議 126
同年 7 月 5 日制定の「1年間,四季毎人頭税によって,援助金を陛下に譲与するための法 律」An Act for granting to His Majesty an Aid by a Quarterly Poll for One Year(9
&10 Will.Ⅲ,c.38 )である。
表7「人頭税一覧,1641-1698年」 課税の諸範疇[=課税対象,標準][税額,税率] 1641年6.181660年8.291667年1.181678年3.201689年5.11690年4.231692年3.141694年4.161698年7.5 人頭税人頭税人頭税人頭税人頭税人頭税四季毎人頭税四季毎人頭税四季毎人頭税 (1690見直し)(1693見直し) 基礎税率 1,成人(16歳以上)6d.6d.M1s.A1s.A1s.A*1s.4s.A4s.A4s.A M=既婚,S=独身,A=その他の課徴金への追加1s.S 2,子供(16歳以下)1s.1s.1s.1s.4s.4s.4s. 免除 1,施しを受ける成人×[=免除]×××××××× 2,教会・救貧地方税支払を免除される成人×××× 3,すべての子供×× 4,施しを受ける両親の子供××××××× 5,地方税支払を免除される両親の子供××××××× 6,農業日雇人と下僕の子供×××××× 7,4人以上の子供と元本価値£50以下の財産を持つ両親の子供×××××× 2倍税率 1,カトリックの国教忌避者○[=適用]○O O=忠誠等の宣誓をしない者 2,外国人○ 3,忠誠と至上権の宣誓をしない者○A ○G○G○G A=成人,G=郷紳以上 貴族 1,俗貴族£40£40£40 2,公爵£100£100£50£50£50£50 3,侯爵£80£80£40£40£40£40 4,伯爵£60£60£30£30£30£30 5,子爵£50£50£25£25£25£25 6,男爵£40£40£20£20£20£20 7,公爵の長男£60£30£30£30£30 8,侯爵の長男£50£25£25£25£25 9,伯爵の長男£40£40£20£20£20£20 10,子爵の長男£35£35£17.10s.£17.10s.£17.10s.£17.10s. 11,男爵の長男£30£30£15£15£15£15 12,公爵の次男£25£25£25 13,侯爵の次男£20£20£20 14,伯爵の次男£15£15£15 15,子爵の次男£13.6s.8d.£13.6s.8d.£13.6s.8d. 16,男爵の次男£12£12£12 勲爵士 1,準男爵又はバス勲爵士£30£30£15£15£15£15 2,下級勲爵士£20£20£10£10£10£10 郷紳 1,郷士(「1667年までは21歳以上;1678年から16歳以上)£10£10 B*£5£5£5£5 B= 法廷弁護士を含む 2,郷紳以上であるが貴族以下の者£4£4 3,以前又は現在の治安判事,州長官,副統監,庶民院議員等£5£4 E* E=元本価値£300以上の財産 4,元本価値£300以上の財産を持つ郷紳(16歳以上)£1£1£1£1£4£4 5,郷士以下の以前又は現在の長老議員£5£5 6,自然科学の博士£10£10£5£5£5£5 7,法律の博士£10£5£5£5£5£5
8,勅選上級弁護士£25£20£20£20 9,上級弁護士£20£20£15£15£15£15 女性 1,寡婦:前夫の地位等の3分の1×[=賦課]××E×E×E×E E=聖職者のそれを除く 2,寡婦:元本価値£1000以上の財産又は年£100以上の所得×× 3,未婚婦人:元本価値£1000以上の財産×× 財産 1,物的及び人的財産:年£5以上の年価値に対する累進税 1%~5%2% 2,人的財産:現金と債権の元本価値1%1%0.50%0.50% 3,人的財産:元本価値£300~£600£2 4,貴族を除き,物的及び人的財産:元本価値£600以上£4 聖職者 1,聖職貴族£40£40£40 2,大主教£50£50£50£50 3,主教£60£20£20£20£20 4,聖堂参事会首席司祭£40£10£10£10£10 5,聖堂参事会員£20£2.10s.£2.10s.£2.10s.£2.10s. 6,参事会員聖職禄£10£2.10s.R£2.10s.R£2.10s.R£2.10s.R R=£30以下に評価される単一聖職禄を除く 7,大執事£15£2.10s.