後注
2. 最低賃金の役割とは何か?
1. どのような賃金決定方法が同一報酬に
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第6部 賃金の決定と同一報酬
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低賃金の設定とその執行は、条約適用の重要な手段である。最低賃金は、
適切な水準に設定され、定期的に見直され、調整されるのであれば、男 女間の賃金格差の縮小に貢献することを複数の研究が示している。
イギリスの低賃金委員会は、1970 年の同一報酬法以来、男女間賃金格差を縮小 させる上で、最低賃金が女性の賃金に最も大きな影響を与えた、と結論づけた45。 2009 年、イギリスでは、最低賃金が払われる仕事に従事する労働者の 3 分の 2 を女性が占めていた46。OECDの研究では、賃金表の底辺に位置づけられる仕 事には女性が多いため、最低賃金は、男性と女性の賃金の開きを削減するとさ れている47。
最低賃金決定条約(1970 年、第 131 号)及びこれに付随する第 135 号勧告は、
最低賃金の設定に指針を提供している。勧告は、最低賃金を設定するための賃 金決定制度として、以下を挙げている。
法令
権限をもつ当局の決定(他の機関からの勧告を考慮する公式の条項がある かないかを問わない)
賃金委員会・評議会による決定
労働委員会、労働裁判所等
労働協約の条項に対する法的効力の付与
男性と女性で異なる賃金率を設定することは第 100 号条約で明確に 禁止されている。仕事に従事する者の性別を示す職業の呼称(例えば「家 政婦」や「バーテンダー」)も、その仕事には女性又は男性が就くべき であるという固定観念を強めてしまうため、避けられるべきである。そ のような固定観念を避けるためには、ジェンダーに中立的な用語を使う べきである。
産業部門や職業により最低賃金が設定されている場合には、女性が支 配的な部門や職業における差別的な過小評価を査定し是正すべきであ る。また、そのような差別が将来的にも起こらないようなメカニズムも 構築されるべきである。女性による仕事が過小評価される傾向が続く と、ジェンダーの固定観念が、そのような職業や産業部門では実際に行 われた仕事の価値を反映していない最低の賃金率の支払いにつながる。
男女同一価値労働に対する同一報酬は、例えば、客観的基準に基づい て職務内容を分析・比較すること等により、最低賃金の決定過程全体を 通じて考慮される事項としなければならない。
家事労働者:最低賃金を確保する
家事労働は、あらゆる労働市場において最も賃金の低い職業の一つである。
これは、家事労働者の教育水準の低さに一因があるともいえるが、ジェンダー に基づく過小評価や賃金差別も影響している。ILO の最近の推計によれば、世界の家 事労働者の 83%は女性である。
家事労働は、例えば掃除、料理、買物、洗濯、子どもや老人など世話をする必要のあ る家族のケアなど、伝統的に女性が家庭内で無給で担ってきた仕事を広く含んでい る。家事労働の過小評価は、これらの仕事をするのに必要な技能や能力は経験や OJT により習得したものではなく、生来のものであるという固定観念のせいで、報酬が決 定される際にこうした技能や能力が適切に認識されていないことが、原因となってい る48。
労働組合組織率の低さや交渉力の弱さを考慮すると、家事労働者の低賃金及び関連す る賃金差別に取り組む上で、最低賃金の設定が適切な方法であると認識して、家事労 働者条約(2011 年、第 189 号)は、「最低賃金制度が存在する場合には、家事労働 者が当該制度の適用を受け、及び報酬が性による差別なしに定められることを確保す るための措置をとる」(第 11 条)ことを求めている。
チリでは、2011 年 3 月 1 日から、家事労働者に国の最低賃金が適用されるようになっ た。これは、従来、一般的な賃金率の 75%に設定されていた家事労働者の最低賃金が、
次第に高くなったことにより達成された。
ポルトガルでは、家事労働者に適用された最低賃金率が徐々にアップし、2004 年に は初めて全国共通の単一最低賃金が設定され、家事労働者の賃金率が他の職業の賃金 率と同列に扱われるようになった。
スイスでは、政府の事前調査により、家事労働者の報酬と、家事労働と同様の特徴や 資格が必要な部門の賃金を比較すると、8.8%の賃金格差について、年齢や教育など 客観的で目に見える特徴によって説明することができないことが明らかとなった。そ の結果、2010 年には、家事労働者に対する部門別最低賃金が連邦レベルで導入された。
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