6.2.1 2次元TLDと2次元TLリーダ
2次元 Al2O3:Cr TLD (Chiba Ceramic MFG. Co. Ltd.) は、各辺が80 mm、厚さ0.7 mmのも のを使用した(図1)。Al2O3:Cr TLDは>99.5wt%のAl2O3に0.05 wt%のCr2O3を添加したもの で、実効原子番号と密度はそれぞれ11.14と3.7 g/cm3である。順天堂大学医学部附属順天堂 医院の放射線治療装置 (TrueBeam® radiotherapy system, Varian Medical Systems) からの4, 6,
10 MV X線ビームを使用して、2次元 Al2O3:Cr TLD は照射され、冷暗所での24時間保管
後、首都大学東京の2次元TLリーダで読み取られた。9枚の2次元 Al2O3:Cr TLD を使用 して、各照射条件において3回の測定を行った。
図6.1 2次元Al2O3:Cr TLD (80 mm × 80 mm × 0.7 mm).
6.2.2 TL画像分析
TL 画像はオープンソースの画像処理ソフトウェア ImageJ (1.48v)58) を使用して補正処理 及び分析された。各TL応答は照射野の中心における、レファレンスの電離箱線量計 (CC13,
IBA Dosimetry, Germany) の有感領域の長さと同じ、直径5.8 mmの円形領域の平均値とした。
6.2.2 線量応答測定
2次元Al2O3:Cr TLD に対するMV X線のエネルギーの影響を評価するために、4, 6, 10 MV
X 線ビームの線量応答測定を実施した。TLDは、全散乱固体水ファントムを使用して SSD
90 cm、10 cm深の基準条件に設置された。照射野サイズは10 cm × 10 cmとした。各測定に
おける線量は、各エネルギーにおいて、Dw = 100, 200, 300, 400, 500 cGyとした。
6.2.3 照射野サイズ依存性測定
2次元 Al2O3:Cr TLDに対する照射野サイズの影響を評価するために、4, 6, 10 MVのX線 ビームに対するOPF測定を実施した。図6.2に照射野サイズ依存性の測定の幾何学的配置 を示す。TLDはSSD 90 cmで全散乱固体水ファントムを使用して、10 cm深に設置された。
正方形照射野の一辺は3, 4, 5, 7, 10 cmとした。各測定における線量は250 MUで、全てのエ ネルギーのX線に対するDwはAl2O3:Cr TLDの線量直線性の範囲内とした。基準値は電離 箱線量計 (ion chamber: IC) を使用して水中で測定された。
図6.2 2次元Al2O3:Cr TLDの照射野依存性測定の照射体系
6.2.4 深さ依存性測定
2次元 Al2O3:Cr TLDに対する水の深さの影響を評価するために、4, 6, 10 MVのX線ビー ムに対する深部線量測定を実施した。図6.3深さ依存性の測定の幾何学的配置を示す。TLD は、SSD 100 cmで全散乱固体水ファントムを使用して、0, 2, 4, 7, 10, 15 cmの6つの深さに 設置された。正方形照射野の一辺は10 cmとした。各測定における線量は250 MUで、Al2O3:Cr TLDの線量直線性の範囲内とした。基準値はICを使用して水中で測定された。
図6.3 2次元Al2O3:Cr TLDの深さ依存性測定の照射体系
6.2.5 線量分布検証
光子線治療における2次元Al2O3:Cr TLDの線量分布検証への実現可能性を確かめるため に、日本赤十字医療センターの放射線治療装置 (Clinac® iX system, Varian Medical Systems) を使用して強度変調放射線療法 (IMRT) の線量分布検証を実施した。2 次元 Al2O3:Cr TLD
は幅30 cm、長さ30 cm、厚さ20 cmの固体水ファントムの冠状面に設置された。10 MV X
線を使用したIMRTプランは、TPS (Eclipse™ version 13.6, Varian Medical Systems) を使用し て計算された。治療計画の最大線量とピクセルサイズは、それぞれ211.9 cGyと1.95 mmと した。IMRTプランの照射と線量分布検証は異なる3つのTLDを使用して3回実施した。2
次元Al2O3:Cr TLDの各ピクセルの感度は、ImageJを用いて、首都大学東京の放射線治療装
置 (Clinac® 21EX system, Varian Medical Systems) の6 MV X線による均一照射のTL画像を 使用して補正された。感度補正されたTL画像は、分析ソフトウェアDD-System (DD IMRT version 12.26, R-TECH.INC)を使用して、図6.4に示す2次元Al2O3:Cr TLDの線量応答曲線 に基づいて線量分布に変換され、TPSで計算された線量分布は比較された。また、同ソフト ウェアを使用して、線量差と位置ずれの両方を評価するガンマ分析法による線量分布検証 を実施した。線量差と位置ずれの判定基準はそれぞれ3%, 2mmとした。