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第二章 日本の果たすべき役割

第1節 新しい日本外交のスタンス(外交の理念)の構築

う反省からである。

また、前述したアジアの中で発展の糸口を掴みかねている最貧国の実状に照 らしても、中間層の人材の育成が急務であり、経済発展及び民主化の近道であ る。

そこで、このセンターのメイン事業として、ODAの枠から基金をつくり、

学生レベルでの「アジアの交流・平和・人権。共生・環境を考えるフォーラム」

を2年毎に開催し、各セッション毎にコミュニケを発表し、勧告を行って一定 の影響力を持たせるようにする。(その他の機能については別紙を参照)

2番目の「平和」については、これまでの殺戦の歴史を踏まえつつ、紛争を 戦争という手段で解決しようということの愚かさを反省し、平和憲法を擁護し つつ、外交交渉、国際協力等を通じて解決していく範を作り上げていく先鞭を 付けるべきである。

そのための国連機能の見直し、国際機関の整理・統合・再編、紛争解決の研 究、実施体制、武器管理゜監視体制等のみならず、「平和の配当」を全人類が 実感できるレベルにまで具体化すべきである。この場合、後述する「アジア安 保機構」と「アジア開発ファンド」構想等は在来型の軍事バランス論的戦略思 考を越えたフィロソフィーとして有効なはずである。

3番目の「人権」については、人道上の配慮という消極的な発想からではな く、自由・平等・互恵を原則に積極的な取り組みが必要である。こういった人 権意識は先進国においては国民の底辺にまで及んでいるが、発展途上国におい ては恵まれた一部の層の人のみが享受しているというところに問題がある。こ れも又、中。下層の国民の意識の啓発が課題で、この層の教育・教化が援助の 効果を上げるという観点からは最短距離であり、この層からの留学生の来曰が 不可欠である。こういった観点からも上記の留学生会館の建設は緊急である。

4番目の「共生」は新しい概念といえる。地球上に人類が発生して以来、か つては無限のフロンティアのなかで独自の文化や生活様式をもって発展し、競 り合ってきた。しかし、ニュー。フロンティアも次第に狭まり、人口衛星を飛 ばして地球を見るといかにも小さく、環境汚染に極めて弱いものであることが 認識されるようになってきた。

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もう、地球上にはニュー・フロンティアはないのである。この狭い地球号で 共通の権利をもって共存していくためには、隣同士というよりは親・兄弟とし て共存してゆかなければならない宿命にあることを確認しなければならなくな

ってきた。

こうなってくると、-国だけが破格に高い生活水準を享受し、隣の国が赤貧 に喘いでいるという状況は許されないし、不自然である。このようなことから、

生活水準を平準化するための教化・協力・支援がなされなければならないが、

このような場合に於いても大事な事は、受ける側の各国国民の中間層の拡大に つながる施策でなければならない。その具体的な施策としては先進国において 平板化した技術の移転が有効である。ここで言う技術とは生産技術のみならず、

社会技術(行政管理、企業経営等)もあるが、政策としては社会技術移転に重 点を置くことのほうが狙いとする効果は早い。

5番目の環境については多言を要しないであろう。1961年にガガーリンが人 類最初の宇宙船から地球を眺めて、その小ささと美しさに驚嘆の声を発した。

人類の発生と文明の発達に伴う化石燃料の使用の増大、地球をおおう緑の喪失 と砂漠化現象、人類が新しく創り出した化学物質(フロンガス等)等によるオ ゾン層の破壊、それがもたらす地球の温暖化、その他我々の技術文化の進歩に よって産み出された公害によって我々の住む「かけがえのない地球」は疲弊し、

我々自らが自らを滅ぼしかねない状況であることを人類は感知し始めた。そし て今や公害には国境はないのである。このことが人類に共生を規定していると

も言える。

人類が地上に発生してから、いやその前に、生命が地球に誕生してから数十 億年がたっているが、その間にあらゆる生物が環境の変化に適合して進化を遂 げてきた。そして、その過程で人類をも含めたあらゆる生物がトータルとして 生態系を形成してきたのである。そして今、人類は自ら造り上げた文明と技術 によってその生態系を破壊し地球環境を汚染しつつある。このことが何を意味 するかは明白であろう。

トフラーは文化人類学的な発展過程の視点から、現代文明の隆盛を第三の波 と称したが、逆に、人類はたえず滅亡の危機を乗り越えてきた、という観点か

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ら捕らえるならば、第一の危機は歴史上に訪れたと言われている氷河期の寒さ と飢えであり、第二の危機は疫病であり、第三の危機は戦争であった。そして、

第四の敵が環境破壊である1

人類は氷河期の飢えと寒さを農耕と火の発見で乗り切った。次いでペストや コレラが人類を滅ぼす勢いでヨーロッパで猛威をふるったが、人類は医学を発 明・発達させることによってこの危機を乗り越えた。フランスのジェンナーが 人間の持っている免疫を頼りに種痘を開発してその猛威を食い止めたのである が、これは今で言えば自分の娘にエイズを移すようなことをして人間の免疫力

を立証して見せたのである。

そして、1700年代の羅針盤の発明よりスペイン、ポルトガルのような当時の 先進諸国はニューフロンティアを求め、大航海時代を創り出し、次いで蒸気機 関車の発明によって産業革命を成し遂げたイギリスは植民地を拡大していく。

その後を追うようにフランス、ドイツが領土拡大競争に参加していく。つまり、

領土拡大をめぐって各民族間、国家間で戦争か繰り返され、拡大していく過程 で大量殺裁兵器を開発しつつ、ついに超殺裁兵器・原爆を使用する世界規模の 第二次世界大戦へと拡大して人類史上多大な犠牲と損失を招いた。

その反省に立って安全保障理事会を核とする国連が設立されたはずであるが、

今度は不毛なイデオロギー抗争に基づく東西冷戦構造を形成しつつ核開発競争 が展開され、このような状況の下で戦争でも起きれば全人類はおろか地球も壊

滅するまで核開発競争は進んでいた。

まさに、一触即発という状況を創り出し、核抑止論という妙な平和論が支配 した。この愚かさもデタント、東西冷戦の崩壊ということを以て危機を乗り越 えた。人類は“英知”を以て人類存亡の危機を辛くも乗り越えて来たのである。

従って、人類は今後、局地紛争やテロ活動は残るにせよ、民族間、国家間あ るいはその他の分野で起きる摩擦や紛争を大量殺裁兵器や非人道的な兵器を以 て“戦争”という手段で解決するという愚かなことはしないであろう。

このようなコンテックスで考えるならば、今日、人類を滅亡に追いやる元凶

は、人類が創り出した科学文明による環境破壊であり、これこそが今日の人類

共通の敵となったのである。

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以上のことから、環境破壊につながる行為を人類の罪とし、「環境の保全」

をこれからの「人類の憲法」と位置づけ、病んだ地球環境の回復と浄化の具体 的施策づくりを人類のテーマとしなくてはならないのではないか。

第2節ODA(政府開発援助、OfficialDevelopmentAssis