第 4 章 地域公共交通網再編及び活性化に関する方針
2 整備の方針
⑴ ネットワーク化された利便性の高い地域公共交通網の整備 ア 生活拠点のネットワーク化
各地域の生活拠点を交通拠点と接続します。交通拠点と中心市街地までのアクセスを確保 します。また、生活拠点同士も必要に応じて接続します。
〇生活拠点におけるネットワーク化の考え方
■立地適正化計画の考え方を取り入れる
生活拠点に集まる人が居住する範囲を生活圏と呼びます。
地域公共交通網整備の基本的な考え方として、立地適正化計画の考え方を取り入れま す。すなわち、市民の移動を公共交通により誘導し、振り分けることを前提とします。こ れは、生活圏に優先度を設定することを意味しており、その際には適正性が求められます。
適正性の判断は、松本市総合交通戦略の考え方にしたがって中心市街地に誘導することを 最も適正性が高いこととします。
図表 46 中心市街地を含む生活圏の考え方
・生活拠点から中心市街地を通過してまで移動できるバス路線は整備しません。
[参考]移動の振り分け
移動実態調査では、A スーパーへ移動している人はX地区からも見られたとします。し かし、X地区からAスーパーへの公共交通を整備することは効率的とはいえません。X地区 からは、Bスーパーへの公共交通を確保し、日常生活における移動も、中心市街地への移動 も確保するものとします。
図表 47 移動の振り分けのイメージ
X地区
中心市街地 中心市街地
生活圏
生活拠点 生活拠点
生活圏
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図表 48 生活圏集約の考え方
・複数の生活拠点に移動している地域では、少なくともどちらか一方の生活拠点への 移動を確保し、生活圏の重なりを整理します。
・生活拠点間の移動は必要に応じて検討します。
[参考]ひとつの地域にひとつの生活拠点 生活圏集約について、具体的に考えます。
Y町会からは、A スーパーがある生活圏 A と B スーパーがある生活圏 B を利用してい る人がそれぞれいます。また、少し離れた C スーパーに行きたいという人もいます。市民 が希望するすべての地域に行けるように公共交通を整備すれば最も便利になるのですが、
それでは膨大な路線を整備しなければなりません。
本計画では、原則ひとつの地域からひとつの生活拠点へのアクセスできるよう公共交通 の整備を進めます。
図表 49 生活圏集約のイメージ
Y町会
52 イ バス路線の階層化
地域公共交通を幹線、中心市街地路線、支線及び地域主導型公共交通に階層化し、その 役割を明確にします。
(ア) 幹線
規模の大きい輸送に耐えられ、安定的に運行する路線です。鉄道及び中型以上のバス車 両により運行します。幹線は、充実した運行密度を確保し、中心市街地までの移動を確保 します。ただし、幹線の中でも過疎地域等を含む路線は、現状維持を基本とします。
・JR松本駅へのアクセス強化
・中心市街地の企業・学校などへの通勤・通学の利便性の向上
●具体的な路線
鉄道:〔JR篠ノ井線/JR大糸線/アルピコ交通上高地線〕
バス:〔浅間線(新浅間線)/美ヶ原温泉線/寿台線/空港・朝日線/山形線/四賀線〕
(イ) 中心市街地路線
中心市街地は、それ自体をひとつの地域とし、特に充実した地域内移動を整備するもの とします。
・徒歩・自転車・公共交通のいずれかの手段でスムーズに移動できるようにします。
●具体的な路線
〔タウンスニーカー/信大横田(横田信大)循環線/北市内線等〕
(ウ) 支線
一定の移動需要が見込まれる生活拠点間を運行し、幹線と接続します。松本駅まで運行 する路線の中でも規模の小さな輸送に対応する路線は支線に位置付けます。運行する車両 は需要量に応じ、効率的なものを選択します。
・移動実態調査で見られた、郊外への通勤移動は、公共交通利用が見込める場合は路線整 備を検討
●具体的な路線
〔三才山線/鹿教湯温泉線/アルプス公園線/入山辺線/並柳団地線/中山線/
松原線/内田線/南部循環線/大久保工場団地線/稲核線/西部地域コミュニティ バス/市営バス四賀線・奈川線/四賀地域バス 〕
(エ) 地域主導型公共交通等
生活拠点までの少ない移動需要に対応するものです。タクシー車両等小さな需要に対応 した車両を運行します。
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図表 50 バス路線の階層化の考え方
図表 51 バスシステムのイメージ
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⑵ わかりやすく利用しやすい環境整備 ア 情報発信の充実
利用者がスムーズに地域公共交通を利用できるよう、時刻表や路線図、乗り継ぎなどの情 報提供を充実します。
イ 誰にでも利用しやすい環境整備
駅、バス停の待合環境を整備するほかパークアンドライド駐車場の充実などにより、待合 や乗り継ぎにおける円滑化を図ります。
更に、電子切符やゾーン料金制など利便性を向上させる取組みを検討します。また、車両 の更新や駅舎等の整備に当たっては、施設のユニバーサルデザイン化やバリアフリー化を推 進します。
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