(2) 消費者間のインタラクションによる経験価値への影響
消費者間のインタラクションから感覚的経験価値、感情的経験価値、認知的経験価値、行動的経 験価値への標準化係数の推定値は、それぞれ
0.255、0.375、0.483、0.473
となっているため、H2a、H2b
、H2c
、H2d
は全部予想通りに支持され、消費者間のインタラクションは経験価値にプラスの影 響を及ぼすという結論を出すことができた。また、消費者間のインタラクションによる認知的経験 価値、行動的経験価値への影響は特に大きいことも分かった。(3) 経験価値による顧客満足度への影響
感覚的経験価値、感情的経験価値、行動的経験価値から顧客満足度へ標準化係数の推定値は、そ
れぞれ
0.260、0.134、0.309
となっており、H3a、H3b、H3dは予想通りに支持された。しかしながら、認知的経験価値から顧客満足度へ標準化係数の推定値は、-0.081 というマイナスの値となって いるため、
H3c
は棄却されることになる。(4) 経験価値によるロイヤルティへの影響
表
4-11
によれば、感覚的、感情的、認知的及び行動的という4
つのタイプの経験価値からブラン ド・ロイヤルティへ標準化係数の推定値は、それぞれ0.032、0.005、-0.046、0.072
となっているた め、H4a
、H34b
、H4c
、H4d
はいずれも支持されなかった。それゆえに、仮説4
「経験価値は、ロイヤ ルティにプラスの影響を及ぼす」は棄却された。(5) 顧客満足度によるロイヤルティへの影響
最後に、顧客満足度からブランド・ロイヤルティへ標準化係数の推定値は
0.974
となっており、仮説
5「顧客満足度は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす」は予想通りに支持された。
表 4-12 仮説の検証結果
仮説一覧 検証結果
H1:企業と消費者との間のインタラクションは、経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H1a:企業と消費者との間のインタラクションは、感覚的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H1b:企業と消費者との間のインタラクションは、感情的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H1c:企業と消費者との間のインタラクションは、認知的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H1d:企業と消費者との間のインタラクションは、行動的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
一部支持 支持 支持 棄却 支持 H2:消費者間のインタラクションは、経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H2a:消費者間のインタラクションは、感覚的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H2b:消費者間のインタラクションは、感情的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H2c:消費者間のインタラクションは、認知的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
H2d:消費者間のインタラクションは、行動的経験価値にプラスの影響を及ぼす。
全部支持 支持 支持 支持 支持 H3:経験価値は、顧客満足度にプラスの影響を及ぼす。
H3a:感覚的経験価値は、顧客満足度にプラスの影響を及ぼす。
H3b:感情的経験価値は、顧客満足度にプラスの影響を及ぼす。
H3c:認知的経験価値は、顧客満足度にプラスの影響を及ぼす。
H3d:行動的経験価値は、顧客満足度にプラスの影響を及ぼす。
一部支持 支持 支持 棄却 支持 H4:経験価値は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。
H4a:感覚的経験価値は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。
H4b:感情的経験価値は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。
H4c:認知的経験価値は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。
H4d:行動的経験価値は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。
全部棄却 棄却 棄却 棄却 棄却
H5:顧客満足度は、ロイヤルティにプラスの影響を及ぼす。 支持
出典:筆者作成
表
4-12
に示されているように、顧客の経験価値はロイヤルティを規定することが検証されなかっ た。本調査の結果に基づいてみれば、顧客の経験価値が顧客満足度を経由してロイヤルティに影響 を及ぼすということになる。そのため、第三章の第一節で提示された分析モデル(図3-2
参照、p.95)
を次のように修正する必要がある(図
4-6
参照)。図 4-6 修正後実証モデル
* 実線は支持、破線は棄却を表す
出典:筆者作成
第五章 結び
第四章「本調査」では、共分散構造分析により仮説モデルの検証を行った。本章では、第四章の 検証結果を踏まえ、本論文の研究結果について改めて考察する。それから、本論文による価値共創 の理論的研究への貢献と実務へのインプリケーションについて検討する。最後に、本研究の限界を 提示し、今後の研究方向と課題を示す。