2.5 臨床に関する概括評価
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.3 有効性の検討
2.5.4.3.1 被験者背景人口統計学的及び基準値の特性
有効性評価に用いた臨床試験における試験対象集団の人口統計学的及び基準値の特性は,
[2.7.3.3.1.2]にまとめた.国内第II相及び第III相臨床試験の試験間で,被験者背景に大き な違いはなかった.海外臨床試験は,国内臨床試験と比較して体重及びBMIが大きく,女性 の割合が高かった.中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者を対象とした試験(DIA3004試 験),CVの既往又は高いリスクを有する患者を対象とした試験(DIA3008試験)及び高齢者 を対象とした試験(DIA3010試験)では,対象被験者集団特有の背景の違いがあったが,そ れ以外では体格,女性の比率を除いて国内外で被験者背景に大きな差はなかった.
2.5.4.3.2 血糖コントロールに関する指標における有効性
2.5.4.3.2.1 HbA1c (1) 単独療法
単独療法における HbA1c変化量を表 2.5.4.3-1に,HbA1cコントロール目標達成率を表
2.5.4.3-2に示した.
1) 第II相用量設定試験(TA-7284-04試験)
12週後における投与前値からのHbA1cの変化量(LSMean)は,プラセボ群,50 mg群,
100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ0.11%, -0.61%, -0.80%, -0.79%及び -0.88%
であった.HbA1c変化量のプラセボ群との差(LSMean)は,50 mg群,100 mg群,200 mg 群及び300 mg群でそれぞれ -0.72%, -0.91%, -0.90%及び -0.99%であり,カナグリフロジ ン群はすべての用量でプラセボ群に比して有意なHbA1c低下を示した(すべてp<0.0001).
12週後のHbA1c 6.9%未満達成率(JDS値で6.5%未満達成率)は,プラセボ群,50 mg群,
100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ6.8%,18.3%,27.8%,24.7%及び32.0%であ った.プラセボ群と比較して,すべての用量で有意に高かった(95%信頼区間の下限が0 を 上回った).
2) 第III相検証的試験(TA-7284-05試験)
24週後における投与前値からのHbA1cの変化量(LSMean)は,プラセボ群,100 mg群及 び200 mg群でそれぞれ0.29%, -0.74%及び -0.76%であった.HbA1c変化量のプラセボ群と の差(LSMean)は,100 mg群及び200 mg群でそれぞれ -1.03%及び -1.05%であり,カナグ リフロジン群はいずれの用量においてもプラセボ群に比して有意なHbA1c低下を示した(す べてp<0.001).
24週後のHbA1c 6.9%未満達成率は,プラセボ群,100 mg群及び200 mg群でそれぞれ5.4%,
27.0%及び25.0%であった.プラセボ群と比較して,いずれの用量でも有意に高かった(いず
れもp<0.001).
3) 第III相単独又は併用療法長期投与試験(TA-7284-06試験:単独療法グループ)
52週後における投与前値からのHbA1cの変化量(LSMean)は,100 mg群及び200 mg群 でそれぞれ -0.84%及び -0.98%であった.また,いずれの用量においても,HbA1c変化量(平 均値)の95%信頼区間の上限は0を下回った[2.7.3.3.2.1].
52週後のHbA1c 6.9%未満達成率は,100 mg群及び200 mg群でそれぞれ39.5%及び48.8%
であった.
表 2.5.4.3-1 単独療法におけるHbA1c変化量(%)
投与群 被験 者数
投与前値 治療期間終了時における投与前値からの変化量1)
平均値 標準 偏差
LS Mean2)
標準 誤差
プラセボ群との比較 LS
Mean2)
標準 誤差
LSMean2)の
95%信頼区間 p値3) TA-7284-04(二重盲検,プラセボ対照,12週間,FAS)
プラセボ群 75 7.99 0.77 0.11 0.06 - - - - 50 mg群 82 8.13 0.78 -0.61 0.06 -0.72 0.08 (-0.88, -0.55) <0.0001 100 mg群 74 8.05 0.86 -0.80 0.06 -0.91 0.09 (-1.08, -0.74) <0.0001 200 mg群 75 8.114) 0.884) -0.79 0.06 -0.90 0.09 (-1.07, -0.73) <0.0001 300 mg群 75 8.17 0.81 -0.88 0.06 -0.99 0.09 (-1.16, -0.82) <0.0001 TA-7284-05(二重盲検,プラセボ対照,24週間,FAS)
プラセボ群 93 8.04 0.70 0.29 0.07 - - - - 100 mg群 90 7.98 0.73 -0.74 0.07 -1.03 0.10 (-1.23, -0.83) <0.001 200 mg群 88 8.04 0.77 -0.76 0.07 -1.05 0.10 (-1.25, -0.85) <0.001 TA-7284-06(非盲検,52週間,FAS)
100 mg群 127 7.84 0.71 -0.84 0.05 - - - - 200 mg群 252 7.95 0.74 -0.98 0.03 - - - - FAS:最大の解析対象集団.
