して、感覚的経験価値以外、すべての因子の平均分散抽出は基準の
0.5
を上回り、統計的に十分な水準 を満たしたと言えよう。最後に、因子間の相関係数と平均分散抽出の平方根を比較し、弁別的妥当 性を検討した(表4-10
参照)。表4-10
において、対角線に書いてある数値(太字+斜体表示)は各 因子の平均分散抽出の平方根であり、対角線の下部にある数値は因子間の相関係数である。平均分 散抽出の平方根は、ほとんどの因子間相関係数を上回っているため、弁別妥当性は担保されている と判断した。以上の内容をまとめてみれば、信頼性分析、探索的因子分析及び確認的因子分析を通して分析し た結果、本調査で使用される測定尺度は十分な信頼性と妥当性を備えているため、仮説の検証段階 に進んでも良いと判断した。
表 4-10 潜在変数の弁別的妥当性
企業—消費者間の インタラクション
消費者間の インタラクション
感覚的経験価値 感情的経験価値 認知的経験価値 行動的経験価値 顧客満足度 ロイヤルティ
企業—消費者間のイ ンタラクション
0.750
消費者間の インタラクション
0.228** 0.807
感覚的経験価値 0.302** 0.189** 0.681
感情的経験価値 0.111* 0.241** 0.402** 0.722
認知的経験価値 0.106* 0.366** 0.399** 0.558** 0.767
行動的経験価値 0.158* 0.286** 0.447** 0.429** 0.496** 0.714
顧客満足度 0.399** 0.315** 0.318** 0.242** 0.187** 0.288** 0.842
ロイヤルティ 0.397** 0.301** 0.335** 0.259** 0.203** 0.321** 0.850** 0.857
* 上記のデータは小数点第 4 位を四捨五入して記載
* **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。 *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
出典:筆者作成
図 4-5 モデル全体のパス図
出典:筆者作成
表 4-11 パス図の推定値
因果関係 標準化パス係数 標準誤差
企業—消費者間の インタラクション
↓ 顧客の経験価値
企業—消費者間のインタラクション
→ 感覚的経験価値
0.433 0.086
企業—消費者間のインタラクション
→ 感情的経験価値 0.134 0.089 企業—消費者間のインタラクション
→ 認知的経験価値
0.073 0.064
企業—消費者間のインタラクション
→ 行動的経験価値 0.259 0.103
消費者間の インタラクション
↓ 顧客の経験価値
消費者間のインタラクション
→ 感覚的経験価値
0.255 0.053
消費者間のインタラクション
→ 感情的経験価値
0.375 0.066
消費者間のインタラクション
→ 認知的経験価値
0.483 0.056
消費者間のインタラクション
→ 行動的経験価値
0.473 0.080
顧客の経験価値
↓ 顧客満足度
感覚的経験価値 → 顧客満足度 0.260 0.103 感情的経験価値 → 顧客満足度 0.134 0.081 認知的経験価値 → 顧客満足度 -0.081 0.102 行動的経験価値 → 顧客満足度 0.309 0.100
顧客の経験価値
↓ ロイヤルティ
感覚的経験価値 → ロイヤルティ 0.032 0.074 感情的経験価値 → ロイヤルティ 0.005 0.058 認知的経験価値 → ロイヤルティ -0.046 0.073 行動的経験価値 → ロイヤルティ 0.072 0.072 顧客満足度 → ロイヤルティ 0.974 0.110
* 上記のデータは小数点第4位を四捨五入して記載
* 標準化パス係数はすべて1%水準で有意
出典:筆者作成
(1) 企業と消費者との間のインタラクションによる経験価値への影響
表
4-11
によれば、企業と消費者との間のインタラクションから感覚的経験価値への標準化係数の推定値は
0.433、感情的経験価値への標準化係数の推定値は 0.134、行動的経験価値への標準化係数
の推定値は
0.259
となっており、H1a
、H1b
、H1d
は支持された。そして、企業と消費者との間のイ ンタラクションが感覚的経験価値に及ぼす影響が最も大きいことが分かった。一方、企業と消費者 との間のインタラクションから認知的経験価値への標準化係数の推定値は0.073
であり、顕著な影 響が見えないため、H1c
は支持されなかった。全体的にみれば、企業と消費者との間のインタラク ションは経験価値にプラスの影響を及ぼすと言えよう。(2) 消費者間のインタラクションによる経験価値への影響
消費者間のインタラクションから感覚的経験価値、感情的経験価値、認知的経験価値、行動的経 験価値への標準化係数の推定値は、それぞれ
0.255、0.375、0.483、0.473
となっているため、H2a、H2b
、H2c
、H2d
は全部予想通りに支持され、消費者間のインタラクションは経験価値にプラスの影 響を及ぼすという結論を出すことができた。また、消費者間のインタラクションによる認知的経験 価値、行動的経験価値への影響は特に大きいことも分かった。(3) 経験価値による顧客満足度への影響
感覚的経験価値、感情的経験価値、行動的経験価値から顧客満足度へ標準化係数の推定値は、そ
れぞれ
0.260、0.134、0.309
となっており、H3a、H3b、H3dは予想通りに支持された。しかしながら、認知的経験価値から顧客満足度へ標準化係数の推定値は、-0.081 というマイナスの値となって いるため、
H3c
は棄却されることになる。(4) 経験価値によるロイヤルティへの影響
表
4-11
によれば、感覚的、感情的、認知的及び行動的という4
つのタイプの経験価値からブラン ド・ロイヤルティへ標準化係数の推定値は、それぞれ0.032、0.005、-0.046、0.072
となっているた め、H4a
、H34b
、H4c
、H4d
はいずれも支持されなかった。それゆえに、仮説4
「経験価値は、ロイヤ ルティにプラスの影響を及ぼす」は棄却された。(5) 顧客満足度によるロイヤルティへの影響
最後に、顧客満足度からブランド・ロイヤルティへ標準化係数の推定値は
0.974
となっており、仮説