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第 4 章 SET パルス発生率の測定とソフトエラー率の推定 38

4.2 SET パルス発生率の測定

4.2.2 測定回路の較正

ここで,本測定で行った測定回路の較正について説明する.スナップショット回路の

∆T とTb は,テストチップ上に別途実装した較正用の回路(図 4.1)を用いて決定した.

較正回路は,測定対象論理素子の代わりに,一定の幅のパルスを発生する基準パルス発生 回路を実装したものである.較正の原理は,あらかじめ幅の分かっている数種類の基準パ ルスを基準パルス発生回路からスナップショット回路に入力し,‘1’を取得したD-FFの 数NF F をプロットする.基準パルスの幅TREF とNF F の関係をプロットしたグラフに 対して最小二乗法で近似直線を求め,直線の傾きから ∆T,切片からTb を計算する.基 準パルスのパルス幅は0.3 ns,0.5 ns,0.7 ns,1.0 nsの4種類である.ただし,実際の 試験時には0.3 nsの基準パルスが取得できる場合と,取得できない場合があったため,全 ての測定において0.5 ns,0.7 ns,1.0 nsの3種類のパルスで上記の較正を行った.

スナップショット回路の較正が必要な理由として,トータルドーズ効果が挙げられる.

トータルドーズ効果とは,重イオンの入射によってゲート SOI基板間の酸化膜に固定電 荷が生成され,その固定電荷によってトランジスタの閾電圧が変わったり,リーク電流が 増加する現象である.このトータルドーズ効果によって,スナップショット回路を構成す るトランジスタの特性が変わるため,SETパルス幅と D-FFで取得される‘1’の数が変 わることが報告されている [16, 17].そのため,較正は照射試験前(図 4.1中Before)後 (図 4.1中After)で行い,両較正結果の近似直線を求め∆T,切片からTb を計算してい る.図4.2にある照射前後での較正の例を示す.実線は照射試験前(図 4.2中Before)後

(図 4.2中After)で較正を行い,両較正結果を用いて求めた近似直線である.この測定で

の∆T,Tb は,∆T が0.109 ns,Tb が2.073 nsである.照射試験後に行った較正におい

て1.0 nsの基準パルスに対応する‘1’の数が,照射試験前に行った較正より大きくなっ

ている.このように,照射前においてD-FFで取得される‘1’の数が変わる.しかし,図 4.2からわかる通りSETパルス幅とD-FFで取得される‘1’の数の変動は,図4.2中の点 線が示す通り± FF1段以内に収まる.そのため,トータルドーズ効果による,本較正例 における測定回路の測定誤差は最大で± FF1段,つまり∆T(0.109 ns)であると言える.

䐟 Generate Reference Pulse 䐠 Expand Pulse 䐡 Capture Reference Pulse Reference

Pulse Generator

TREF= 0.3 ns

TREF

Broadening Buffer

1

0 1 1 1 0 0

TREF+Tb

NFF

TREF+Tb

+Tb

0.5 ns

0.3 0.5 0.7 1.0 1.0 ns

0.7 ns

Voltage

Time

Voltage

Time

0 10 20 30 40 50 60

Input Pulse Width: TREF (ns) Number ‘1’s in FFs: NFF

DT

TREF+Tb

NFF = ∆T

Tb

∆T

∆T 1 1

DT DT DT DT DT DT

Fit

Before

After

4.1 基準パルス発生回路を用いた較正回路と較正の方法.基準パルス発生回路から あらかじめ幅の分かっている基準パルスをスナップショットに入力する.入力パルス TREF ‘1’を取得したD-FFの数(NF F)の関係から∆T Tbを計算する.

0 10 20 30 40 50 60

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

Numuber ‘1’s in FFs: NFF

Input Pulse Width: TREF (ns) Before

After

NFF

=

TREF + 2.073

0.109

±1 Flip-Flop

4.2 トータルドーズ効果によるSETパルス幅とD-FFで取得される‘1’ の数の照 射前後での変動は,点線が示す通り± FF1段以内に収まる.本測定回路の誤差は最大 ±FF1段,つまり∆T(0.109 ns)であると言える.