1) last observation carried forwardを適用. 2) 投与群を因子,投与前値のHbA1cを共変量とした共分散分析モデルによる.
3) 対比検定. 4) N=76.
5.3.5.4―3 表8.1.1b.,表8.1.1c.,表8.2.1a.,5.3.5.1―2 表11.4.1.2.1―1,5.3.5.2―1 表14.2―7より引用(一部改変)
表 2.5.4.3-2 単独療法におけるHbA1cコントロール目標達成率(%)
投与群
被験 者数
HbA1c 6.9%
達成率1)
プラセボ群との差
達成率の差 達成率の差の 95%信頼区間
p値2)
TA-7284-04(二重盲検,プラセボ対照,12週間,FAS)
プラセボ群 73 6.8 - - -
50 mg群 82 18.3 11.4 (1.3, 21.6) -
100 mg群 72 27.8 20.9 (9.1, 32.8) -
200 mg群 73 24.7 17.8 (6.3, 29.3) -
300 mg群 75 32.0 25.2 (13.1, 37.2) -
TA-7284-05(二重盲検,プラセボ対照,24週間,FAS)
プラセボ群 92 5.4 - - -
100 mg群 89 27.0 21.5 (6.8, 35.5) <0.001
200 mg群 88 25.0 19.6 (4.8, 33.5) <0.001
TA-7284-06(非盲検,52週間,FAS)
100 mg群 124 39.5 - - -
200 mg群 250 48.8 - - -
FAS:最大の解析対象集団.
1) 達成率は,各試験の最終評価時点にlast observation carried forwardを適用.TA-7284-04試験は,HbA1c(JDS)にお ける6.5%未満達成率を記載.2) Fisherの直接確率法.nominal p値.
5.3.5.1―1 表14.2―12,5.3.5.1―2 表11.4.1.2.3―1,5.3.5.2―1 表11.4.1.3―1より引用(一部改変)
(2) 併用療法
併用療法における HbA1c 変化量(TA-7284-06 試験:併用療法グループ)を表 2.5.4.3-3 に,HbA1cコントロール目標達成率を表 2.5.4.3-4に示した.
52週後における投与前値からのHbA1cの変化量(LSMean)は,100 mg群及び200 mg群 でそれぞれ -1.08~ -0.92%及び -1.23~ -1.00%であり,いずれの経口血糖降下薬との併用に おいても投与前値と比較して 0.9%以上の HbA1c低下が認められた.また,いずれの併用グ ループ,いずれの用量においても,HbA1c変化量(平均値)の95%信頼区間の上限は,0を 下回った[2.7.3.3.2.1].併用グループ間でHbA1c変化量に大きな差はなかった.
52週後におけるHbA1c 6.9%未満達成率は,100 mg群及び200 mg群でそれぞれ38.7~50.7%
及び31.4~53.3%であった.
表 2.5.4.3-3 併用療法におけるHbA1c変化量(%)(TA-7284-06試験)
グループ 投与群
被験 者数
投与前値 52週後の投与前値からの変化量1) 平均値 標準偏差 LSMean2) 標準誤差 SUグループ 100 mg群 124 8.18 0.99 -0.98 0.05
200 mg群 125 8.27 0.88 -1.02 0.05
グリニドグループ 100 mg群 65 8.25 0.91 -0.96 0.10
200 mg群 64 7.89 0.76 -1.03 0.10
α-GIグループ 100 mg群 62 8.02 0.84 -0.95 0.08
200 mg群 60 8.15 0.96 -1.13 0.08
BGグループ 100 mg群 72 7.87 0.75 -0.92 0.06
200 mg群 76 8.07 0.90 -1.00 0.06
TZDグループ 100 mg群 63 8.10 1.04 -1.08 0.08
200 mg群 62 8.22 1.09 -1.00 0.08
DPP-4グループ 100 mg群 71 8.19 0.85 -1.07 0.07
200 mg群 74 8.33 0.89 -1.23 0.06
併用グループ合計 100 mg群 457 8.11 0.91 -0.99 0.03
200 mg群 461 8.17 0.92 -1.06 0.03
SU:スルホニル尿素薬,グリニド:速効型インスリン分泌促進薬,α-GI:α-グルコシダーゼ阻害薬,BG:ビグアナイド 薬,TZD:チアゾリジン薬,DPP-4:DPP-4阻害薬.
