2.5 臨床に関する概括評価
2.5.5 安全性の概括評価
2.5.5.4 有害事象
有害事象の集計にあたり,治験責任(分担)医師により報告されたすべての有害事象を,
日米EU医薬品規制調和国際会議(以下,ICH)国際医薬用語集(以下,MedDRA)又はICH 国際医薬用語集日本語版(以下,MedDRA/J)で読み替え,器官別大分類(以下,SOC)及 び基本語(以下,PT)に基づいて集計した.本項において,国内外の各臨床試験については,
それぞれの治験総括報告書作成時に使用した MedDRA 及び MedDRA/J のバージョンを使用 した.国内統合解析は MedDRA/J ver.15.1 を使用した.海外統合解析では海外 DS1,DS2, DS3及びDS4はMedDRA ver.14.1を,海外DS3-LT2及び海外DS3-31DEC2012はMedDRA
ver.15.0 を用いて集計を行った.海外データについては,集計結果を対応するバージョンの
MedDRA/Jで読み替えた.
国内臨床試験(第II 相及び第III相試験)では治療期間の治験薬服用開始から後観察期間 終了(治療期間終了日又は治療期間中止日の翌日から14日間)までに発現した有害事象を集 計した.また,海外臨床試験(第III相試験)では二重盲検期間の治験薬服用開始から治験薬 の最終投与後30日以内に発現した有害事象を集計した.本項ではこれらの有害事象データに 基づき安全性を評価した.
国内臨床試験では,有害事象の治験薬との因果関係は,治験責任(分担)医師が,「合理的 な可能性あり」又は「合理的な可能性なし」の2段階で判断した.治験薬との因果関係が「合 理的な可能性あり」と判断された有害事象を副作用として集計した.
一方,海外臨床試験では,有害事象の治験薬との因果関係は,治験担当医師又は治験依頼 者が5段階{「関連なし(Not related)」,「関連は疑わしい(Doubtful)」,「関連あるかもしれ ない(Possible)」,「多分関連あり(Probable)」,「関連あり(Very likely)」}で判断した.治験 薬との因果関係が,「関連あるかもしれない(Possible)」,「多分関連あり(Probable)」,「関連 あり(Very likely)」と判断された有害事象を副作用と定義した.
海外の第III相試験においては,二重盲検期間中に血糖コントロール不良を継続させないた めに,治験実施計画書に空腹時血糖値によるレスキュー治療の規定を設け,血糖コントロー ル不良の被験者に対してレスキュー治療を可能とした.なお,DIA3008 試験は 18 週まで,
その他の試験は 26 週までレスキュー治療を可能としたが,DIA3015 試験ではレスキュー治
療を設定しなかった.レスキュー治療を可能とした海外第III相試験において,全体及び特定 の有害事象に対する主要安全性評価はレスキュー治療開始前のデータによる集計とし,レス キュー治療後のデータを含む集計は副次安全性評価とした.海外 DS1 及び DS2 において,
全体の有害事象及び副作用などはレスキュー治療開始前のデータを使用した.ただし,低血 糖以外の注目すべき有害事象の評価においてはレスキュー治療後のデータも含めた集計も使 用した.一方,海外DS3,DS4,DS3-LT2及び海外DS3-31DEC2012はすべての評価において レスキュー治療後のデータを含む集計を使用した.
2.5.5.4.1 有害事象の概要
(1) プラセボ対照試験データセット(国内統合解析1)/国内
国内統合解析1における有害事象発現率は,プラセボ群48.2%(81/168名),100 mg群56.7%
(93/164名),200 mg群56.0%(93/166名),100 mg+200 mg群56.4%(186/330名)であり,
プラセボ群と比較して100 mg群及び200 mg群でやや高かった.副作用発現率は,プラセボ 群10.1%(17/168名),100 mg群23.2%(38/164名),200 mg群24.7%(41/166名),100 mg
+200 mg群23.9%(79/330名)であり,プラセボ群と比較して100 mg群及び200 mg群で高 かった.
有害事象及び副作用は,いずれの投与群においても大部分が軽度であった.高度の有害事 象はプラセボ群の胃癌及び肝の悪性新生物1名,200 mg群の中咽頭癌、病期不明1名のみで あり,高度の副作用はなかった.