£2.10s.£2.10s.£2.10s. 8,その他聖職保有者(£5) 9,聖職禄を持つ神学博士£5£5£5£5 10,次に値する2つ以上の聖職禄を持つ国教会聖職者£5 B£5 B£5 B£8 B£5 A A=年£150以上;B=年£120以上 11,次に値する1つの聖職禄を持つ国教会聖職者£5 C £2 C £1 F£4 E£4 D£4 E C=年£100以上;D=年£80以上;E=年£60以上;F=年£50以上 12,次に値する聖職禄を持つ国教会聖職者£1* G£4* G G=元本価値£300以上 13,次を持つ非国教徒の説教者又は教師£1* G£8 A A=年£150以上;G=元本価値£300以上 14,次を持つ非国教徒の説教者又は教師£1 H£4 H£4 D£4 E D=年£80以上;E=年£60以上;H= 所得制限なし 営業 1,フリーマンでないロンドン商人£5£10£10£10£10 2,ロンドンに住むイングランド没収財産管理人£2£2 3,ロンドンで年£30以上に値する家屋に住む小売店主,職人等 10s. 10s. 10s. 4,ロンドンで内科又は外科の開業者£2.10s. 5,広範なロンドン役職者,同業組合員等[20][22] 6,貿易商人と貿易商人ブローカー£4£4£4 7,元本価値£300以上の財産をもつ商人,店主,ワイン商人£1* A£2£2 A=細工人 外国人 1,外国人商人£10£10£10 2,騎士身分の外国人商人£40£40 3,海外貿易をする外国人商人£10£10 4,イングランドで営業する外国人商人£5£5 5,世帯を持つ外国人小売店主,職人等 5s. 10s. 6,ユダヤ人(1690年:16歳以上)£10 10s. 7,ユダヤ人商人£20 8,ユダヤ人ブローカー£5 役職 1,年£10以上を受ける国王役職保有者(王室下僕除く)£10£10 2,年£20以上の国王からの年金受領者 15% H15%15%5% H=所得制限なし
3,(軍務を除く)公的役職,雇用等からの所得10%5% 4,月毎査定税を課税される役職保有者等の所得3.33%5% 5,月毎査定税を課税されない役職保有者等の所得10%15% 6,法律家等及び医者の所得6.67%10%15%15% 7,広範な種々の法的及び関連する役職保有者[27][55] 8,種々の法律家と法的役職保有者等£1*£4£4£4 その他 1,下僕貨幣賃金(食事と部屋を含まない)5%5% 2.5% V V=年£3以下 2,下僕貨幣賃金:年£3以上5% 3,東インド・ギニア会社株式の元本価値1% 2% H 2% H H=及びハドソン湾会社 4,ニューリバー会社株式の年価値10% 10% O O=及びその他の3つの水道会社と1つの印刷会社 5,民兵のための馬と騎手を調達する者£4£4£4 6,民兵用馬を調達しないが,四輪馬車又は二輪馬車を維持する者£4£4£4 7,各貸し馬車 10s.£5 S S= 又は駅馬車 *=見直し法等に含まれる。 [T.Arkell,“An Examination of the Poll Taxes of the Later Seventeenth Century,the Marriage Duty Act and Gregory King”,in Surveying the people : the interpretation and use of document sources for the study of population in the later seventeenth century,edited by Kevin Schurer and Tom Arkell, 1992,pp.144-151,等より作成。]
述するように,調達するべく意図された]£ 1,341,700 に達しないならば,両陛 下又は彼らの命令によって財務府が借入によって不足額を埋め合せてもよい」 こ と,「このような借入が財務府の信用一般に賦課される」ことを規定し,続いて
第 XXXII 条 「このような借入と年間7%の利子が次 [年度] の援助金から返済され
る」ことを規定している。
この四季毎人頭税の結果は, [意図された£ 1,341,700 との対比でいえば,僅 かに] 実に£579,178.11s.2.5d.
