• 検索結果がありません。

2.16 試験及び検証に関する情報

2.16.5 映像等からの飛行経路の検証

事故当日、同飛行場周辺で撮影された複数の映像に同機の飛行の状況が記録され ていた。これらの映像資料の撮影された場所を図2.16.5.1に、一覧を表2.16.5.1に 示す。

図2.16.5.1 映像の撮影場所

表2.16.5.1 映像資料の一覧

撮影場所 映像の種類 略称

ターミナル展望デッキ ビデオカメラ手持ち OBS

調布基地跡運動公園E2野球場 ビデオカメラ固定 E2 大沢総合グラウンドソフトボール場C面 ビデオカメラ固定 SC 大沢総合グラウンドソフトボール場D面 ビデオカメラ固定 SD

滑走路35進入端監視カメラ 固定・映像のみ R35

市民西町サッカー場 ビデオカメラ手持ち NS

主に機内 静止画・GPS情報付 SP

以下、映像資料については略称を使用する。

(1) OBSの映像

OBSの映像から、離陸滑走時の同機の状況を図2.16.5.1(1)に示す。

時刻 同機の状況

10時57分35秒

10時57分36秒

10時57分37秒

10時57分38秒

図2.16.5.1(1) 離陸滑走時の同機(OBS)

(2) R35の映像

R35の映像から、離陸上昇中の同機の状況を連続写真としたものを写真 2.16.5.1(2)に示す。

(3) SCの映像

SCの映像から、飛行中の同機の状況を連続写真としたものを写真2.16.5.1 (3)-1に示す。また、墜落30秒後の黒煙の状況を写真2.16.5.1(3)-2に示す。

写真2.16.5.1(3)-1 飛行中の同機(SC)

写真2.16.5.1(3)-2 黒煙の状況(SC)

(4) SDの映像

SDの映像から、飛行中の同機の状況を連続写真としたものを写真2.16.5.1 (4)に示す。

写真2.16.5.1(4) 飛行中の同機(SD)

写真2.16.5.1(2) 離陸上昇中の同機(R35)

2.16.5.2 離陸滑走中の速度

離陸滑走中の速度履歴をOBS、SP、E2の各映像等から求めた。これらの映像は撮 影点が判明していたので、映像に映っている地上目標物との比較などから時刻と対

) 地速度を求めた。映像から求めた対地速度から、風速を0として真対気速度(TAS を求め、さらに、気温34℃、気圧29.84inHgとして真対気速度から較正対気

、 速度(CAS)を推算した。飛行中の速度についても、同様の方法で推算した。なお 本報告書では較正対気速度を速度として表記した。求めた速度を図2.16.5.2に示す。

図2.16.5.2 離陸滑走時の推算した対地速度及び速度

2.16.5.3 離陸後の高度と速度の変化

撮影時の画角やレンズのゆがみ、撮影方向などを、撮影場所からの測量によって 計測した。南北方向の飛行経路はR35の映像から推算した。次にSC及びSDの映像か ら時刻ごとの位置と高度を推算した。SCとSDの時刻は、墜落音が記録された時刻に 対して、墜落位置と映像記録位置の間の距離に伴う音の伝搬遅れを加味して同期し

。 た。SDとR35は離陸直後の映像が含まれていたため、推算された位置から同期した SCとSDから推算した対地速度を図2.16.5.3-1に、高度を図2.16.5.3-2に示す。推算 された対地速度は振動的であるが、これは映像上の同機の大きさが小さく不鮮明で あるため、機体の参照点がずれることによる影響が含まれる。また、図2.16.5.3-1 には機内で撮影された写真に記録されていた速度(スマートフォンのGPSによる 対地速度)も記載している。

図2.16.5.3-1 離陸後の対地速度の変化

図2.16.5.3-2 離陸後の高度の変化

以上の解析結果を統合して、事故当日の同機の飛行の速度、高度及びピッチ姿勢 角を時刻に対して再構成した。これを図2.16.5.3-3に示す。また、距離に対して再 構成した速度及び高度を図2.16.5.3-4に示す。

図2.16.5.3-3 再構成した同機の速度(CAS 、高度及びピッチ姿勢角)

図2.16.5.3-4 再構成した同機の速度(CAS)及び高度

*3 音響解析ソフトウェア

Chris Cannam, Christian Landone, and Mark Sandler, Sonic Visualiser: An Open Source Application for Viewing, Analysing, and Annotating Music Audio Files, in Proceedings of the ACM Multimedia 2010 International Conference.

