第 6 章 宇野浩二の戦後作品の文体特徴に関する分析
6.6 トピックモデルの分析結果
6.6.4 文節パターン
本節では、文節パターンのデータをトピックモデルで分析した結果を説明する。3 つのト ピックでオーバーラップした「名詞_の」という項目を除いて分析した結果を以下に示す。作 品が各トピックに属する確率、各トピックにおける各変数(文節パターン)の確率をそれぞ
れ表6.30、表6.31に示す。表6.27では、出現頻度の高い上位20項目の変数の各トピックに
おける確率を示している。分析結果を視覚化したものを図6.39に示す。
0.020.040.060.080.100.120.14
使用率 病前歳月の川_ 病前夢見る部屋_ 病前子を貸し屋_ 病前或る春の話_ 病前ぢゃんぽん廻り_ 病前従兄弟の公吉_ 病前俳優_ 病前心つくし_ 病前東館_ 病前昔がたり_ 病前古風な人情家_ 病前晴れたり君よ_ 病前鼻提灯_ 病前浮世の窓_ 病前思ひ出の記_ 病前人癲癇_ 病前千万老人_ 病前如露_ 病前人に問はれる_ 病前十軒路地_ 病前従兄弟同志_ 病前足りない人_ 病前高天ヶ原_ 病前「木からおりてください」_ 病前軍港進行曲_ 病前日曜日_ 病前続軍港行進曲_ 病前恋の躯_ 病後枯木のある風景_ 病後枯野の夢_ 病後子の来歴_ 病後湯河原三界_ 病後人さまざま_ 病後線香花火_ 病後女人不信_ 病後人間往来_ 病後文学の鬼_ 病後夢の跡_ 病後旅路の芭蕉_ 病後終の栖_ 病後風変りの一族_ 病後夢の通ひ路_ 病後鬼子と好敵手_ 病後母の形見の貯金箱_ 病後楽世家等_ 病後器用貧乏_ 病後木と金の間_ 病後善き鬼・悪き鬼_ 病後人間同志_ 病後女人往来_ 病後二つの道_ 病後身の秋_ 病後水すまし_ 戦後青春期_ 戦後思ひ草_ 戦後西方町の家_ 戦後思ひ川_ 戦後富士見高原_ 戦後秋の心_ 戦後うつりかはり_ 戦後自分一人_ 戦後相思草_ 戦後大阪人間_ 戦後寂しがり屋_ 戦後友垣_ 戦後自分勝手屋_ 戦後人間同志_
0.020.040.060.080.100.120.14
使用率 0.020.040.060.080.100.120.14 使用率 0.020.040.060.080.100.120.14
使用率
助詞 動詞_
助詞 名詞_
助詞 記号_
記号 名詞_
126
表6.30 作品が各トピックに属する確率
作品 病前 病後 戦後 作品 病前 病後 戦後
病前_歳月の川 0.71 0.22 0.07 病後_女人不信 0.39 0.43 0.18
病前_夢見る部屋 0.59 0.21 0.19 病後_人間往来 0.26 0.63 0.11 病前_子を貸し屋 0.35 0.27 0.38 病後_文学の鬼 0.18 0.59 0.23 病前_或る春の話 0.54 0.31 0.15 病後_夢の跡 0.16 0.58 0.26 病前_ぢゃんぽん廻り 0.52 0.41 0.07 病後_旅路の芭蕉 0.10 0.56 0.35 病前_従兄弟の公吉 0.46 0.33 0.21 病後_終の栖 0.17 0.43 0.39
病前_俳優 0.63 0.29 0.09 病後_風変りの一族 0.26 0.56 0.18
病前_心つくし 0.48 0.34 0.18 病後_夢の通ひ路 0.26 0.62 0.11
病前_東館 0.63 0.27 0.11 病後_鬼子と好敵手 0.16 0.59 0.25
病前_昔がたり 0.61 0.27 0.12 病後_母の形見の貯金箱 0.22 0.58 0.20
病前_古風な人情家 0.70 0.22 0.08 病後_楽世家等 0.15 0.64 0.21 病前_晴れたり君よ 0.51 0.18 0.31 病後_器用貧乏 0.09 0.59 0.32
病前_鼻提灯 0.55 0.29 0.16 病後_木と金の間 0.10 0.61 0.29
病前_浮世の窓 0.74 0.17 0.09 病後_善き鬼・悪き鬼 0.12 0.57 0.31
病前_思ひ出の記 0.64 0.31 0.06 病後_人間同志 0.07 0.48 0.45
病前_人癲癇 0.55 0.26 0.19 病後_女人往来 0.18 0.56 0.26
病前_千万老人 0.52 0.28 0.20 病後_二つの道 0.12 0.42 0.45
