2.5 臨床に関する概括評価
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.7 有効性のまとめ
食事療法及び運動療法で血糖コントロールが不良な日本人2型糖尿病患者を対象に,カナ グリフロジン100 mg又は200 mgを1日1回24週間投与した際に,いずれの用量でも同程 度の良好な血糖コントロール改善作用が認められた.更に,体重減少や収縮期血圧低下を含 む副次作用においても,100 mg群と200 mg群に大きな差はなく,100 mg投与で臨床的に意 義のある効果が得られると考えられた.1日1回52週間投与の単独療法及び経口血糖降下薬 1剤との併用療法においても,同様の結果が得られたことから,カナグリフロジン100 mgの 1日1回投与が至適用量であることが確認された.
(2) 血糖コントロールの改善
カナグリフロジン100 mgを1日1回24週間投与した際のHbA1c変化量のプラセボとの差
は -1.03%であり,有意なHbA1c低下が認められた.また,カナグリフロジンは,空腹時血
糖値を低下させ,食後血糖値の上昇を抑制した.カナグリフロジンによる良好なHbA1c低下 作用は,空腹時血糖値及び食後血糖値両方の低下作用によるものと考えられた.
国内第III相試験の層別解析の結果から,カナグリフロジンの血糖低下作用は,血糖値依存
的であり,血糖値が高いほど,HbA1c低下作用は大きくなることが示された.
(3) 膵β細胞機能の改善
カナグリフロジン100 mgを1日1回24週間又は52週間投与した際に,HOMA2-%B,プ ロインスリン/C-ペプチド比を改善した.また75gOGTTにおいて,24週間のカナグリフロジ
ン 100 mg 投与により糖負荷後の血糖値の上昇が抑制された一方,C-ペプチドの上昇は変化
しなかったことから,血糖値当たりのインスリン分泌量が増加したことが示された.また,
海外臨床試験におけるFS-MMTTによる検討からも,インスリン分泌能の改善が示唆された.
以上のことから,カナグリフロジン100 mgの投与により,膵β細胞機能の改善が示唆さ れた.
(4) 効果の持続
カナグリフロジン100 mgを1日1回52週間投与した際に,良好な血糖コントロール改善 作用が認められ,その効果は52週間減弱することなく持続した.効果の持続には,カナグリ フロジンによる膵β細胞機能の改善が寄与していると考えられた.
(5) 体重減少作用
カナグリフロジン100 mgを1日1回52週間投与した際に,52週間の持続した体重減少作 用が認められた.また,体重増加の副作用が知られているSU又はTZDとの併用においても,
52週間の持続した体重減少が認められた.更に,体重と同様に,ウエスト周囲径の減少が認 められた.
また,海外臨床試験の結果から,カナグリフロジンによる体重減少は,約 2/3が脂肪減少 によるものと考えられ,また皮下脂肪より内臓脂肪の寄与が大きいことが示された.
(6) 血圧及び血中脂質改善
カナグリフロジン100 mgを1日1回24週間又は52週間投与した際に,収縮期血圧,血
中脂質(HDL-C,中性脂肪)の副次的有効性評価項目の改善が認められた.
(7) 患者背景にかかわらない血糖低下作用
HbA1c変化量の層別解析の結果,カナグリフロジン100 mgは,年齢,性別などの患者背
景にかかわらず,良好なHbA1c低下作用が認められた.また,心血管疾患の既往又は高いリ スクを有する2型糖尿病患者においても,良好なHbA1c低下作用が認められた.
(8) 中等度腎機能障害患者における血糖低下作用
eGFR が 30 mL/min/1.73m2 以上 50 mL/min/1.73m2 未満又は 30 mL/min/1.73m2 以上 60
mL/min/1.73m2未満の中等度腎機能障害を伴う外国人 2 型糖尿病患者において,カナグリフ
ロジン100 mgの1日1回投与は,プラセボと比較して有意なHbA1c低下作用を有すること
が示された.日本人でも同様の有効性が期待できると考えられた.
(9) インスリンを含む多様な治療内容の患者における一貫した血糖低下作用
国内外の第III相試験の結果から,初めて薬物治療を開始する患者から既に複数の経口血糖 降下薬やインスリンによる治療を行っている患者まで,幅広い層におけるカナグリフロジン
100 mgの血糖低下作用が示された.
以上,カナグリフロジン100 mgの1日1回投与は,食事療法及び運動療法,並びに食事 療法,運動療法に加えて経口血糖降下薬並びにインスリンの使用で血糖コントロールが不良 な2型糖尿病患者において,細小血管症の抑制に必要なHbA1c低下及び空腹時血糖値低下に 加えて,大血管症の抑制に寄与する食後血糖値の低下を含めた血糖コントロール改善作用を 示した.インスリン分泌能指標の改善作用を示したことから,膵β細胞機能の維持・改善が 期待できる.血糖コントロール改善効果は52週間減弱することなく持続した.また,52週 間持続する体重減少作用,血圧低下作用及び血中脂質(HDL-C及び中性脂肪)の改善作用を 有し,2型糖尿病の慢性合併症の発症予防及び進展抑制が期待できると考える.
2.5.5 安全性の概括評価