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信頼性と妥当性の分析

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 109-116)

本節では、まず、本調査の被験者の年齢、国籍、職業を含めた基本情報を紹介する。それから、

探索的因子分析と確認的因子分析を通して、アンケート調査の質問票で使用された尺度の妥当性お よび信頼性を分析する。

第一項 調査サンプルの詳細

本調査では、日本と中国の女性を対象に、インターネット調査と質問紙調査を並行して実施した。

2018

6

5

日から

12

日にかけて、ネット上の質問票

135

人分、紙ベースの質問票

80

人分、合計 で

235

人分のアンケートを回収した。回収された質問票を確認したところ、

26

サンプルには欠損値 が存在し、13サンプルではすべての質問項目に対して同じ評価点数がつけられ、5サンプルの回答 時間が平均回答時間を大幅に上回った(または下回った)。被験者は恐らく真剣に回答していなかっ たと判断したため、それらのサンプルを無効回答として廃棄することにした。本調査では、それら を除いた

191

サンプルの有効回答について分析を行う。

本章の第二節第二項「質問票設計と測定尺度」で述べたように、化粧品市場において、女性顧客 が圧倒的な消費額として貢献しているため、本論文の調査対象は女性だけに限定した。回収された

191

の有効サンプルのうち、日本人は

40

人で調査対象全体の

21%を占め、中国人は 151

人で全体の

79%を占める(図 4-2

参照)。

図 4-2 被験者の国籍の割合

出典:筆者作成

被験者のうち、

20

代以下は

15

人(

8%

)、

20

代は

118

人(

62%

)、

30

代は

42

人(

22%

)、

40

代は

7

人(

3%

)、

50

代以上は

9

人(

5%

)であった(図

4-3

参照)。

20

代と

30

代の被験者は調査対象全体 の

84%

を占めており、化粧品利用者の年代層からみれば、サンプルの構成は適切であると考えられ る。

図 4-3 被験者の年齢の割合

出典:筆者作成

また、被験者の職業に関して、会社員は

54

人(

28%

)、公務員は

25

人(

13%

)、学生は

97

人(

51%

)、 主婦は

9

人(

5%)

、その他は

6

人(

3%)であった(図 4-4

参照)。学生と社会人は、それぞれ約

50%

の割合を占めており、被験者の職業については大きな偏りがなかった。そのため、サンプルのデー タは、基本的に、化粧品使用者の全体的な状況を反映すると考えられる。

図 4-4 被験者の職業の割合

出典:筆者作成

第二項 探索的因子分析

仮説モデルを検証するにあたり、まず、価値共創尺度に関する

6

質問項目、経験価値尺度に関す る

11

質問項目に対して、統計ソフトウェア

IBM SPSS Statistics 25.0

を用いて探索的因子分析を行っ た(表

4-5

、表

4-6

参照)。因子の抽出法は主因子法を、因子軸の回転法はバリマックス法を採用し た。

表 4-5 価値共創に関する測定尺度の回転後の因子行列

潜在変数 観測変数 1因子 2因子 共通性

企業—消費者間の インタラクション

FC1 0.081 0.838 0.708

FC2 0.084 0.666 0.450

FC3 0.135 0.726 0.546

消費者間の インタラクション

CC1 0.785 0.247 0.678

CC2 0.843 0.106 0.721

CC3 0.769 0.011 0.591

因子抽出法: 主因子法;回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法

すべて1%水準で有意

出典:筆者作成

表 4-6 経験価値に関する測定尺度の回転後の因子行列

潜在変数 観測変数 1因子 2因子 3因子 4因子 共通性

感覚的経験価値

SE1 0.083 0.144 0.804 0.074 0.680

SE2 0.217 -0.006 0.582 0.297 0.475

SE3 0.166 0.133 0.464 0.386 0.410

感情的経験価値

AE1 0.728 0.116 0.122 0.072 0.563

AE2 0.585 0.257 0.157 0.340 0.549

AE3 0.639 0.247 0.183 0.191 0.539

認知的経験価値

IE1 0.334 0.401 0.357 0.086 0.408

IE2 0.214 0.871 0.119 0.205 0.860

IE3 0.282 0.564 0.049 0.401 0.561

行動的経験価値

BE1 0.095 0.147 0.152 0.577 0.387

BE2 0.267 0.277 0.260 0.574 0.546

因子抽出法: 主因子法;回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法

すべて1%水準で有意

出典:筆者作成

4-5

によれば、価値共創の測定尺度に関して、第

1

因子は、消費者間のインタラクションを表 す観測変数

CC1

CC2

CC3

から構成される因子であり、第

2

因子は、企業と消費者との間のイン タラクションの要素であるFC1、FC2、FC3から構成される因子である(

p=.000

1%

水準で有意で あった)。また、表

4-6

によれば、経験価値の測定尺度に関して、4つの因子が抽出され、第

1

因子 は感覚的経験価値(SE1、SE2、SE3)、第

2

因子は感情的経験価値(AE1、AE2、AE3)、第

3

因子 は認知的経験価値(

IE1

IE2

IE3

)、第

4

因子は行動的経験価値(

BE1

BE2

)であった(

p=.000

1%水準で有意であった)

