訪問日時 平成19年10月15日(月)13:30 〜 15:30 場 所 日清紡績株式会社 本社
応対者 燃料電池事業部
1. PEFC 関連の取り組み概要
① 愛知県岡崎市の美合工場の生産ラインで,主に定置用 PEFC のカーボン樹脂コンポ ジットセパレータの生産を数十万枚/年の規模で行っている。定置用のみでも事業化レ ベルに近付きつつある。
② 自動車用PEFCのセパレータについても研究開発を進めている。
③ カーボンセパレータへの研究開発資源の投入は継続して進めている。
2.カーボン樹脂コンポジットセパレータについて
(1) 生産状況・価格見通し
① 美合工場の稼働率としては,昨年度まではおおむね順調に一定の稼働率で生産を続け てきたが,NEFの大規模実証事業の期間が1年間延期された影響もあって,現状では,
稼働率がやや落ちている状況にある。
② 生産方法は,カーボンにコンパウンドを混ぜて通常のプレス成形で行っている。1 分 で1枚以上の生産は,簡単ではないが,やれそうだという感触を持っている。
③ 価格見通しとしては,原材料となるコンパウンドの投入を自動化するなどにより,1 枚200円(バイポーラではこの2倍)は可能と考えている。しかし,現状では,大きさ,
形状,溝の深さ,流路パターン等の異なったセパレータを何種類も作製しているので,そ れらセパレータ仕様の標準化等により,種類の削減・集約をしていく必要がある。
(2) 技術課題・開発状況
① 薄さに関しては,0.15mmを達成,ほぼ技術的な限界に達し,これ以上の薄さは必要 ないというところまできている。今後の課題は信頼性の向上である。
② 信頼性に関しては,今後さらに工程能力を上げ,2 桁のオーダで不良率を下げていく 必要があるが,その達成の見通しはある。現状では全数を検査して不良品をチェック している状況にあり,最終的には全数検査が必要のない段階にまでもっていきたい。
③ 耐久性に関しては,数万時間の運転実績もあり,また現状ではMEAが先に劣化して いる状況にあり,問題ないと考えている。炭化水素系,フッ素系といった膜のタイプ との相性についても,本質的には同様と考えている。
④ 1枚のセパレータを金属製セパレータと同様の波状形状にしたコンポジットセパ レータの開発を NEDO と共同研究を行っている。これは自動車用途を目指したもの である。NEDOの支援には,本当に感謝している。定置用では耐久性とコストが優先 され,現状ではほとんど採用されていない。波状形状の場合は,作りにくい部分があ るため,信頼性向上とコスト削減のハードルが高い。最終的に厚さ 0.2mm のものが 製造可能と考えている。
(3) 取引先・競合企業・市場動向
① セパレータの供給先は,8〜10社程度であり,売上的に国内が8割,海外が2割といっ た状況である。
② 現状では,収益を上げるところまできていないが,事業化のレベルに近づきつつある。
2010 年度くらいまでを目途に回収できればと期待している。現状,定置用 PEFCを 中心としたセパレータの供給だけでも回収は可能と考えている。わが国において,当 社と同様のカーボン樹脂コンポジット製セパレータを生産している企業としては,サ ンプル品を提供できる企業はあっても,数十万枚のオーダで生産が可能な企業は当社 以外にはほとんど無い状況と考えている。
③ 自動車メーカでは,金属製セパレータを志向しているところが多いと理解している。
カーボン製が金属製と比較してもろい性質があることから,品質保証がしにくく,自 動車メーカはカーボン製を嫌う傾向にある。ただし,こうした自動車メーカもカーボ ン製の可能性を完全に捨て去ったわけではなく,並行して研究を進めていると考えて いる。
④ 当面,定置用が先行することから,ガス会社と石油会社の動向が当社の事業を大きく 左右すると考えている。
(4) LCAについて
① カーボンセパレータの原料となる黒鉛には人造黒鉛と天然黒鉛がある。人造黒鉛で は,原材料を高温で焼成する工程が入るため,LCA的にみてエネルギー消費量が大き くなり金属製セパレータに比べて不利となる可能性がある。ただし,カーボン樹脂コ ンポジット製セパレータはリサイクルが可能であり,それを加味すれば不利とならな くなる可能性がある。100%のリサイクルは不可能であるが,樹脂部分を焼いて一旦 黒鉛原料に戻し,再利用することが考えられる。
② 薄さを追求すると天然黒鉛の利用は難しくなるが,家庭用などでそれ程性能にこだわ る必要が無ければ,コスト的にも有利な天然黒鉛を用いることできる。この場合にも,
LCA的に不利にならないと考えている。
3.その他
NEDO の支援を受け,ハイブリッド車用のエネルギーバッファとして用いられる電気二 重層キャパシタの事業化に向けた取り組みを行っている。自動車メーカや部品メーカとも 4,5種類の製品の共同開発を行っている。順調に進んでいる。
4.国プロへの参画状況
① NEDOの「固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発」の中の「実用化技術開発」
プロジェクトにおいて,平成17年度より「高強度な波板形状セパレータの研究開発」
を実施している。
② 昨年度までの2年間,JSTのプロジェクトとして「ハンドリング性に優れた燃料電池 セパレータの研究開発」に参画していた。
③ 昨年度から5年間の予定で,NEDOの「電気二重層キャパシタに関する研究開発」プ ロジェクトを実施している。5年間で10億円の規模である。
5.国への要望
① 従来から強度などの測定方法の統一化を図って欲しいと願っている。しかし,各社,
根本的な考え方が異なり,統一化することは極めて困難とは思っている。
② 米国のZEV規制が電動車両の普及に大きな役割があったことを踏まえると,わが国 でもそうした規制的な施策の導入を検討しても良いのではと考えている。例えば,コ ンビニが災害時において救援拠点として期待できることなどを考えると,コンビニに FC等の分散電源の導入を義務付けるなどの施策があっても良いのではないか。
以上