本研 究 の 目的 は,「数学 的 な言 語 力」 を中学校数 学 にお いて育成 す るた めの方策 を講 じ るこ とで あつた。 そ のた めに
,以
下の二つ の研 究作業 を設 けた (第 1章第3節)。①
先行研 究 に基 づ き
,数
学教育 にお いて育成すべ き 「数 学的 な言語力 」 の構成要 素 と 構造 を明 らかにす る。②
数学教育 にお いて,「数 学的 な言語 力」 を育成 す るた めの学 習 指導 法 と教材 を開発
)
す る。
③
実験授業を実施 し
,開
発 した教材 と指導法の有効性 について調べる。そこで
,こ
れ ら二つについて順 に総括 してい く。(1)研
究 目的①第2章において
,金
本(1998)の「数学的 コミュニケーション能力」,長
崎 ら(2008)の 「算 数・数学で考え合 う力」,熊
倉 ら(2009)の 「数学的な表現力」を参考に し,「数学的な言語 力」の構成要素を [表 4.1],[図 4.1]の よ うに整理 した。[表 4.1]
(I)コ
ミュニケニ シ ョンの適 切 な態度 が形成 され てい る。(態度)表現 を的確 に して相 手 を納得 させ た り
,根
拠 や合理性 等 を問い なが ら相 手 の意 見や 考 えを聞 く力 を発 展 させ るためには,コ
ミュニケー シ ョンをす る こ とに価値 がある という意識 を もつ。
(Ⅱ
)算
数 。数 学 の多様 な表現・表記 が使 える。(表現・表 記)自分 の考 えを数 学 の言語 。記 号 ・表現 に結びつ け
,多
様 な数学的 な表現 で表す こ とが できる。¨92‑
(Ⅲ
)数
学的表現のよさが理解できる。(数学的表現のよさ)多様 な方法 の違 いに気 づ き
,数
学的表現 の よさを理解 して,そ
の よさを状況 に合 わせ て活用す ることができる。(Ⅳ
)考
えや情報 の伝 達 と解釈 な ど,他
者 との交流 ができ る。(交流)説 明 を聞 いた り読 んだ りす るこ とで
,そ
の意味 を読み とることがで きる。 また, 自分 の考 え,意
見,方
法,情
報等 を,数
学用語 。記 号 ・表現 を用 いなが ら筋道 立 てて, 日頭 や 文 章 で説 明す る こ とが で き る。(V)他
者 の説 明 を評 価 し,自 己 の説 明 に反 映 させ るこ とが で き る。(評価)他者 の説 明を評価 し, 自己の説 明をよ り良い ものに してい くこ と。
4鮮 /交 流 \
/数 学的 表 現の よさ\
/ 表現・ 表記 \
/ 態度 \
[図 4.1]
(2)研 究目的②
第3章第 1節 にお いて 「数 学的 な言語 力」 の内,「 (Ⅳ
)考
えや情報 の伝達 と解釈 な ど, 他者 との交流 がで き る。(交流)」 ,「(V)他
者 の説 明 を評価 し,自
己の説 明 に反映 させ ることができる。(評価)」 を育成す る教材 として,「伝言 ゲー ム」を用 いた教材 を開発 した。
「伝言ゲーム」の持 ってい る利点は
:以
下の もので あ る。① 図的情報 を一度言語 化 し
,言
語化 され た もの を再度図化す る必要 があ り,図
的情 報 と 言語 情報 を双方 に翻訳 す る学習 が可能 にな る。‐
②伝言 が正 しく伝 わったか ど うかがペ アのかいた図 を見れ ばわか るので
,情
報 の伝 達が成 功 ・失敗 か がす ぐに フ ィー ドバ ック され る。
(3)研
究 目的③第3章第2節において実施 した実験授業を分析 し
,開
発 した教材の有効性 について考察 した。実験授業の 目的は,次
の二つであつた。①
「数学的な言語力」を育成する教材 としての,「伝言ゲーム」の可能性 を調べ る。
②
「伝言ゲーム」において生徒は, どのような伝言文を書 くのか
,ま
た, どのよ うな 図 をか くの か調 べ る。③
伝 言 を正 しく伝 え るた めの ポ イ ン トと して
,生
徒 は どの よ うな 内容 を挙 げ るの か調 べ る。これ らの二 つ の 目的 に対 す る結 果 を以 下 に示 す。
「数学的な言語力」 を育成す る教材 としての,「伝言 ゲー ム」 の可能 性 を調 べ る。
。生徒 は
,伝
言 ゲー ムにおいて図的情報 を言語化 す るこ とがで きて いた。,ペ アのかいた図の間違 い と
,ペ
アの よ く書 けている伝言文か ら,正
しく伝 えるた めのポイ ン トを見つ けるこ とができていた。
・正 しく伝 えるためのポイ ン トを用いて
,伝
言文 を改良す る こ とがで きて いた。・伝言 ゲームを用いた授 業が生徒 に とつて
,興
味 。関心 を喚起 で き るもので あつた。伝 言 文 を書 いた リペ アの伝言 文 を解釈 して図 をか く活動 で,「 (Ⅳ
)考
えや情報 の伝達 と解釈 な ど,他
者 との交流 が で き る。(交流)」 が,正
しく伝 えるた めのポイ ン トを見い 出す活 動や,そ
の ポイ ン トを用 いての伝言文 の改 良か ら,「(V)他
者 の説 明 を評価 し,自己の説 明に反映 させ る こ とがで きる。(評価)」 が活用 され ていた と考 え られ る。
「伝 言 ゲー ム│にお い て生 徒 は
,ど
の よ うな伝 言 文 を書 くの か,ま
た,ど
の よ うな図 をか くのか調べ る。課題 の図形 が ほぼ正 しく伝 わ った伝言文 には
,図
形 の位 置や大 き さ,向
き,概
形,図
形 の性質な どの情報 が多い とい う特徴がある。図形 が伝 わ らなかった伝言文 は,そ
れ らの情‑94‑
報 の少 な さの他 に
,間
違 った情報 を含 んでいるものが多かった。生徒がかいた図形 には
,も
との図形 が変形 してい るものや,課
題 の図形 にほ ど遠 い もの が多 く見 られ た。伝言 を正 しく伝 えるためのポイ ン トとして
,生
徒 は どの よ うな内容 を挙 げ るのか調バ る。生徒 は
,図
形 の大 き さや 図形 をか くべ き位置 な どの,①
「図形 をか くための情報 を伝 え るこ と」 と,似
てい るものに例 えることや,図
形 を分 けて説 明す るな どの,②
「伝 えるための工夫」 を正 しく伝 えるためのポイ ン トとして挙 げていた。
① につ いては
,例
えば,次
の よ うなポイ ン トが挙 げ られ た。・図形 の大 きさを伝 える。
。図形 の位置 を説明す る。
。図形の向きや置き方 を伝 える。
② につ いては
,例
えば,次
の よ うなポイ ン トが挙 げ られ た。・単純 な図形 に例 えて説 明す る。
・図形 を分 けて説 明す る。
・段階 を 1つ ずつ書 く。(矢印 を使 うと分 か りやす い。