病前_如露 0.69 0.21 0.10 病後_身の秋 0.05 0.37 0.58 病前_人に問はれる 0.65 0.28 0.07 病後_水すまし 0.05 0.33 0.63
病前_十軒路地 0.60 0.36 0.04 戦後_青春期 0.06 0.32 0.62
病前_従兄弟同志 0.65 0.32 0.03 戦後_思ひ草 0.05 0.32 0.63 病前_足りない人 0.48 0.38 0.14 戦後_西方町の家 0.07 0.23 0.70
病前_高天ヶ原 0.62 0.33 0.05 戦後_思ひ川 0.05 0.37 0.58
病前_「木からおりてください」 0.62 0.29 0.09 戦後_富士見高原 0.03 0.07 0.89 病前_軍港進行曲 0.61 0.29 0.10 戦後_秋の心 0.02 0.09 0.89
病前_日曜日 0.38 0.41 0.21 戦後_うつりかはり 0.07 0.31 0.62
病前_続軍港行進曲 0.64 0.30 0.06 戦後_自分一人 0.02 0.14 0.84
病前_恋の躯 0.56 0.36 0.09 戦後_相思草 0.07 0.39 0.54
病後_枯木のある風景 0.17 0.62 0.21 戦後_大阪人間 0.04 0.37 0.58 病後_枯野の夢 0.18 0.59 0.23 戦後_寂しがり屋 0.14 0.38 0.48
病後_子の来歴 0.41 0.53 0.05 戦後_友垣 0.10 0.35 0.55
病後_湯河原三界 0.33 0.61 0.06 戦後_自分勝手屋 0.05 0.48 0.47 病後_人さまざま 0.30 0.62 0.09 戦後_人間同志 0.14 0.34 0.52
病後_線香花火 0.36 0.54 0.10
127
表6.31 各トピックにおける各変数の確率(上位20項目)
文節パターン 病前 病後 戦後 文節パターン 病前 病後 戦後 名詞_に 0.063 0.080 0.032 動詞_て_、 0.027 0.001 0.035 名詞_を 0.054 0.078 0.038 名詞_名詞_の 0.012 0.028 0.015
連体詞 0.046 0.044 0.052 名詞_、 0.003 0.022 0.026
副詞 0.062 0.049 0.024 名詞_は 0.020 0.035 0.000
名詞_が 0.026 0.064 0.019 名詞 0.016 0.022 0.010
動詞_助動詞_。 0.020 0.032 0.035 形容詞 0.015 0.017 0.016 接続詞_、 0.018 0.005 0.052 名詞_に_、 0.007 0.002 0.033 動詞_助動詞 0.027 0.028 0.016 副詞_、 0.000 0.000 0.035 名詞_は_、 0.000 0.004 0.060 代名詞_は 0.041 0.000 0.000
動詞 0.023 0.024 0.020 名詞_と 0.004 0.020 0.005
図6.39からわかるように、作品はおおよそ病前、病後、戦後の通りに分かれている。実際 の発表時間と照合し、6編の作品が誤分類された。それぞれ病前の「子を貸し屋」(1923年)、
「日曜日」(1927年)、病後の「二つの道」(1941年)、「身の秋」(1941年)、「水すまし」(1943 年)と戦後の「自分勝手屋」(1957年)である。
図6.39 文節パターンに基づいた作品のグルーピングと各グループの特徴的変数
病前鼻提灯_ 病前高天ヶ原_ 病前軍港進行曲_ 病前足りない人_ 病前続軍港行進曲_ 病前浮世の窓_ 病前歳月の川_ 病前東館_ 病前晴れたり君よ_ 病前昔がたり_ 病前或る春の話_ 病前恋の躯_ 病前思ひ出の記_ 病前心つくし_ 病前従兄弟同志_ 病前従兄弟の公吉_ 病前如露_ 病前夢見る部屋_ 病前古風な人情家_ 病前千万老人_ 病前十軒路地_ 病前俳優_ 病前人癲癇_ 病前人に問はれる_ 病前「木からおりてください」_ 病前ぢゃんぽん廻り_ 戦後青春期_ 戦後西方町の家_ 戦後自分一人_ 戦後秋の心_ 戦後相思草_ 戦後思ひ草_ 戦後思ひ川_ 戦後富士見高原_ 戦後寂しがり屋_ 戦後大阪人間_ 戦後友垣_ 戦後人間同志_ 戦後うつりかはり_ 病後身の秋_ 病後水すまし_ 病前子を貸し屋_ 病後二つの道_ 戦後自分勝手屋_ 病後鬼子と好敵手_ 病後風変りの一族_ 病後線香花火_ 病後終の栖_ 病後湯河原三界_ 病後母の形見の貯金箱_ 病後楽世家等_ 病後枯野の夢_ 病後枯木のある風景_ 病後木と金の間_ 病後旅路の芭蕉_ 病後文学の鬼_ 病後子の来歴_ 病後女人往来_ 病後女人不信_ 病後夢の通ひ路_ 病後夢の跡_ 病後器用貧乏_ 病後善き鬼・悪き鬼_ 病後人間往来_ 病後人間同志_ 病前日曜日_ 病後人さまざま_