149) のみであり,こうして次年度には新たな援助 金又は借入方策が検討=提案されてくるのである
150) 。
(5)第 2 議会第 4 会期( 1692 年 11 月 4 日~1693 年 3 月 14 日) : 1693 年度 予算審議
さて, 当該期予算審議の完成期と想定してきた 1693 年度予算審議については,
勅語に続く歳出予算の提出, それに基づく1 年間を限度とする援助金譲与関連の 諸法案の審議という,これまでの予算審議が集大成されてくるのみならず,その 過程で貴族の自己課税権について最終的決着がつけられるとともに, 新たに国債 が創設されてくるので,幾分立ち入って,検討していきたい。
< 勅語での庶民院への議定費要求,対フランス戦争遂行議定費の議決, 3 軍事 歳出予算の同一日提出,海軍・陸軍議定費の議決 >
1692 年 11 月 4 日,貴族院での会期開始の「勅語」のなかで,国王は, 「貴族
と庶民院議員達」に向って, 「現戦争遂行のために諸君が与えた多額の議定費に 感謝する」とともに, 「諸君の助言と援助によって,フランスの過度の支配力に 対してわれわれの共通の利益を支持するために最も適切であるような措置をと りたい」旨を表明したのち, (庶民院議員のみに向って) 「次の作戦に備えて,フ ランスは非常なる努力により海上での損失を回復しつつあり, また地上軍をかな り増加するべく企図している;このことは,われわれの安全のために,われわれ が昨年有したのと少なくとも同じほどの軍隊を海上と地上で維持することを絶 対的に必要としている:それ故に,私は,あなた方,庶民院議員達に,このよう
149
) Cf. A.Browning,ed.,
op.cit.,p.340.150
) なお,1692年度予算審議過程においては, 「抗命処分法」は制定されていない。
に非常に大きな要求に適した議定費を求めねばならない」と,求めた。加えて,
「王国から海外での軍隊の支払のため多額の金銭を送る不都合さは実にかなり のものである;またそれが除かれることを欲するので,もしも諸君がこの不都合 を軽減する,軍隊援助のための方法を提言しうるならば,当然にも満足してそれ を受ける用意がある」旨をも表明した。
このように「勅語」での国王による「庶民院議員達」のみに向っての議定費要 求が改めて導入され,以後これが慣例化してくるのであるが,これに対して庶民 院は改めてどのような対応をしてくるのであろうか。順次検討していきたい。
まず,このような勅語を受けて, 10 日,庶民院は,特に「陛下のすべての敵 に対して,本院が常に政府を支持して助言し援助すること」を表明する「勅語奉 答文」 Address on the King's Speech を全院一致で決議した。続いて,15 日,
「強力な対フランス戦争遂行のため,議定費が両陛下に譲与される」旨の動議が 出され,これに基づく全院委員会審議後,その報告を受けて, 22 日,本会議は,
「強力な対フランス戦争遂行のため議定費が両陛下に譲与されること」 を決議し,
続いて「陛下が海軍と地上軍に関連して 1693 年度のための軍事計算書 a State
of the war を本院に提出すること」を命じるのを求める上奏文が,枢密院議員
であるような本院議員によって提出されることを決議した。
この庶民院からの上奏=要求に基づいて, 25 日, 「海軍歳出予算」として,フ ォークランド Lord Falkland が王命により, 「 1693 年度のための海軍費用の歳出 予算」を提出した。これを集計して表示したのが表 8 -1 「海軍歳出予算: 1693 年度海軍費用の歳出予算(£) 」である [合計£ 2,077,216〕 。また「陸軍歳出予算」
として,ラネラが王命により, 「 1693 年度の軍務のためイングランド,スコット ランド,そして海外で維持することが必要であると陛下が考える地上軍の目録」
を提出した。これを,覚書での追加を含めて集計して表示したのが表 8 ―2 「陸
軍歳出予算:1693 年度地上軍の目録,及び将官等」である[合計£ 2,127,851〕 。
本会議は両予算である「前記歳出予算と目録」を全院委員会に付託することを命
じた。続いて, 「兵站部歳出予算」として,リトルトンが王命により, 「1693 年
度のため兵站部での軍事費用の歳出予算」を提出した。これを集計して表示した
のが表 8- 3 「兵站部歳出予算: 1693 年度兵站部軍事費用の歳出予算」である[ 合
計£739,886〕 。本会議はこの「前記歳出予算」も全院委員会に付託することを命