時期区分別(「1~28日」,「29~84日」,「85~168日」,「169日以降」)では,「1~28日」
の有害事象発現率は,プラセボ群と比較して 100 mg 群及び200 mg 群で高く(プラセボ群 17.9%,100 mg群25.0%,200 mg群25.9%),その他の時期区分では各投与群で大きな違いは なかった.また,副作用発現率はいずれの時期区分においても,プラセボ群と比較して100 mg
群及び200 mg群で高かった.各時期区分で,発現率が2%以上かつプラセボ群より高かった
有害事象は100 mg群では「1~28日」の鼻咽頭炎,頻尿,「29~84日」の上気道の炎症,血 中ケトン体増加,「85~168日」の無自覚性低血糖であり,200 mg群では「1~28日」の鼻咽 頭炎,血中ケトン体増加,「29~84 日」の上気道の炎症,血中ケトン体増加であった.各時 期区分で,発現率が2%以上かつプラセボ群より高かった副作用は100 mg群では「1~28日」
の頻尿,「29~84日」の血中ケトン体増加,200 mg群では「1~28日」及び「29~84日」の 血中ケトン体増加であった[2.7.4.2.1].
(2) 2型糖尿病患者対象試験データセット(国内統合解析2)/国内
国内統合解析2における有害事象発現率は,100 mg群76.3%(571/748名),200 mg群77.8%
(685/881名),100 mg+200 mg群77.1%(1256/1629名)であった.副作用発現率は,100 mg 群30.1%(225/748名),200 mg群28.3%(249/881名),100 mg+200 mg群29.1%(474/1629 名)であった.有害事象及び副作用発現率はいずれも100 mg群と200 mg群で大きな違いは
なかった.
有害事象及び副作用は,いずれの投与群においても大部分が軽度であり,程度別有害事象 及び副作用発現率は100 mg群と200 mg群で大きな違いはなかった.2名以上に発現した高 度の有害事象はなく,高度の副作用は陰部ヘルペスの1名のみであった.
時期区分別(「1~28日」,「29~84日」,「85~168日」,「169~252日」,「253~364日」,「365 日以降」)では,いずれの時期区分においても100 mg群と200 mg群の有害事象及び副作用 発現率に大きな違いは見られなかった.また,投与後期(169 日以降)で特に発現率が高い 有害事象及び副作用はなかった[2.7.4.2.1].
(3) プラセボ対照試験データセット(海外統合解析DS1)/海外
海外DS1における有害事象発現率(レスキュー治療開始前)は,プラセボ群57.4%(371/646 名),100 mg群60.0%(500/833名),300 mg群59.2%(494/834名),カナグリフロジン群59.6%
(994/1667名)であり,副作用発現率(レスキュー治療開始前)は,プラセボ群13.2%(85/646 名),100 mg群20.4%(170/833名),300 mg群22.8%(190/834名),カナグリフロジン群21.6%
(360/1667名)であった.有害事象発現率はプラセボ群と100 mg群及び300 mg群で大きな 違いはなかったが,副作用発現率はプラセボ群と比較して100 mg群及び300 mg群で高かっ た.
(4) 全実薬又はプラセボ対照試験広範データセット(海外統合解析DS3)/海外
海外 DS3 における有害事象発現率(レスキュー治療後を含む)は,100 mg 群 67.4%
(2083/3092名),300 mg 群 69.1%(2133/3085名),カナグリフロジン群68.3%(4216/6177 名),全対照群66.2%(2160/3262名)であり,副作用発現率(レスキュー治療後を含む)は,
100 mg群24.7%(765/3092名),300 mg群29.6%(912/3085名),カナグリフロジン群27.1%
(1677/6177名),全対照群17.9%(585/3262名)であった.有害事象発現率は全対照群と100
mg群及び300 mg群で大きな違いはなかったが,副作用発現率は全対照群と比較して100 mg
群及び300 mg群で高かった.