2.16.5.4 推定飛行経路

推定飛行経路に同機の機内から機外を撮影した画像及びそれらの画像の撮影時刻 を併せて、図2.16.5.4に示す。

図2.16.5.4 推定飛行経路

(別添1 同機の機内から撮影された写真(右主翼、フラップ等) 参照)

2.16.5.5 離陸前点検の音響解析

映像E2に離陸前点検時の音が記録されていた。これを音響解析ソフトウェアであ るSonic Visualizer を使って周波数分析し、ピーク周波数を図2.16.5.5に図示し*3 た。この音響の変化は、飛行規程に規定されている点検手順に従ったときに発生す る音響の変化と一致していた。

2.16.5.6 飛行中の音響解析

飛行中の音響は複数の映像に記録されていた。これらを周波数分析したところ、

プロペラ音及びエンジン音が識別でき、これらの周波数を求めることができた。図 2.16.5.6にその例として映像SDに記録されたものを示す。プロペラ音の周波数は約 82Hzであった。同機のプロペラは2枚ブレードであることから、回転数を計算に より求めると約2,460rpmであり、顕著な変動は観測されなかった。また、エン ジン等の異常を示す音も観測されなかった。

飛行中の音響には、雑音及び反射音等が含まれており、本音響解析ではそれらの 雑音及び反射音並びに同機の移動によるドップラー効果の影響については考慮して いない。

図2.16.5.6 飛行中の音響(SD)

2.16.5.7 同機の機内で撮影された画像からの計器情報等の読み取り (1) 吸気圧力計と燃料流量計の情報

同機の機内で撮影された画像から、吸気圧力計と燃料流量計の一部を読み 取ることができた。この画像を拡大したものを図2.16.5.7(1)に示す。

図2.16.5.5 離陸前点検時の音響(E2)

図.16.5.7(1) 同機の機内で撮影された吸気圧力及び燃料流量計

これらの読み取り結果によると、離陸滑走中(10時57分29秒)の吸 気圧力は約40inHg、離陸後、脚上げ中(10時57分53秒)の吸気圧力 は約39inHgであった。

(2) TIT計の情報

上記(1)で記述した吸気圧力計と燃料流量計が写されていた同じ画像から TI T 計の 値 を 読み取 る ことが できた。 この画 像を拡 大した ものを 図 2.16.4.7(2)に示す。

図2.16.5.7(2) 同機の機内で撮影されたTIT計

これらの読み取り結果から、離陸滑走中(10時57分29秒)のTIT は約980 F、離陸後、脚上げ中(10時57分53秒)のTITは約o 1,010 Fであった。o

吸気圧力及び燃料流量計 10時57分29秒 10時57分53秒

10時57分29秒 10時57分53秒 TIT計

TITはターボチャージャーの入口温度であり、エンジンの排気温度に相 当する。同機の飛行規程では、TIT計に1,200 Fから1,750 Fの範囲o o が常用運用範囲として緑色弧線で、1,750 Fが最大値として赤色放射線o で示されており、限界事項として最大値1,750 Fが記載されているが、o 下限については規定されていない。同型式を使用して行った飛行試験では、

最大出力時には1,400 F前後を示していた。o (3) 脚警報

上記(1)及び(2)で記述した 10時57分29秒の画像に おいて、脚上げ作動中を示す 脚警報は点灯していなかった が、10時57分53秒の画 像では脚警報が点灯していた。

(別添2 機内で撮影された 写真(計器板等) 参照)