02468
Cluster Dendrogram
Height
動詞 名詞 が_ 動詞 て 、_ _
動詞 助動詞_
代名詞 の_ 代名詞 は_ 連体詞 名詞 を_ 副詞 名詞 に_
病前
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
名詞 、_ 名詞 に_ 名詞 に 、_ _ 動詞 て 、_ _ 動詞 助動詞 。_ _ 副詞 、_ 名詞 を_ 連体詞 接続詞 、_ 名詞 は 、_ _
戦後
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
動詞 名詞 名詞 の_ _
動詞 助動詞_
動詞 助動詞 。_ _ 名詞 は_ 連体詞 副詞 名詞 が_ 名詞 を_ 名詞 に_
病後
0.00 0.02 0.04 0.06
128
棒グラフによると、病前と病後、戦後の最も重要な項目として、それぞれ「名詞_に」、「名 詞_は_、」が挙げられる。病前の作品では、「代名詞_は」、「代名詞_の」が重要な項目として 現れている。これは形態素タグの bigram における「代名詞_助詞」に対応していると考えら れる。病後の作品では、「名詞_に」、「名詞_を」、「名詞_が」などの「名詞_助詞」のパターン が上位に現れている。一方、戦後の作品では、記号を含むパターンがほとんどである。
さらに、各グループの上位2個の項目の使用率の経年変化を図6.40の散布図によって考察 を行う。文節パターンのデータでは、「名詞_に」、「名詞_は_、」、「副詞」と「接続詞_、」と「名 詞_を」が重要な項目として挙げられる。「名詞_は_、」と「接続詞_、」の使用率は、病後の作 品から増加する傾向を示した。「助詞_動詞」の使用率は、病後から戦後にかけて減少し続け た。「名詞_は_、」の使用は、戦後の後半の作品で減少に転じた。「名詞_に」と「名詞_を」は、
病後の後半から減少する傾向が見られる。一方、「副詞」の使用率は、病前から戦後にかけて 減少し続けている。ほとんどの項目は、病後の作品において変化が生じ、戦後になると使用 率が安定するようになる傾向が示される。
図6.40 各トピックの重要項目の使用率の経年変化
0.000.020.040.060.08
使用率 病前歳月の川_ 病前夢見る部屋_ 病前子を貸し屋_ 病前或る春の話_ 病前ぢゃんぽん廻り_ 病前従兄弟の公吉_ 病前俳優_ 病前心つくし_ 病前東館_ 病前昔がたり_ 病前古風な人情家_ 病前晴れたり君よ_ 病前鼻提灯_ 病前浮世の窓_ 病前思ひ出の記_ 病前人癲癇_ 病前千万老人_ 病前如露_ 病前人に問はれる_ 病前十軒路地_ 病前従兄弟同志_ 病前足りない人_ 病前高天ヶ原_ 病前「木からおりてください」_ 病前軍港進行曲_ 病前日曜日_ 病前続軍港行進曲_ 病前恋の躯_ 病後枯木のある風景_ 病後枯野の夢_ 病後子の来歴_ 病後湯河原三界_ 病後人さまざま_ 病後線香花火_ 病後女人不信_ 病後人間往来_ 病後文学の鬼_ 病後夢の跡_ 病後旅路の芭蕉_ 病後終の栖_ 病後風変りの一族_ 病後夢の通ひ路_ 病後鬼子と好敵手_ 病後母の形見の貯金箱_ 病後楽世家等_ 病後器用貧乏_ 病後木と金の間_ 病後善き鬼・悪き鬼_ 病後人間同志_ 病後女人往来_ 病後二つの道_ 病後身の秋_ 病後水すまし_ 戦後青春期_ 戦後思ひ草_ 戦後西方町の家_ 戦後思ひ川_ 戦後富士見高原_ 戦後秋の心_ 戦後うつりかはり_ 戦後自分一人_ 戦後相思草_ 戦後大阪人間_ 戦後寂しがり屋_ 戦後友垣_ 戦後自分勝手屋_ 戦後人間同志_
0.000.020.040.060.08
使用率 0.000.020.040.060.08 使用率 0.000.020.040.060.08 使用率 0.000.020.040.060.08
使用率
名詞 に_ 名詞 は 、_ _ 副詞 接続詞 、_ 名詞 を_
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