(5) 長期投与広範データセット2(海外統合解析DS3-LT2)/海外
海外DS3-LT2 における有害事象発現率(レスキュー治療後を含む)は,100 mg 群 76.6%
(2369/3092名),300 mg 群77.0%(2375/3085名),カナグリフロジン群76.8%(4744/6177 名),全対照群75.8%(2473/3262名)であり,副作用発現率(レスキュー治療後を含む)は,
100 mg群29.4%(910/3092名),300 mg群33.6%(1037/3085名),カナグリフロジン群31.5%
(1947/6177名),全対照群21.8%(711/3262名)であった.有害事象発現率は全対照群と100
mg群及び300 mg群で大きな違いはなかったが,副作用発現率は全対照群と比較して100 mg
群及び300 mg群で高かった.
(6) 中等度腎機能障害データセット(海外統合解析DS2)/海外
海外DS2における有害事象発現率(レスキュー治療開始前)は,プラセボ群68.3%(261/382 名),100 mg群73.1%(247/338名),300 mg群74.5%(272/365名),カナグリフロジン群73.8%
(519/703名)であり,副作用発現率(レスキュー治療開始前)は,プラセボ群20.7%(79/382 名),100 mg群26.9%(91/338名),300 mg群32.6%(119/365名),カナグリフロジン群29.9%
(210/703名)であった.有害事象及び副作用発現率はいずれもプラセボ群と比較して100 mg
群及び300 mg群で高かった.
2.5.5.4.2 比較的よく見られる有害事象
(1) プラセボ対照試験データセット(国内統合解析1)/国内
国内統合解析1において,いずれかの投与群で10%以上の有害事象が発現したSOCは,「感 染症および寄生虫症」,「胃腸障害」,「臨床検査」であった[表2.7.4.2―38].「感染症および 寄生虫症」はプラセボ群と100 mg群及び200 mg群では同程度の発現率であった.「胃腸障
害」は100 mg群はプラセボ群と同程度の発現率であったが,200 mg群でやや発現率が高か
った.200 mg群では主に便秘(プラセボ群0.6%,100 mg群0.6%,200 mg群3.6%)の発現 率が高かった.「臨床検査」はプラセボ群と比較して100 mg群及び200 mg群で発現率が高 く,主に血中ケトン体増加(プラセボ群2.4%,100 mg群4.9%,200 mg群9.6%)の発現率 が高かった.
国内統合解析1において,いずれかの投与群で2%以上発現した有害事象の内訳を表 2.5.5.4
-1に示した.
100 mg群又は200 mg群において,有害事象発現率が3%以上かつプラセボ群よりも高かっ
た有害事象は,100 mg群では上気道の炎症4.9%(8/164名),血中ケトン体増加4.9%(8/164 名),咽頭炎4.3%(7/164名),無自覚性低血糖3.0%(5/164名),頻尿3.0%(5/164名),200 mg群では血中ケトン体増加9.6%(16/166名),無自覚性低血糖4.8%(8/166名),便秘3.6%
(6/166名),上気道の炎症3.0%(5/166名)であった.これらの有害事象のうち,100 mg群
よりも 200 mg 群で発現率が高かった有害事象は,血中ケトン体増加,無自覚性低血糖,便
秘であった.
国内統合解析1において,いずれかの投与群で3%以上の副作用が発現したSOCは,「臨 床検査」,「代謝および栄養障害」,「胃腸障害」,「感染症および寄生虫症」,「腎および尿路障 害」であった[表2.7.4.2―39].「腎および尿路障害」の発現率はプラセボ群と200 mg群で 同程度であったが,100 mg群でやや高かった.100 mg群では主に頻尿(プラセボ群0.6%, 100 mg群3.0%,200 mg群0.6%)の発現率が高かった.「臨床検査」,「代謝および栄養障害」,
「胃腸障害」,「感染症および寄生虫症」はプラセボ群と比較して100 mg群及び200 mg群で 発現率が高かった.100 mg群及び200 mg群において,「臨床検査」では血中ケトン体増加(プ ラセボ群2.4%,100 mg群4.3%,200 mg群9.0%),「代謝および栄養障害」では低血糖症(プ ラセボ群0.6%,100 mg群1.8%,200 mg群1.8%),無自覚性低血糖(プラセボ群1.2%,100 mg 群1.8%,200 mg群4.8%)の発現率が高かった.「胃腸障害」,「感染症および寄生虫症」では,