1) last observation carried forwardを適用. 2) 投与群を因子,投与前値のHbA1cを共変量とした共分散分析モデルによる.
5.3.5.2―1 表11.4.1.1―1,表11.4.1.1―2より引用(一部改変)
表 2.5.4.3-4 併用療法における52週後のHbA1cコントロール目標達成率(%)
(TA-7284-06試験)
グループ
100 mg群 200 mg群
被験者数 HbA1c 6.9%
未満達成率1)
被験者数 HbA1c 6.9%
未満達成率1)
SUグループ 122 39.3 121 31.4
グリニドグループ 65 43.1 61 41.0
α-GIグループ 62 41.9 60 53.3
BGグループ 71 50.7 75 49.3
TZDグループ 62 38.7 61 47.5
DPP-4グループ 71 43.7 74 40.5
併用グループ合計 453 42.6 452 42.3
SU:スルホニル尿素薬,グリニド:速効型インスリン分泌促進薬,α-GI:α-グルコシダーゼ阻害薬,BG:ビグアナイド 薬,TZD:チアゾリジン薬,DPP-4:DPP-4阻害薬.
1) 達成率は,治療期間52週後にlast observation carried forwardを適用.
5.3.5.2―1 表11.4.1.3―1,表14.2―15より引用(一部改変)
2.5.4.3.2.2 空腹時血糖値 (1) 単独療法
単独療法における空腹時血糖値変化量を表 2.5.4.3-5に示した.
1) 第II相用量設定試験(TA-7284-04試験)
12週後における投与前値からの空腹時血糖値の変化量(LSMean)は,プラセボ群,50 mg 群,100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ -3.0 mg/dL, -24.7 mg/dL, -33.1 mg/dL,
-36.1 mg/dL及び -38.3 mg/dLであった.空腹時血糖値変化量のプラセボ群との差(LSMean)
は,50 mg群,100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ -21.7 mg/dL, -30.1 mg/dL, -33.1
mg/dL及び -35.3 mg/dLであり,カナグリフロジン群はすべての用量でプラセボ群に比して
有意な空腹時血糖値低下を示した(95%信頼区間の上限が0を下回った).
2) 第III相検証的試験(TA-7284-05試験)
24週後における投与前値からの空腹時血糖値の変化量(LSMean)は,プラセボ群,100 mg 群及び200 mg群でそれぞれ3.7 mg/dL, -31.6 mg/dL及び -31.9 mg/dLであった.空腹時血糖 値変化量のプラセボ群との差(LSMean)は,100 mg群及び200 mg群でそれぞれ -35.3 mg/dL 及び -35.5 mg/dLであり,カナグリフロジン群はいずれの用量においてもプラセボ群に比し て有意な空腹時血糖値低下を示した(いずれもp<0.001).
3) 第III相単独又は併用療法長期投与試験(TA-7284-06試験:単独療法グループ)
52週後における投与前値からの空腹時血糖値の変化量(LSMean)は,100 mg群及び200 mg 群でそれぞれ -24.3 mg/dL及び -31.1 mg/dLであった.
表 2.5.4.3-5 単独療法における空腹時血糖値変化量(mg/dL)
投与群 被験 者数
投与前値 治療期間終了時における投与前値からの変化量1)
平均値 標準 偏差
LS Mean2)
標準 誤差
プラセボ群との比較 LS
Mean2)
標準 誤差
LSMean2)の
95%信頼区間 p値3) TA-7284-04(二重盲検,プラセボ対照,12週間,FAS)
プラセボ群 75 170.7 31.9 -3.0 2.2 - - - - 50 mg群 82 161.4 34.6 -24.7 2.1 -21.7 3.1 (-27.8, -15.6) - 100 mg群 74 161.0 32.1 -33.1 2.2 -30.1 3.2 (-36.4, -23.9) - 200 mg群 75 165.94) 31.44) -36.1 2.2 -33.1 3.2 (-39.3, -26.9) - 300 mg群 75 169.1 34.2 -38.3 2.2 -35.3 3.2 (-41.5, -29.1) - TA-7284-05(二重盲検,プラセボ対照,24週間,FAS)
プラセボ群 93 163.0 32.6 3.7 2.7 - - - - 100 mg群 90 157.7 35.7 -31.6 2.8 -35.3 3.9 (-43.0, -27.6) <0.001 200 mg群 88 165.2 34.5 -31.9 2.8 -35.5 3.9 (-43.3, -27.8) <0.001 TA-7284-06(非盲検,52週間,FAS)
100 mg群 127 151.9 29.3 -24.3 1.5 - - - - 200 mg群 251 152.3 30.5 -31.1 1.1 - - - - FAS:最大の解析対象集団.
