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第 3 章 計算結果

3.5 有限立ち上がり時間予測精度の検証

図 モデルと モデル(図中では )での分散波厚さの計算結果の比較

3.5 有限立ち上がり時間予測精度の検証

有限立ち上がり時間の予測精度を検証するため,放電により生成した球状衝撃波伝播実験での計測データ を,

モデルを使って計算した.放電により生成された高圧領域の状態量が不明なため,適当な高圧領域を仮定した.

ここでは, ら と同様な手法を適用する:球状高圧空気の半径を ,圧力を大気圧の 倍とし温度は静 止大気と同一とした;低圧側に相当する静止大気の温度・圧力・相対湿度はそれぞれ , , である.

半径 に対して 点の格子点を使い,格子幅は µ で等間隔とした.格子間隔が前述の問題よりも細かく なったことにより許される時間ステップ間隔が小さくなるものの,以下で示す結果での計算時間は,前述したワーク スステーションを使って約 時間であった.

図 に, 波の形成と伝播過程を示す.本方法では 波が形成されてから格子の移動を開始(約 µ 後)し,

波全体を計算領域に捉えながらシミュレーションを行った.図 では,ブラスト波が膨張し,膨張波が中心部へ伝 播して反射することで第 衝撃波が形成され,最終的に 波形状となる様子が捉えられている.図 では, µ までの 波の伝播をクローズアップした.

波の形成 波の伝播

図 初期での圧力空間分の時間履歴

(a) r=17m (t=34ms)付近での圧力波形 (b) r=17mでの圧力時間履歴 図17 圧力の時空間分布

図17に,約17m伝播した時の時空間圧力波形を示す.本解析法では,図17(a)に示したように空間的に広がる圧力 波形から図17(b)の圧力の時間波形を計算し,得られた時間波形から有限立ち上がり時間を評価する.図中のtdを波形 の持続時間の半値とし,後述する図中では単に持続時間と定義した.

図 18 で,波形の持続時間と最大過剰圧の測定値を計算結果と比較した.伝播距離に対して各データをプロットし た.計算結果では,4 つの異なる条件で計算したものを与えている:図中の’Noneq’は分子振動緩和過程を含めたも の,’Frozen’は分子振動緩和を含めないもの(以下では凍結流れとする),inviscid,viscousはそれぞれ非粘性と粘性流れ に相当する.図より,分子振動緩和過程を含めたシミュレーション結果により実験での傾向を定性的にも定量的にも 再現できることがわかる.

(a) 持続時間 (b) 過剰圧の最大値

図18 N波の持続時間と過剰圧の最大値の距離依存性に関する実験と計算の比較

(a) 非粘性凍結流れ (b) 粘性凍結流れ

(c) 非粘性非平衡流れ (d) 粘性非平衡流れ

図19 4つの物理モデルによる圧力時間波形の計算結果

図19には,異なる位置での圧力の時間波形を4つの物理モデルを使って計算した結果を与えた.図19(a)は,非粘 性凍結流の結果であり,衝撃波面がシャープに捉えられていることがわかる.立ち上がり時間は理論的には 0 である が,本解析法では,衝撃波を捉える格子点幅を衝撃波伝播速さで割って求めた時間程度で有限となる.この点につい ては後ほど議論するが,長距離伝播したときの有限立ち上がり時間の予測にあまり影響を与えないものと考えられる.

図19(b)では熱粘性の影響によって衝撃波面が鈍る傾向が捉えられている.本解析では,数値粘性による誤差を完全に

は除去しきれていないが,有限立ち上がり時間の増加への寄与は,分子振動緩和に起因するものに比べると小さい.

図19(c)の非粘性非平衡流れの結果より,圧力上昇部分では,シャープな不連続面を残しつつ立ち上がり時間が増加す

る傾向がわかる.図19(d)では熱粘性および分子振動緩和の連成効果により衝撃波面が鈍る傾向が捉えられている.

非粘性凍結流れ 粘性凍結流れ

非粘性非平衡流れ 粘性非平衡流れ

図 つの物理モデルによる圧力時間波形の計算結果

図 には,異なる位置での圧力の時間波形を つの物理モデルを使って計算した結果を与えた.図 は,非粘 性凍結流の結果であり,衝撃波面がシャープに捉えられていることがわかる.立ち上がり時間は理論的には である が,本解析法では,衝撃波を捉える格子点幅を衝撃波伝播速さで割って求めた時間程度で有限となる.この点につい ては後ほど議論するが,長距離伝播したときの有限立ち上がり時間の予測にあまり影響を与えないものと考えられる.

図 では熱粘性の影響によって衝撃波面が鈍る傾向が捉えられている.本解析では,数値粘性による誤差を完全に は除去しきれていないが,有限立ち上がり時間の増加への寄与は,分子振動緩和に起因するものに比べると小さい.

図 の非粘性非平衡流れの結果より,圧力上昇部分では,シャープな不連続面を残しつつ立ち上がり時間が増加す る傾向がわかる.図 では熱粘性および分子振動緩和の連成効果により衝撃波面が鈍る傾向が捉えられている.

(a) r vs tr (b) tr vsΔpmax

図20 有限立ち上がり時間の実験データと計算結果の比較

図20にシミュレーションにより得られた有限立ち上がり時間を実験データと比較した.図20(a)は伝播距離に対して 有限立ち上がり時間をプロットした.図より,本解析法で組み込まれた分子振動緩和モデルにより,測定された有限 立ち上がり時間を程よい精度で予測できることがわかる:非粘性非平衡モデルと粘性非平衡モデルの有限立ち上がり 時間の違いは数µs程度である.非粘性凍結流れでは0.2µs程度の立ち上がり時間があり理論とは異なるが,伝播しても 立ち上がり時間は増加しない.図20(b)には,有限立ち上がり時間に対する過剰圧の最大値をプロットした.振動緩和 過程による有限立ち上がり時間の増加は,約 100Pa 以下で顕著になることがわかる.この傾向は過去に得られている Hogson[19]やJohansen[8]の結果と首尾一貫している.

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