景親用水 水
量:少量o噴水、水モニュメントo 水質:衛生上問題t註けれぱ利
この様 に水源 用可能○