。因子分析は予想したとおりの結果を出したため、すべての因子を保留

することにした。さらに、因子の共通性の値は、すべて

1

未満かつ

0

に近い値ではないことを確認 した。

第三項 確認的因子分析

第二項では、探索的因子分析を通じて測定尺度の因子行列を明確化した。本項では、まず、質問 項目の信頼性を確認するために、クロンバックのアルファ係数(

Cronbach’s

α)を算出した(表

4-7

参照)。

表 4-7 潜在変数のクロンバックのアルファ係数

潜在変数 観測変数 Cronbach’s α 潜在変数 観測変数 Cronbach’s α

企業—消費者間の インタラクション

FC1

0.793

消費者間の インタラクション

CC1

0.843

FC2 CC2

FC3 CC3

感覚的経験価値

SE1

0.720 感情的経験価値

AE1

0.765

SE2 AE2

SE3 AE3

認知的経験価値

IE1

0.753 行動的経験価値

BE1

0.645 IE2

BE2 IE3

顧客満足度

CS1

0.818

ブランド・

ロイヤルティ

BR1

0.847

CS2 BR2

上記のデータは小数点第4位を四捨五入して記載 出典:筆者作成

4-7

によれば、行動的経験価値以外、すべての従属変数のクロンバックのアルファ係数は

0.7

より大きかった。行動的経験価値に関しては、質問アイテムはアジアの被験者にとって分かりづら いと指摘されている[田中・三浦

2016

]。それが、クロンバックのアルファ係数が少し低かった原因 であると考えられる。とはいえ、最低基準の

0.6

を上回っているため、尺度の信頼性には大きな問 題がないと判断した。次に、モデル全体の適合度と構成概念の収束妥当性を確認するために、統計 ソフトウェア

IBM SPSS Amos 25.0

を利用して確認的因子分析を行った。表

4-8

に示されているよう に、モデル全体の適合度はすべて許容値に収まった。

表 4-8 モデル全体の適合度

指標 GFI AGFI CFI RMSEA

数値 0.903 0.861 0.958 0.049

基準 > 0.900 > 0.900 > 0.900 < 0.050

上記のデータは小数点第4位を四捨五入して記載 出典:筆者作成

モデル全体の適合度の結果を受けて、因子ごとに合成信頼性(

CR: Composite Reliability

)と平均分 散抽出(AVE: Average Variance Extracted)を算出した。各観測変数の標準化係数、合成信頼性およ び平均分散抽出の値を次の表

4-9

にまとめた。

表 4-9 潜在変数の合成信頼性と平均分散抽出

潜在変数 観測変数 標準化係数 CR AVE

企業—消費者間の インタラクション

FC1 0.767

0.794 0.563

FC2 0.689

FC3 0.791

消費者間の インタラクション

CC1 0.808

0.848 0.651

CC2 0.851

CC3 0.759

感覚的経験価値

SE1 0.661

0.722 0.464

SE2 0.722

SE3 0.659

感情的経験価値

AE1 0.630

0.765 0.522

AE2 0.773

AE3 0.757

認知的経験価値

IE1 0.580

0.767 0.528

IE2 0.807

IE3 0.773

行動的経験価値

BE1 0.573

0.668 0.510

BE2 0.832

顧客満足度

CS1 0.762

0.829 0.709

CS2 0.915

ブランド・

ロイヤルティ

BR1 0.866

0.847 0.735

BR2 0.848

上記のデータは小数点第4位を四捨五入して記載

標準化係数はすべて1%水準で有意

出典:筆者作成

他の変数との関係性における信頼性の尺度として、すべての潜在変数の合成信頼性は基準の

0.6

より大きく、測定された潜在変数の内的一貫性が確認された。また、収束妥当性を確認する尺度と

して、感覚的経験価値以外、すべての因子の平均分散抽出は基準の

0.5

を上回り、統計的に十分な水準 を満たしたと言えよう。最後に、因子間の相関係数と平均分散抽出の平方根を比較し、弁別的妥当 性を検討した(表

4-10

参照)。表

4-10

において、対角線に書いてある数値(太字+斜体表示)は各 因子の平均分散抽出の平方根であり、対角線の下部にある数値は因子間の相関係数である。平均分 散抽出の平方根は、ほとんどの因子間相関係数を上回っているため、弁別妥当性は担保されている と判断した。

以上の内容をまとめてみれば、信頼性分析、探索的因子分析及び確認的因子分析を通して分析し た結果、本調査で使用される測定尺度は十分な信頼性と妥当性を備えているため、仮説の検証段階 に進んでも良いと判断した。

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 109-116)