1) last observation carried forwardを適用. 2) 投与群を因子,投与前値の空腹時血糖値を共変量とした共分散分析モデルに よる. 3) 対比検定.nominal p値. 4) N=76.
5.3.5.1―1 表11.4.1―5,表14.2―8,5.3.5.1―2 表11.4.1.2.2―2,5.3.5.2―1 表14.2―11より引用(一部改変)
(2) 併用療法
併用療法における空腹時血糖値変化量(TA-7284-06試験:併用療法グループ)を表 2.5.4.3
-6に示した.
52週後における投与前値からの空腹時血糖値の変化量(LSMean)は,100 mg群及び200 mg 群でそれぞれ -37.4~ -27.7 mg/dL及び -41.0~ -30.9 mg/dLであり,いずれの薬剤との併用 においても空腹時血糖値低下が認められ,併用グループ間の空腹時血糖値変化量に大きな差 はなかった.
表 2.5.4.3-6 併用療法における空腹時血糖値変化量(mg/dL)(TA-7284-06試験)
グループ 投与群
被験 者数
投与前値 52週後の投与前値からの変化量1) 平均値 標準偏差 LSMean2) 標準誤差 SUグループ 100 mg群 123 160.2 40.2 -31.4 2.5
200 mg群 125 166.4 36.7 -33.6 2.5
グリニドグループ 100 mg群 65 171.0 36.4 -27.7 4.3
200 mg群 64 158.2 30.5 -35.8 4.4
α-GIグループ 100 mg群 62 153.6 31.0 -30.4 2.4
200 mg群 60 165.7 41.1 -36.8 2.4
BGグループ 100 mg群 72 155.2 32.6 -29.0 2.3
200 mg群 75 156.8 35.4 -32.9 2.2
TZDグループ 100 mg群 63 157.8 38.5 -34.3 2.3
200 mg群 62 157.3 34.9 -30.9 2.3
DPP-4グループ 100 mg群 71 167.7 35.2 -37.4 2.1
200 mg群 74 167.4 35.0 -41.0 2.1
併用グループ合計 100 mg群 456 160.9 36.6 -31.8 1.1
200 mg群 460 162.5 35.9 -35.0 1.1
SU:スルホニル尿素薬,グリニド:速効型インスリン分泌促進薬,α-GI:α-グルコシダーゼ阻害薬,BG:ビグアナイド 薬,TZD:チアゾリジン薬,DPP-4:DPP-4阻害薬.
1) last observation carried forwardを適用. 2) 投与群を因子,投与前値の空腹時血糖値を共変量とした共分散分析モデルに よる.
5.3.5.2―1 表14.2―11,表14.2―12より引用(一部改変)
2.5.4.3.2.3 負荷後2時間血糖値 (1) 単独療法
単独療法における負荷後2時間血糖値変化量を表 2.5.4.3-7に示した.
1) 第II相用量設定試験(TA-7284-04試験)
12週後の食事負荷試験における投与前値からの食後 2時間血糖値変化量(LSMean)は,
プラセボ群,50 mg群,100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ -11.0 mg/dL, -42.6 mg/dL, -47.0 mg/dL, -48.6 mg/dL及び -49.3 mg/dLであった.食後2時間血糖値変化量の プラセボ群との差(LSMean)は,50 mg群,100 mg群,200 mg群及び300 mg群でそれぞれ -31.6 mg/dL, -36.0 mg/dL, -37.6 mg/dL及び -38.3 mg/dLであり,カナグリフロジン群はす べての用量でプラセボ群に比して有意な食後 2時間血糖値低下を示した(95%信頼区間の上 限が0を下回った).