4. 1目的と方法
日中で生じている知財問題を将来は減らす、更にはなくしていくために、日 中の知財権の体系や知財教育の現状調査等を踏まえて、日中で共に学べる知財 に関する授業を提案する。共通の授業を行うことで共通の知財意識を持つこと によって、相互の理解が深められると考えた。
授業は、日中双方の発明等を取り入れた授業とする。お互いに相手の国で生 まれた知財を日常から利用していること、また同じ授業が相手の国の学校でも 共通に実施されていることを知ることで、共通意識を持たせることができると 考えた。
4.2日中で共通に実施できる授業の構想、
4.2.1授業の目標
児童生徒が身の回りに存在する発明物に気付き、日常生活で様々な知財が含 まれていることを意識して、他人の知識や考え方を尊重するとともに、課題を 発見し、更に生活に役に立つものを創造できるようになることを目的とする。
授業の目標を箇条書きにしたものを以下に示す。
①身近な発明をきっかけにして知財に興味を持ち、知る。
②知財は身の回りに存在することを理解し、知財への意識を高める。
③知財の必要性を理解し、他人の知財を尊重するとともに自ら創造できるよう になる。
④知財に国境がないことを理解する 4.2.2授業構成
早い段階から知財を教え、意識させるのはよいが、日中の知財教育の現状か ら考え、中学生向けを意識した日中で共通に実施できる授業の構想、を考えた。
授業の構成を以下に示す。
I身近な発明から知財を知る
… …
1時間I I
知財の必要性を理解する… …
1時間I I I r
発明 jへの挑戦… …
2時間授業は全体で 4時間で、日中で共に行う授業としては主にし 2時間目(1、
I I
の構成)の授業構成で、残りの 2時間( I I I
の構成)の授業については発明コンテストに応募するなどもっと時間をかけて実施している学校であればそれに変え ても良い。
4.2.2. 1 1身近な発明から知財を知る
i
1身近な発明から知財を知る jの 1時間目の授業では、中国の紙作りや花 火の発明と日本のインスタントラーメンの発明を題材にし、クイズの形式で興 味を引き出し、紙作りと花火の発明クイズを行う。これにより紙作りや花火が 最初は中国で発明されたが、現在は日本でも使っているし、インスタントラー メンは日本で発明されたが、中国でも一般に食べられていることから、発明は 国境を越えて利用し合っていることを理解させる。そして、日本と中国での「発明」の概念について説明をし、紙が発明される までの歴史の説明から新しい発明物が出てくるまではそんなに簡単なことでは なく、沢山の人の努力や知識の結晶であるということを理解し、他人の知財を 尊重する意識を持たせる。続いて、白い紙の利用を工夫するグループワークを 行う、発明発見シートを使い、発表し合うことで意見を共有するようにする。
発明と言うと一般的なイメージはエジソンの電球やライト兄弟の飛行機等の偉 大な、程遠い感じになりがちであるが、ちょっとした工夫や考え方・見方でも 発明になることに気付き、生活を観察し、洞察力を磨けば誰でも発明できると
いう意識を持たせられると考えた。
4.2.2.2
n
知財の必要性を理解するin
知財の必要性を理解する」の 2時間目の授業では、まず、知財には発明 物、著作物、デザイン、ロゴマーク等があることを説明し、車を例に挙げ、含 まれている知財内容を考えさせ、発表させる。このような無形の知財も貴重な 財産で、法律に守られ、権利が与えられている事を説明する。これは知財とい い、主に産業財産権と著作権の 2種類に分けられることを理解させる。次に、「西 遊記jの「孫悟空と悪魔から化けた偽の孫悟空 jの場面から身の回りの模倣品 について考えさせ、紙コップの模倣品が出回った例で、模倣品の善し悪しを考 えさせる。このような関連の事例を通じて、知財を尊重、保護する必要性を理 解させるようにした。また中国の iPhoneの模倣品と、中国の天津には「天津飯」というものは存在 しないにも関わらず、日本で「天津飯
J
と料理名に中国の地名が無断で使われ いる例を挙げ、知財問題は国際的な問題であることを示す。32
4 . 3
本章のまとめ本章では、日中で知られている、身近な発明物を題材にし、「西遊記