表 8 「 1 6 9 3 年 度 軍 事 歳 出 予 算 」 表8―1「海軍歳出予算:1693年度海軍費用の歳出予算(£)」 通常歳出予算の費用 100,000 1人1ヶ月£4.5s.で,13ヶ月間,海上で船舶に仕える33,010人のため,賃金,糧食,摩損と兵站部備品の費用 1,823,802.10s. 各々1ヶ月£40で,9ヶ月間,主要艦隊に付随する30隻の賃貸ケッチの運送,糧食,賃金のため 8,400 各々1ヶ月£300で,5隻(うち4隻は7ヶ月間,主要艦隊に同行する,また他の1隻は13ヶ月間,西インド小艦隊に 同行する)の賃貸病院船の運送,糧食,賃金のため 12,300 プリマス近くのヘイマスの海軍置場に士官用住宅,備品家屋,仕事場を建築し仕上げ,また前記置場を壁で 囲む等の費用 23,406 各々£2,727で,4隻の爆弾船を建造する費用のため 10,908 1693年のための2つの海兵連隊の費用のため 30,000 各々£8,550で,各48砲の4級船を8隻建造し艤装し,8ヶ月間水夫長,営繕係,海上備品の費用 68,400 合計 2,077,216.10s. 表8―2「陸軍歳出予算:1693年度地上軍の目録,及び将官等」 隊 数 人 数 年 間 賃 金 騎兵 合計 119 8,130 £471,569. 7s.1d. 竜騎兵 合計 36 2,480 £100,253. 6s.8d. 歩兵 合計 656 43,952 £876,909.12s.10d. 総計 811 54,562 £1,448,732. 6s.7d. 覚書:上述総計に加えて,次が必要である 将官のため等,合計 £679,119.13s.1と1/2d. 上記目録と前述の総計 £2,127,851.19s.8と1/2d. 表8―3「兵站部歳出予算:1693年度兵站部軍事費用の歳出予算」 海上サービスのため,合計 £419,811.19s. 1と1/2d. 地上サービスのため,合計 £320,075.10s.11d. 総計 £739,886
じた。以上の 3 軍事歳出予算の合計は実に£ 4,944,953 という巨額に達すること に留意しておきたい。
このような議定費の審議に先立ち,前年度関係の審議のため,収入面について 本会議は,同日, 「[ 前会期の] 人頭税 [法 ]に基づく借入」について, 「大蔵委員会 が人頭税に基づいて調達,及び借入れたものを本院に提出すること」 ,また「収 入等」について, 「大蔵委員会が歳入の計算書を本院に提出すること( またそれに よる,またそれに対する,借入,負債と年金とともに) 」を命じ,そして 29 日,
提出された「諸会計の審議」をも全院委員会に付託した。
続いて言及しておくならば,このような全院委員会審議の報告をうけて, 12 月 3 日,本会議は「 [前会期の]四季毎人頭税法によって調達することが意図さ れた£1,341,700 の金額を埋め合わせるため[借入られた]£ 750,000 の金額を 超えない金額が両陛下に譲与されること」を決議し,こうして翌 1693 年 2 月 22 日, 「議定費法案:人頭税」として「四季毎人頭税を見直すための法案」が提出 され,3月 8 日,庶民院を通過し,また 10 日,修正なしに貴族院も通過し,こ うして 3 月 14 日,「現議会の昨年の会期に陛下に譲与された四季毎人頭税の見 直しのための法律」
151同法は,借入関係条項としての第V 条「もしも本法下に支払われる金銭が[ 意 図される]£ 300,000 に達しないならば」では「財務府が財務府の信用一般に基 づいて不足額を借入れてもよい」旨を規定し,続いて,第 VI 条「そのように借 入れられる金銭は 3 ヶ月毎に年間 8 %の利子を受け,それは次[ 年度]の援助金 から返済される」ことを規定している。今や,借入には従来の7%ではなく,ヨ リ高い 8 %の利子が必要になっていた。
) として成立したのである。
さて,議定費について, 12 月 1 日,本会議はさらに「海軍委員会が1693 年度 のために雇用されるような船舶の目録を本院に提出すること」を命じ,これを受 けて 3 日,フォークランドが「 1693 年度に海上で雇用される船舶の数と等級の 会計」を提出した。
議定費のうち,まず海軍議定費ついては, 2 日,全院委員会審議の報告を受け て,本会議は「強力な対フランス戦争遂行のための議定費の1部として, 1693
151) An Act for Review of the Quarterly Poll granted to Their Majesties in the last Session of this present Parliament(4 & 5 Will.& Mary,c.14).